七海さんそっくりの家政婦アンドロイドを買う話禁忌だ。
私は禁忌を犯してしまったのだ。
密かに憧れ続けている七海さん仕様にカスタマイズした家政婦アンドロイドを買ってしまった。
人型アンドロイドが一般に普及しはじめてもう随分経つ。パッと見では人かロボットか区別がつかないそのアンドロイドが家政婦としての機能を持って家事炊事から買い物までありとあらゆる作業をこなせるようになってからは爆発的に普及した。多忙な1人暮らしでかなり欲しいとはいえ、車に手が届くようなお高い買い物なので敬遠していた最中、容姿の選択肢があまりにも多いと知ってしまったのだ。カタログを見たけれど、目尻を一ミリ上げるとか下げるとかそんなレベルで調整が出来るらしい。もう即決だった。秘めたる七海愛を爆発させた私は執念深く七海さんの造形美を追求し、時には本人を凝視して不審がられ、途方もない時間をかけて七海さんを完全再現した。
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