良牙をお届け 小説編 良乱らん 腐 『不器用なふたり』
夕暮れの道場。
いつものチャイナ服姿、黄色の服を着た良牙と乱馬は、いつものように実践稽古で蹴り技を交えながらぶつかり合っていた。
互いに息を荒げながら、どちらからともなく手を止める。
「……はぁ、やっぱりてめーとは、やってらんねえ」
「ぜえっ、ぜえっ、こっちのセリフだ!」
吐き捨てるように言い合いながらも、顔を見合わせた瞬間、妙な間が生まれる。
「ふんっ」
お互いに同時にそっぽを向いた。
「まぁいい稽古になったぜ、ありがとな、Pちゃんっ」
皮肉たっぷりに笑った乱馬に、良牙のこぶしがごいんっと炸裂。
「いってえええっ! このやろう、痛えだろうが!!」
「ふん、貴様が悪い」
それ以上は踏み込まず、良牙はふいと風呂場へ歩き出す。
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