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    tatatanme_n2n

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    tatatanme_n2n

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    フラストレーションがたまってしまったので、前々から書きたいお話のオエ視点をちょっとだけ書きました。このお話を騎士様視点で書きたい……。
    騎士様からの矢印が大変な事になったオーカイ。
    元ネタはリンクのツイートになります。検索避けするの忘れてたやつなので、ひっそりと。

    https://twitter.com/tatatanme_n2n/status/1212386780399337473?s=20

    それは何時だって、どうしたって、目を惹いた。
     ――――どうしてか、は気付いていなかった。


     ひどい目に遭った。
     西の魔法使いは本当にどうかしている。
     どうして僕が、歌なんて……。
     邪な企みなんて一つも見えない笑顔で楽器を奏でられると、何故か気が付いたら一緒に歌ってしまう。本当に嫌だ。
     あんまりにも苛々するものだから、誰かと遊んでもらおうと視線を巡らせた時。廊下の向こうに消える、長い赤毛が見えた。
     この魔法舎では赤毛の魔法使いは何人かいるけれど、長く伸ばしているのはただ一人。
     それに、あの色を自分が間違える筈がない。
     どうやって遊んでやろう。苛々が吹き飛んで、頭の中はそれだけでいっぱいになった。何せ、最近はどうした事かなかなか会わなくて、ちょっと退屈していたのだ。
     今迄で反応がとびっきりによかったのは、蛇をけしかけた時だったなあ。あの魂から響くような悲鳴と、情けなく涙の滲んだ目はしばらく忘れられなくて、何度も思い返したっけ。
     けど、ああいうのはたまにやるからいい反応が出るのだ。今日やるには、ちょっと早い。
     ふわりと宙を浮く。あの騎士は人の気配に敏感だから、足音を立てないように、そうっと。
     廊下の角から覗くと、ちょうどぼんやりと窓の向こうを見る横顔が見えた。
    (……うん?)
     遠くを見るような、届かないものを見るような……。ああいった顔は、あまり見ない。
     何だろう。墓参りの時は、なんとなく想像は出来た。僕の知らない感情。それでも、今のカインよりは余程分かりやすいものだった。
     誰かを気にしてばかりの騎士。
     ……どうしてか苦いものが込み上げてきて、それが何かを考えるよりも早く。
    「っ!?なっ、ん……!?」
     カインの頭の上に転移して、逆さまでそのうっとうしい顔を間近で見つめる。
     ぼうっとしていた金色が、びくんと見開いて僕を見て……、何これ。
     そこに浮かんだ色に、身体の真ん中が、どうしてだかすごく痛くなった。
     すごく複雑な色を浮かべて、最後に出てきたのは『後ろめたさ』?どうして、カインが僕にそういう目を向けてくるんだろう。
    「……おまえ、急に出てくるな。驚くだろう?」
     その笑顔だって、無理矢理作った歪なもの。

     ――――ふざけるな。

     すうっと細めた僕の目に気が付いたのだろうか。ごちゃごちゃと言い訳をしてた口をぐって引き締めると、真っ直ぐ見上げてくる。
     ゆらゆら、色んな感情で揺れる金色。逆さまのまま、じいっと……そういえば、こんなに長く、近くで見たのは初めてかもしれない。
     カインはパチパチと何度も瞬きをして、その度に揺れる感情の色が切り替わるよう。段々と楽しくなってきたところで、視線を切るようにカインは目を伏せてしまった。
     ああもう、意味が分からない。
     視線をそらすだなんて、ぜんぜんらしくない。だから、どうにもカインを傷つけてやりたいって、口を開いた瞬間。
    「……何をしている」
     オズ。
     反射的に舌打ちした。なんて邪魔な。
     カインの顔は、対照的にほっと緩んでた。
     ……つまり、僕といる時に緊張してたって訳だ。
     何それ。
     いや、これが正しい。普通だ。カインが僕に対して馴れ馴れしいのが変だったんだ。

     ――そうだ、これでいい。
     ――ぐちゃぐちゃに、立ち直れなくしてやりたい。

     ベクトルが反対方向になった感情で、混乱する。
     意味が、分からない。
     どうして僕がこんな思いをしなきゃいけないんだ。全部、全部カインが悪い。
     けれど、カインはオズの方に行ってしまうし、このむしゃくしゃする思いが分からなくて。
    「……馬鹿みたい」
     やっぱり蛇を呼んでカインの頭から降らせると、上がる悲鳴を聞きながら僕はその場から消えた。


     そして、変なカインはその日から会う度に『そう』なった。
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