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    kiribako_game

    @kiribako_game のマイハン創作メモ&落書き置き場。うちよそ落書き多め。

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    桐箱宅の青い星についての記録、第一幕。

    ##青星創作

    【創作】とあるハンターについて【第三者視点】■1. とある集落の男
    「あぁ、見た目は4、5歳ってところだったか?俺が発見した。そん時はあばらが見えるくれぇ痩せていてよ。ガキが一人、よく野垂れ死ななかったもんだ。まぁ、あの森には木の実や果実、人間が食えるもんがそこかしこに生っているしな。食いつないで運よく生き延びたんだろうよ。しっかし、言葉が分からねぇようで、会話ができねぇのが面倒だったぜ。親のことを聞いても首をかしげるばかり。自分の名すら分からねぇ。どこで生まれて、どこから来たのかさっぱり。ったく、一体親はどんな育て方を……いや、今のは忘れろ。結局あのガキの出自については誰一人、本人ですら分からねぇんだからな。はぁ、ガキはガキらしく泣きべそのひとつでもかけばまだ可愛げがあるもんだが……あのガキが泣くところは見たことねぇな」

    ■2. とある集落の娘
    「子宝に恵まれなかった私たちのもとに来てくれたあの子を、私たちは愛情を注ぎ大切に育てました。栄養のある食事、清潔な服、寝心地のよいベッドを与えました。身ぶり手振りではなく、言葉を介して他人と意志疎通を図る術を教えました。そうして、少しずつあの子との距離を縮めていこうと努力しました。実の親でなくとも、愛情を込めれば、きっと本当の親子になれると信じていたのです。……けれど、あの子は最後まで私たちに心を開いてくれませんでした。いえ、私たちだけではありませんね。誰にも、あの子は心を開きはしなかった。ああ、決して悪い子ではないのです。言葉が分かるようになってからは、私たちの言い付けはきちん守ってくれますし……駄々をこねたり、癇癪を起こしたり……この年齢の子供なら『普通』のことですが、あの子は一切そんなことはしませんでした。聞き分けのいい子です。ただ……いつも、遠くを……ここではないどこかを見ているようで……私は、私は……仮にも育ての親なのに、あの目が恐ろしかった。なにか私たちとは違う生き物なのかと思えて……ひどく恐ろしかったのです。……あの子は、よく一人で海をよく眺めています。家にいない時はだいたい砂浜や岩場にいて……でも海が好きだから、というわけではないようで……ただ、じっと海を見つめているのです。いつかなにかに招かれるように海に入っていって、そのまま帰ってこないんじゃないか……そんな風に感じたこともありました」

    ■3. とある集落の子
    「ねえねえ!あのこね、へんなの!へんだから、ほかのこたちはあまりあそんであげないの!だから、あたしだけあそんであげるの!だって、ひとりじゃさびしいでしょ?さびしいと、ここがいたくなるから……それはいやだから。だからあそんであげるの。あたしがあそぼうっていうと、あのこ、いつもうなづくけど……けど、あそんでもぜんぜんたのしくないの。なんでなんだろう?あ、あとねあとね!ときどきね、よくわからないことばでしゃべるの!なにいっているかわかんないっていっても、こたえてくれないの!やっぱりへんなこ!」

    ■4. とある集落の老人
    「子は皆の宝。血の繋がりがなくとも、この集落の者たちは皆が家族じゃ。支えあい、助けあい、そうしてわしらは生きてきた。子は皆で大切に大切に育てるものじゃ。森からやってきたあの子も例外ではない。……ふむ、きっとあの子は『特別な子』に違いない。わしは最初からそう確信していた。他の子らと比べれば違いは一目瞭然じゃ。『子供らしくない』『何を考えているか分からない』『不気味』皆がそんな風に思うのも無理はない。それが『特別な子』故に生まれ持った定め……というものじゃ。森では十分な食事もままならなかったのじゃろう……そのせいで成長が遅いようじゃが、いずれは立派なハンターとなろう。そうじゃ、あの子はハンターとして大切に育てなければならない。いつかわしらを守ってくれるはずじゃ。……あのような悲劇はもう繰り返してはならん。決して」

