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    yayoi

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    yayoi

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    オメガバースまよたつ ノリで書いたので設定などよく分かってない

    (前提)
    Ωのマヨイとα→Ωの巽
    同じユニットのマヨイがΩのため、αの巽は万一フェロモンに反応して間違いが起こらないようにとα用の抑制剤を日常的に服用していた。実はこの薬には体内のΩホルモンを増やす副作用があって、稀に服用したαがΩに体質変化してしまうことがあるのだが、それを巽は知らなかった。

    ***

    「はひぃ、ちゅかれたァ〜〜」
     ユニット練習を終えたアルカロイドはESビルの屋上でストレッチをしながら休憩を取っていた。
    「ウム、こんな時は椎名先輩のオムライスが食べたくなるね」
    「ヒロくんはいつもそれじゃん」
     ぐぅ、とどこかから空腹を主張する音が鳴り、藍良の頬がぽっと赤くなった。一同は笑いと共に和やかな雰囲気に包まれる。
    「ふふ。では、寮に帰る前に皆さんで食事でも摂りましょうか」
    「ううっ、恥ずかしいけどありがたいよォ。マヨさんのレッスン、いつもハードなんだもん」

    「俺は少し休んでから行きますね。すぐに合流しますので」
    「……巽さん、体調は大丈夫ですか? この頃らしくないミスが多いので心配ですぅ」
     αなので大丈夫かとは思いますが、と付け加える。Ωでありヒートを抑えるための抑制剤を日常的に服用しているマヨイと違い、αはホルモンバランスによる体調変化が殆ど無く、更に身体が丈夫であるため病気になることが殆どなかった。巽は問題ありませんよ、とにっこり微笑む。

     数分後、マヨイがペットボトルを忘れたことに気づき屋上へ戻ると、巽は地面に座り込んで顔を紅潮させながら息を荒くしていた。マヨイは驚いて巽に駆け寄る。脚が痛むのかと聞いても首を振るばかりで何もわからなかったが、マヨイはこの状態と独特な甘い香りに覚えがあった。巽の身体を正面から抱きしめると、腰のあたりをトントンと優しく刺激する。マヨイは自身のヒート時、こうすると興奮が紛れるのだった。巽の身体がビクッと跳ね、フーッ、フーッと興奮した息遣いが耳にかかる。腰が続きをねだるようにマヨイの手に擦り付いてくる。何故αの巽がこのような状態になっているのかは分からないが、これはおそらくΩ特有のヒートだろうとマヨイは察した。常備しているΩ用の抑制剤を取り出し、持っていたペットボトルの蓋を開ける。
    「状況は存じ上げませんが、恐らくこれで収まると思いますので……失礼しますね」
     マヨイは薬と水を口に含んでから巽に口付けをした。巽は抵抗する素振りを見せたものの、上手く力が入らないようでマヨイの胴体を力無く押し返すだけだった。薬を巽が嚥下するのを確認してから、ぷは、と唇を離す。巽はうー、ふーっ、と言葉にならない声をあげながらマヨイの方を興奮した眼差しで見つめていた。その目に戸惑いと恐怖の感情が入り混じっていることに気づいたマヨイは、巽の髪を優しく撫でた。
    「大丈夫です。十分程度でおさまりますから、少しの辛抱ですよ」
    「……まよ……さ、、もっ、と、」
     巽は途切れる息の中、マヨイの腕を掴んで涙目に訴えた。それを可愛いと心の隅で思ってしまう自分を恨めしく思いながら、マヨイは先程と同じように巽の腰をトントン、トントン、と一定のリズムで叩く。すると巽は腰を浮かせてもっと、もっと、とうわ言のように甘い声で囁くのだった。

    ***

    「先日は申し訳ありませんでした。マヨイさんに介抱させた挙句、衝動を抑えきれずにご迷惑をおかけして……お恥ずかしくて穴があれば入りたいほどですな」
    「いえいえ、ヒートの発作は誰しもあのようなものですよぉ。むしろ、レッスンの時点でトレーナーの私が巽さんの不調に気づいてあげられれば、あのようなことにはなりませんでしたし……」
     カフェシナモンの隅のテーブルで、巽とマヨイはこそこそと話をしていた。マヨイの目の前には大きなパフェが置かれている。巽がお詫びにと、マヨイのために半ば無理矢理注文したものだった。巽がしきりに申し訳なさそうに謝るものだから、マヨイは出来るだけ明るい調子で話を振る。
    「それにしても、αがある日突然Ωになるなんて都市伝説のようなものかと思っていましたぁ。こんな私でもΩとしては先輩ですから、困ったことがあれば私をいつでも頼ってくださいね」
    「稀にはあると聞いてはいましたが、まさか俺がそうなるとは思わず……。主治医によると服用していた抑制剤が原因で、αに再び戻ることはないとのことでしたな」
     性別が変わるといった重い話題のはずなのに、巽は意外にもしれっと話をする。どうせならβが良かったですが、と言って笑った。どうやら巽はα性特有の、Ωのフェロモンを嗅いでしまうと性衝動が抑えられなくなってしまう性質を嫌っていたようで、この変化は願ったり叶ったりといった具合だったらしい。教会生まれの巽さんならそうでしょうね、とマヨイは一人で納得する。

    「とにかく、一日に一回のお薬を忘れないこと、ですよぉ。それさえ気をつければβの方々と特に変わらない生活ができますから」
     巽の役に立てることが嬉しくて、マヨイは張り切ってΩのレクチャーをする。巽はその様子を見てふふ、と笑った。
    「以前はαとしての自分を出さないことばかりに気を遣っていたので、このように自然にお話しできることが嬉しいです。ご迷惑をお掛けしたことは非常に心苦しく思っていますが……、でも、あの時来てくれたのがマヨイさんで良かった」
     巽はマヨイの手を握ってにっこりと微笑んだ。巽はもうαではないはずなのに、それを見て顔が熱くなったのは何故なのだろうか。マヨイには分からなかった。
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