間接キス(ver.銀時)「金時!帰りにゲームセンターに行かんか?」
「あー今日は無理。」
「何だ、またアイツか?」
「おう。」
「俺達以外に友達が出来るとは…俺は嬉しいぞ!」
「はいはい。っていうか残ろうとするなよ。散れ、帰れ。」
ガヤガヤと騒ぎ立てる幼馴染たちを追い払い、1人静かになった教室で息を着く。
カラカラと窓を開けると、蝉の声と共に入ってきた風がカーテンを揺らした。
3階の1番奥、俺らの教室の窓際の椅子。そこは俺だけが知る秘密の特等席。野球部の副キャプテンであるアイツがよく見える場所。
窓の外へ目をやると、グラウンドでは野球部がピッチングの練習をしているようだった。その中でも一際輝いているように見えるアイツ。
全員同じ帽子、同じユニフォームに身を包んでいるはずなのに、どこにいても分かってしまうのは、この叶わぬ想いからだろうか。
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