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    kanaemon302

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    kanaemon302

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    看病

    冬玄が風邪をひいたらしい。
    「ということで、嫌がらせにお見舞いに行こうと思います。」
    「はい!」
    「はい、虎白くん」
    「お見舞い用のもの買ってってもいいですか」
    「それは行きがけにみんなで買いに行こうと思います」
    「は〜い」
    「南香ちゃん」
    「お見舞いは分かるんですけど、なんで嫌がらせなんです?」
    「あぁ、それは...」
    事の経緯はこうだ。
    今日の朝、冬玄から用事があるので今日は休むという連絡が入った。
    そこまでは別にいい。
    個々の用事があるのは仕方ないことだし、あいつはバイトもやってるからそっち方面だろうと思っていた。
    けど、昼頃にあいつのバイト先に用事があったので向かうと、
    「冬玄くん風邪なんだって?お大事にって伝えといて!」
    と言われた。
    つまりあいつは俺達には風邪であることを隠していたのだ。
    「まぁこういう感じ」
    「なるほど〜」
    「行かない?」
    「行きましょう!」

    道すがらお見舞い用のあれこれを買い(お見舞い品を虎白くんに選ばせたらお高めのやつになった)冬玄の家に向かう。
    チャイムを押して数秒待つと、冬玄本人が出てきた。
    「なんでいんの...」
    「よっ」
    「やっほ〜」
    「リーダーお見舞いに来たよ!」
    心底嫌そうな顔をしてるが、髪はボサボサだし顔は赤い。
    「バイト先を口封じするのを忘れたな」
    「あそこか...」
    「お邪魔しま〜す」
    「しま〜す」
    冬玄が頭を抱えたすきに2人が家に入る。
    「ちょ、おいこら」
    「お邪魔します」
    「お前も...!離せよ!」
    俺が入るのを防ごうとした冬玄の体を抱えてそのまま家へ。
    「結構熱高いのな」
    「歩けるから降ろせよ!」
    「ろくに抵抗できてない時点で元気ないんだから大人しくしてろよ」
    「くそ〜...」
    じたじたしてる間に体力が無くなったのか、大人しくなった冬玄を連れて部屋に向かう。
    ベッドに乗せて、布団をかけるが即座に起き上がろうとする。
    「寝てろよ」
    「寝てられるか!なんで来てんだよ...」
    「お見舞いと嫌がらせ」
    「嫌がらせ」
    「俺達には隠したから」
    「...だってさぁ...」
    「だっても何も無いよ」
    そう言って1度閉めた部屋のドアを開けば、果物を持った虎白くんと着替えを持った南香ちゃんがいる。
    「お見舞い来ちゃダメだった...?」
    「ぐっ...ダメじゃないけどさ...」
    「やった〜!」
    そのまま2人が部屋に入るのと入れ替わりに部屋から出ていく。
    後ろから「重い!降りろ!」「元気なんでしょ?」「限度がある!」なんて聞こえるけど、叫べるなら大丈夫だろとスルーしてキッチンへ。
    材料を用意してお粥を作る。
    切って、入れて、煮込んで...と進めてる間に、虎白くんが来た。
    「どした」
    「お皿とナイフ貰いに来ました」
    「あぁ、果物用の...」
    探して渡してやるが、戻らない。
    「まだなんか探してる?」
    「ううん...ただ...」
    「うん」
    「何で冬玄先輩は風邪ひいてるの隠そうとしたのかなって」
    心配するのはダメなのかな...。と虎白くんは言う。
    「そんな事ないよ。」
    その頭を撫でながら答える。
    「あれはあいつの意地とプライドと、一応遠慮と優しさだろうから」
    「うん...」
    「気に食わないなら持ってきた果物全部食わせな」
    「ふふ...先輩そんなに食べれないよ」
    気分が戻ったのか、元気よく切ってくるね!と戻って行った。
    それを見送ってお粥作りを再開する。
    ああは言ったが、多分八割くらいは意地と遠慮だと思う。
    1人でも平気という気持ちと迷惑かけるしという気持ち。
    迷惑くらいかければいいのに。
    それくらいで離れる気なんてさらさらないんだから。

    考えながら作ってる間に結構な量になってしまった。
    まぁ最悪持ち帰ろうと、お粥を皿に入れて持っていく。
    「おら食え」
    「なに...お粥か」
    「おいしそ〜」
    「先輩食べれる?」
    「リーダーにあ〜んしてあげな」
    「あ〜ん」
    「やめろやめろ!自分で食えるわ!」
    「固まるからはよ食え」
    わいわい騒いでるのに一言注意を入れる。
    大人しく食い始めたのを確認して、自分も座る。
    「父親もいないんだから大人しく頼ればよかったのに」
    「うるせ...1人でも平気だし...」
    「着替えれてないし、夕方にもなって飯も食ってなかったのに?」
    これはさっき確認した。
    鍋どころか食器を使った形跡すらなかった。
    「次も言わなかったら同じことするからな」
    「...分かったよ...」
    ぶすっとした顔のままお粥を食べるぬを見ている。
    別にそういう所を直せとまでは言わないけれど、こいつが俺達には遠慮をしなくなって、弱ったところを簡単に見せられるようになればいいなとは思う。
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