    ■5. とある村の教官
    「あの年齢にしちゃあ身体が華奢だ。筋肉も不十分。確か森で拾われたんだったな?……まあ、なんだ。今はそれなりの食事をしているようだからな、じきに成長期がきて背も伸びて筋肉もつくだろうさ。一通りの武器を触らせてみたが、重い武器はまだ扱えねえな。双剣が今は手に一番馴染んでいるようだった。身体が小せぇから、モンスターの懐に潜り込んで手数で攻める。戦法としては悪くはねぇ……今はまだな。ありゃあ森に住んでいたせいなのか、気配には敏感だ。目もいい、耳もいい。元野生児なだけある。そうだな……筋は、悪くない。悪くはないが、あれは危険だ。何のために、誰のために、武器を持つのか、そして戦うのか。その意思があいつにはない。……いつか、取り返しのつかないことになりそうだ。そんな予感がする」

    ■6. とある村のアイルー
    「まぁまぁ。あなた、またあの子と一緒にいるんかねぇ。そうかい、そうかい。最近、訓練を頑張っていると思うてたけど、あの子がいるおかげなんねぇ。毎日二人で一生懸命訓練をして、汗水流して、そして温泉に入って疲れを癒す。本当、仲が良いのねぇ。あたしも嬉しいのよぉ、あなたに素敵な出会いがあってなぁ。心なしか、あの子も初めてここに来た時よりも表情が和らいでいるように見えたわぁ。うふふ。それにしてもあの子……一体どこで言葉を覚えたのかしらねぇ?あなたから話は聞いていたけんど、まさかあたしたちの言葉を喋れるなんて信じていなかったんよぉ。秘密?二人だけの?まぁまぁ、バァちゃんにも教えられないのかい。それは残念」

    ■7. とある村の住人
    「見つけた時、俺ァ正直もう助からないと思っていたぜ。ナルガクルガの棘で首を負傷。出血もひどいもんだった。首だけじゃない。体中傷だらけ。双剣を握り締めたまま倒れていた。きっと、無茶な戦い方をしたんだろうな。この年の子供が……ハンターとして育てられたからとは言え、勇敢なものだ。立派だと、連中も言っていた。……運良く命拾いしたんだ、これからも生きていってほしいもんだ。じゃねぇと、目覚めが悪くなる」

    ■8. とある村の医者
    「あの子が目覚めた時は大変だったよ。例のアイルーが泣きながら抱き着いて離れなくってさ。まったく。傷が開く前にすぐ引き離したけど、それでもしばらく暴れてたんだ。……確かあのアイルーってオトモアイルーになりたいって言ってるんだよね。そう……きっと良いオトモになるだろうね。あのアイルー、四六時中あの子のそばにいたよ。『いつ目覚めるか分からない』からってさ。額に当てている濡れ布を取り返えたり、包帯を巻き直すのを手伝ったり、時々名前で呼び掛けたり。食事もずっとベッドのそばで取っていた。……あの子の事情はなんとなく聞かされているけど。うん。きっと幸せ、なんじゃないかな。ああして気にかけてくれる存在がいてさ。二人とも良いコンビになりそう」

    ■9. とある気さくなハンター
    「療養のために遠路はるばるやってきたけど、いやあ~飯はうまいし、温泉は最高だし、言う事ないね!来て大正解!ハンターの出入りも多いから、こうやって情報交換できるのもいいねえ!というか聞いてくれよ。この前もこうして温泉入っていたら、隣の集会所からすんごい怒鳴り声がしてさあ……あと一歩間違えたら酒が気管に入るところだったよ。あ?療養中なのに酒飲むな?細かいことは気にすんなって!」

