夏の話夏はあまり好きではない。照り付ける太陽にじりじりと肌を焼かれる暑さに、未だに慣れないから。
ああ、でもせっかくの夏なのだから、彼女と海とかプールとか行きたいな、などと考え、メッセージを送ろうかとスマホを手に取った。それとほぼ同時に彼女から送られてきたメッセージにふ、と口元が緩んだ。
『今暇?』
『暇だよ、どうしたの』
そのメッセージはすぐに既読となった。普段俺がメッセージを送っても、こんなに早く既読はつかない。
画面の向こうでスマホを握って俺からの返事を待っている蛍を想像すると、少し焦らしてやりたい気もするが、変に引っ張って『やっぱりいいや』と気が変わられても困る。少し迷って、結局すぐ返事をしてしまう。
『夏らしいことがしたい』
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