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    otibakara

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    黎明の過去

    生まれは日本。
    日本で育った記憶はほとんどない。
    強いて言うなら小さなパンジーが道端に咲いていたな…くらいだろうか。本当にそれくらいしか覚えていないのだ。
    ある日突然知らない男に捉えられて、無理やり漁船に投げ込まれた。
    知らない国に着いたあと体をくまなく触られて、値段が着いた。
    確か$4500000くらいだったはず。
    物好きなジジイが俺を買っていった。
    その後知らない大人に中国語を教えこまれ、出来ないと殴られた。
    しかし、そこにいれば食いっぱぐれることも無ければ施設の子達に虐められることも無い。
    だからその環境で我慢していたというのに、ジジイはある日妙な手つきで俺に触れてきた。
    それが気持ち悪くて気持ち悪くて気持ち悪くて俺は屋敷から肌着のみで逃げ出した。

    屋敷をとび出たあとはゴミ箱を漁って何とか食いつなぐ日々だった。
    寒くてひもじい。
    そんなことを思いながらゴミ箱の近くでうずくまっていると突然声がかけられた。
    自分より少し上くらいの少年の声に顔を上げる。
    「お前そんなとこで何してんの? 」

    少年は自身を梓豪と名乗った。
    そして行き場所がないのであれば自分と一緒にこればいいと俺の手を引いてくれた。
    久々に触れる暖かな手の体温に胸が締め付けられそうになった。

    その日から俺は梓豪達と生活することになった。
    梓豪は毎日街に出て俺たちの生活費をスリや強盗、身売りや殺人で儲けてくる。
    自分が来たから生活が困窮したのかと聞けばそんなわけないだろばーかと少し強めに殴られた。
    梓豪はホームレスの癖になかなか博識なやつだった。そいつから計算や文字を習った。

    ある日、梓豪が家に戻ってこなくなった。
    2日も帰ってこないなんてありえない。
    …このままあいつが帰ってこないのであれば自分が稼いでこなければいけない。
    そう思って家を出、街に繰り出しターゲットを決める。
    そぅっと近づいて財布を取ろうとしたが簡単にそれはバレてしまい、それ以降俺は梓豪達の元へ帰ることが出来なくなった。

    数年がたち体も大きくなった頃、仕事でたまたま寄っていた街で本当に偶然梓豪と再会した。
    嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
    少し仕事で危ない状態ではあったが昔敬愛していた兄に出逢えただけで俺は十分だった。

    俺はとあるマフィアの情報を敵対組織に売った
    しかしそれが本当にまずかった。
    その情報を売った組織と手を組んでいる組織のNo.2が梓豪の所属する組織だったからだ。

    ある日梓豪に呼ばれて居酒屋に行くと突然変なガスを顔に吹きかけられた。
    ふらりとする感覚。
    あぁ、倒れるなと思ったが体に強い衝撃が走ることは無かった。
    腕を掴まれてゆっくりと地面に下ろされる。
    すぐ近くで
    「連れて行け」
    と梓豪の声が聞こえた。

    体が大きく揺れて目を覚ます。
    「…」
    「起きたっすか」
    隣から梓豪の声がする。
    振動具合からきっと車に乗せられている。
    そこから数分走った後車は止まった。
    「ここからは俺が担当するっすから」
    「でも梓豪さん」
    なんて声が聞こえてくる。
    そんな口論を数分聞いた後、行こうと言われて手を引かれた。
    ガタガタの舗装されていない道を歩く。
    なんとなくだが未来に予想は着いている。
    「…えっと、俺死ぬ感じ?」
    そう言うと少し俺の手を引く梓豪の手に力が籠った。
    「ヘマするとは…」
    「反省するところそこじゃないっすよ」
    昔みたいな会話…懐かしいな。
    「ねぇ。梓豪」
    「…」
    「聞いてるの?」
    「…」
    「どうして返事してくれないの。ハオ兄」
    ぴたりと動きが止まった。
    「死ぬんすよ今から」
    「まぁ、俺がヘマしちゃったからね」
    「…そうっすか、」
    また歩き出す。
    きっと次梓豪の足が止まったらそこが人生の終着点だ。
    「最近どう?梓豪」
    「どうって…普通っすけど」
    「え~!?好きな人とかできたの~!!」
    「そのノリ辞めてくれないっすか!?!はぁ!なんかもう鬱々としとるのあほらしいっすわ」
    けらけらと軽い笑い声が聞こえた。
    「…俺ね、本当は家族欲しかったんだ」
    「家族?」
    「そう。あの日ハオ兄が与えてくれたみたいなそんな暖かい家族」
    梓豪の足が止まりずっと付けられていた目隠しを外される。
    わあとつい声が漏れてしまった。
    崖すれすれのところに立たされて、さらに下にはワニときた。
    「これなら死体処理簡単っすよね」
    「…まぁな」
    「ねぇ、ハオ兄。」
    「背中押すぞ」
    「あの日、俺の手を取ってくれて有難うね」
    梓豪の歯を食いしばる音とともに背中を勢いよく押されて地面から足が離れた。
    梓豪の歪んだ表情が見えた。
    殺させちゃってごめんね。
    ざばん。
    ぶくぶく。
    痛い。痛いなぁ。
    どうせなら一瞬で殺してくれたらいいのに。
    四肢から裂いて行くのほんとなんなの…。
    痛いなぁ苦しいなぁ。

    生まれ変わったらさ、1度でいいから恋をして暖かな団欒をもう一度試してみたいんだよね俺。

    …なぁんて、こんな罪人の祈り、神様が聞いてくれるわけないか。
    これにて【完】!!!なんちゃって
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