フェブリス解放後初の2月14日「あれ?ジェローム様、何を作っているんですか?」
「!!」
キッチンカウンター上に置かれていた底の浅いバット容器が、酷くうるさい音を立てて床に落ちた。
「ろ、ロッティか……驚かさないでくれ」
「すみません、そんなに驚かれるとは思わず…」
ジェロームは床に落ちたバット容器を拾い上げる。凹みや傷はついていない。きちんと洗えば今まで通り使えるだろう。
まだ中に何も入れていなくて助かった……ーーそんな考えが頭を掠めて、胸を撫で下ろす。
「ーーあ!チョコレートだ!」
ジェロームの隣に立ったロッティは嬉しそうに机に置かれていたチョコレートの包みを持ち上げた。
「食べるんじゃないぞ、今から菓子作りに使うのだからな。」
「はあい!ジェローム様のお菓子、楽しみにしています!」
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