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    エイプリルフールの現代AU忘羨の小話
    エイプリルフールは午前中だけ嘘ついて良い日って聞いた事あったので。(調べてみたら国によって違うけど)

    果たして嘘か真か「藍湛!」
    名前を呼ばれ読んでいた参考書から視線をあげるとニコニコとクラスメイトの魏無羨が寄ってくる。
    「どうした?」
    「聞いてくれよ! 今日俺ここ来る時に告白されたんだ!」
    バキッ
    突然の告白に手の中のシャーペンを折ってしまった。
    「ん、バキッ? あっ! お前何やってるんだよ。手怪我してないか?」
    藍忘機の手の中で無惨に折れたシャーペンを彼の手から取り上げながら怪我がないかを確認する。
    「君は……」
    「ん?」
    「君は、その……告白された人と付き合うのか?」
    「んー、まだ返事してないんだ。帰る時に返事する予定」
    「……」
    「藍湛、お前もしかして俺のこと……」
    黙ってしまった藍忘機に何かを気付いたように言葉を切る。
    藍忘機は自分が魏無羨の事をどう想っているかがバレたのかと表情を強ばらせ次の言葉を待つ。
    「お前、俺のことモテないと思ってただろ。そんでお前より先に俺に彼女が出来そうなんでやきもきしたんだろ!」
    どうだ当たっているだろうと得意満面な表情を浮かべる魏無羨にため息をつき首を振る。
    「なんだ違うのか? まあいいや」
    あっさりと席から離れ自分の席に戻っていく魏無羨を視界に入れながら藍忘機は気が気ではなかった。
    (魏嬰が誰かと付き合う……)
    授業中、表情はいつもとかわらず皆は一切気が付かなかったが藍忘機の頭の中には朝の魏無羨の告白がいつまでも木霊して心在らずで午前中を過ごしていた。
    「なぁ、藍湛」
    顔を上げると朝と同じように魏無羨が自分の席の前に寄ってくる。
    「お前何か調子悪い?」
    「……」
    「んー、朝は普通だったのに何かいつもと違うんだよな……ん、熱は無いな」
    額に手を当てて熱を確認され耳に熱が集中するが幸い気が付かれなかった。少しひんやりとした手が額から離れていくのを見ながら魏無羨本人も自分から離れていってしまうという不安に駆られ思わず彼の手を掴む。
    「わ、どうした? 本当に今日のお前何か変だぞ?」
    魏無羨はいつもなら触れられるのを嫌い自分から触れてこない藍忘機に手を掴まれて驚いた声を上げる。
    「……」
    「だんまりか。あ! そう言えば朝に話したあれさ、覚えてるか?」
    衝撃的な内容で忘れられるわけがない。聞きたくないが返事をしない訳にもいかずに「うん」と頷く。
    「流石藍湛。よく覚えてたな! もう午後になったしその話の続きを教えてやる」
    他の誰かと付き合うなどと聞きたくないが聞かない訳にもいかず続きを待つ。
    「よーく聞けよ? まず今日は何の日か分かるか?」
    (何の日とは……? 何か記念日だっただろうか?)
    思いつかずに首を傾げる。
    「分からないか? じゃあ今日は何日だ?」
    「……四月一日」
    「そうだ。四月一日と言えば?」
    (!? もしや……)
    「……エイプリルフール」
    「当たりだ!」
    (まさか……自分の都合の良い方に考えても良いのだろうか? しかし聞いてみないと分からない)
    意を決して藍忘機は問いかける。
    「……つまり、朝の告白は嘘か?」
    「そうだよ。残念ながら告白されたってのは嘘だ」
    藍忘機がすっかり信じていたのに気を良くしいたずらが成功したと満面の笑みを浮かべている。
    (……人の気も知らずに……)
    嘘をつかれ僅からながらの怒りを感じたがそれよりも彼の話した内容が嘘であったことに安堵した。
    「魏嬰」
    「ん、なんだ?」
    「……君を好いている」
    「へ?」
    彼は突然の告白に一瞬キョトンとした表情を浮かべた。可愛らしい表情に頬が緩む。
    「あ! お前今のは俺がついた嘘に対するいたずらだな!? 一緒信じそうになったじゃないか!」
    魏無羨は藍忘機の表情が柔らかくなったのを見て言われた言葉を嘘だと思ったようだ。

    ―エイプリルフールの日に嘘を言って良いのは午前中だけ。藍忘機が言ったのは果たして……
    魏無羨がその真実を知る日はまだ先―
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