後悔親は居ない。頼れる身寄りも居ない。父は戦場で、母は病で、私と幼い弟たちを遺してこの世を去ってしまった。
まだ子どもの私でも雇ってくれる、住み込みの仕事場を転々とし、弟たちを養ってきた。ただ、弟たちにはちゃんとした教育を受けて欲しかった。私はもう間に合わないけど、弟たちはまだ間に合う。ちゃんと学校に行ってそれぞれ幸せを掴んで欲しい。そのために、私は軍の勧誘を受けた。
働き口も無くなり、行き倒れになっていた私たちに声をかけたのはケロン軍だった。
「我々の研究に協力するのならば、君たちの衣食住は保障しよう」
ケロン軍の研究……。どうせ使い捨ての実験台にされるだけだろう。それでも、弟たちに衣食住の提供、さらに学校に行ける権利も得られるというのならばと、私は身体を差し出した。
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