マヨイさんは片手に紙袋を下げていた。一彩さんと藍良さん、そして同室の友也さんへのお土産である。一彩さんは水族館に行ったことがないだろうから、話をするだけで目を輝かせるだろう。この水族館はESビルから1時間足らずの距離であるから藍良さんは足を運んだことがあるかもしれないが、マヨイさんが選んだ可愛らしい箱のクッキーならきっと喜んでくれる筈だ。別の機会にユニットの皆で訪れるのもまた楽しそうだ。
俺の方も年下二人へのものとは別に、同室の一人と一匹へのお土産を手に下げている。マヨイさんとの関係は誰にも話していないので、二人して同じ場所のお土産を渡していたことが知られたら不審がられてしまうかもしれない。でも、そんな心配は二の次になるくらい今日は楽しかった。自分でも気づかなかったが、すっかり浮かれていたのだ。
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