12000%スター 未来のスター、天馬司は悩んでいた。それはもう、大いに悩んでいた。
腕を組み歩く男女を横目に見ては呻き声を上げ、クラスメイトの恋バナに耳をそばだて、古典の授業で指名され朗読した恋歌は「いや、違うな。読み直しさせてください!」と繰り返し教師を困惑させていた。ちなみに、その朗読の声は学年全員に聞こえるほど響き渡っていたので、司の学年でこの短歌を知らぬ者はいなくなった。
家でもその様子は変わらず、「お兄ちゃん、どうしたの?」と聞いた咲希は、返ってきた答えに引っくり返った。
恋の悩みだ、という答えに。
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ことの起こりは一週間ほど前。ワンダーランズ×ショウタイムは次のショーを決めるため、いつものように話し合いをしていた。
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