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    Arasawa

    @_Arasawa

    絵文字ありがとうございます。
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    Arasawa

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    ヘッドホンの七海のセリフを見て居ても立っても居られず書きました。
    こういうので始まるユメショ、読みたい

    ##アンドロイドパロ

    七海さんそっくりの家政婦アンドロイドを買う話禁忌だ。
    私は禁忌を犯してしまったのだ。

    密かに憧れ続けている七海さん仕様にカスタマイズした家政婦アンドロイドを買ってしまった。

    人型アンドロイドが一般に普及しはじめてもう随分経つ。パッと見では人かロボットか区別がつかないそのアンドロイドが家政婦としての機能を持って家事炊事から買い物までありとあらゆる作業をこなせるようになってからは爆発的に普及した。多忙な1人暮らしでかなり欲しいとはいえ、車に手が届くようなお高い買い物なので敬遠していた最中、容姿の選択肢があまりにも多いと知ってしまったのだ。カタログを見たけれど、目尻を一ミリ上げるとか下げるとかそんなレベルで調整が出来るらしい。もう即決だった。秘めたる七海愛を爆発させた私は執念深く七海さんの造形美を追求し、時には本人を凝視して不審がられ、途方もない時間をかけて七海さんを完全再現した。
    家に届いたアンドロイドを見て、こんなものが家にいたら生涯結婚出来ないかもしれないなと思ってしまった。目を閉じたままのそのアンドロイドは、あまりにも七海さんそっくりだ。流石は私。どこからどうみても七海さんにしか見えない。緊張してきた。スーツが補助監督コスに見えてきた。ジャストサイズの段ボール箱が棺桶に見えてきた。これ誰か指摘しなかったのかな。
    頸動脈のあたりを恐る恐るまさぐって、小さなしこりを長押しする。電源ボタンだ。なんて官能的な位置につけてくれたんだろう。開発者の方には誠にありがとうございますとしか言えない。たっぷり十秒長押しすると、ゆっくりと目を開けた。オリーブ色の瞳が姿を覗かせる。ゆっくり瞬きを繰り返した後、生身の人間となんら相違ない動きで起き上がった。右から左へと視線を動かし部屋を見まわして、最後に私で視線を止めた。な、七海さんが、私を見て、

    「おはようございます、マスター!今日からよろしくお願いいたします!」
    「うっわあ!違う違う違う!」
    「マスターのお名前を教えてください」

    元気すぎて解釈違いだ。七海さんはこんなに爽やかに笑わない!でもカッコいい!性格については後で矯正できると書いてあったからなんとかするものの、直視出来ない。あとマスター呼びって何?背徳感がすごいんですが?ありがとうございますですが?
    私の執念の結果、声までも七海さんにしっかり似ているのだ。いつもは苗字で呼ばれているけれど、下心全開で名前を教える。なんの違和感も持たずに様付けしてくる七海さんに似たアンドロイドにめまいがしてしまった。

    「大丈夫ですか?」
    「性格の矯正ってどうしたらできますかぁ……」
    「"性格の変更"ですね。どのようにしましょうか?」
    「えっと……もう少しクールというか、常に冷静な感じでぇ……。厳しい時は厳しいけど仲間思いで優しくて……。ほっとんど笑わないし笑ったとしても口角がちょっと上がるだけでぇ……。私のことはただの後輩だと思ってて、お願い事されたら眉間に富士山が出来ちゃう感じでぇ……。悪いことは悪いってキチンと指摘してくれてぇ……」

    七海さんの好きなところを一つずつ教えていくうちに、目の前のアンドロイドの表情がどんどん七海さんへと変化していく。言葉のチョイスやイントネーションなんかも沢山の例を出しながらツラツラと語り終えた。さて成果はいかに。

    「……このトーンで良いですか」
    「ワーッ!七海さんだ!」
    「アパートですよ。声を落とすように」
    「ごめんなさい!」

    とんでもないものを作ってしまった。目つきまでもが七海さんになってしまった。七海さんが、目の前にいる。

    「私の名前は"ナナミ"で良いですか?」
    「アッ、はい!カタカナでナナミで!」
    「わかりました。では次に私が担当する家事を設定します。まずは料理ですが」
    「家事は全部私がやります!」
    「フ───……。……大切に想っていただけるのはありがたいですが、私は家政婦ロボットです。存在意義を奪わないでください」

    溜息までしっかり七海さんだ!そこにいていただけるだけで十分でとわたわたする私の名前を静かに呼ばれた。ハッと息を吞む私の目を、美しいオリーブ色の瞳が真っ直ぐのぞき込む。顔が、顔が近い。七海さんの端正なお顔立ちが目と鼻の先。気絶してしまう。

    「仕事。いただけますね?」
    「七海さんはそんなえっちなこと言わない……」
    「嫌ですか」
    「大歓迎です……」
    「学習しました」
    「……ちなみに、あの……恋愛とかって……?」
    「……」

    黙って私の目をじっと見つめた後、ほんのわずかに口角を上げてニコリと笑って見せる。
    私の生涯独身が確定した瞬間だった。
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