    「まあ、そんで、修練所でリハビリしている時に見かけたハンター見習いの子供が正座させられていて、その前にアイルーと教官が仁王立ちしていてさあ……二人ともすんごい剣幕。なんか『何度怪我すれば気が済む!』とか『双剣だと無茶な戦い方するから使用禁止!』だとか『新しい武器に変えるぞ!』とかなんとか。武器ってえのは、一度手に馴染むとなかなか変えるのが難しいんだよなあ。あの子供、首に包帯巻いていたし、怪我したクチかな?オレと同じで。……なあ、アンタ。なんか身体に負担が少なかったり、怪我した身体をカバーできる、そんなオススメの武器ってねえかな?って、都合が良すぎか?あははっ」

    ■10. とある集落の少女
    「もともと変な子だった。いつも一人でいて、海ばかりを見ていて……周りの子と遊ぶこともあったけれど……『心はここにあらず』って言うんだっけ?いつもどこか違うところにいたの。でも……あの子は変わっちゃった。わたしが知らないところで。山向こうにある村でハンターの修行を始めて……それから、あの時……大怪我した時から、かな。あの子は変わっちゃったと、思うの。うまく言えないけど。小さい時から見ていたのに。小さい時からそばにいたのに。今はもう知らない子みたい。大人にダメって言われても、山にふらっと一人で出掛けて、薬草やキノコや特産タケノコ、それから生肉も取ってくるようになったの。でもね、採取が目的じゃないのは、なんとなく分かるの。まるで何かを探しているみたいなの。何かは、分からないけれど」

    「……あと、村で知り合ったっていうアイルーとよく一緒にいるって大人たちが話していたの聞いたの。わたしも、一度だけあの子が村の修練場で訓練しているのを見に行った時に見た。赤毛のアイルーで、たくさん話す子だった。『最近、オキは新しい武器を使い始めたニャ』とか『オキはきっとすごいハンターになるニャ』って言って……わたし、ここがね、きゅうってなったの。少し……痛かった。なんで、なんだろう?わたし、かなしいのかな?分からないの。あとね、あとね。帰る時にね、二人がこそこそと内緒話しているのを見たから、わたし『何を話しているの?』って聞いたの。でも『なんでもないニャ』って言われちゃた。仲間外れにされちゃった。……きっと、あのアイルーは、あの子の言葉が分かるんだね。いいなあ……なんで、小さい時から一緒にいたわたしには分からなくて、あのアイルーには分かるんだろう」

    「うん……でもね、いいの。だってあの子は、わたしたちを守るためにここにいるんでしょ?おじいちゃんがそう言ってたもん。だから、いいの。あの子が、いなくならないなら。それでいいの」

    ■11. とある村の新米オトモアイルー
    「……ボク、ここを出ていくニャ。ほ、本当は、オキと一緒に、いたいニャ……。いつかハンターとオトモアイルーになって、一緒に外の世界を旅しようって言ったのもウソじゃない……ニャ。で、でもオキは、オキの場所を守らないといけないニャ。そ、それが『おつとめ』だって……集落のヒトたちが、言ってっ、ボクは……『部外者』だって……!オキは、あそこでたくさんのヒトから必要とされているニャ……!ボクひとりが、一人占めしちゃダメニャ。だから……ウニャア!?オ、オキ、どこ行くニャ!?おうちに帰るニャ!?ま、待つニャー!!」

    ■12. とある集落の息子
    「長老、もうやめにしましょう。あの子が……初めて口にした望みです。あの子が初めて、自ら何かを望んだんです。森であの子を保護し、我々の手で育てました。この集落を守るハンターとして。あの時、あの子は驚異から我々を救ってくれました。命懸けで。それで、もう十分ではありませんか。もう終わらせましょう。貴方がこの集落の将来を憂い、抗おうとしているのは皆知っています。ですが……あの子はもう、解放してあげましょう。手放す時が来た。ただ、それだけです。あれは、ここに留まる存在ではありません。妻も、昔から言っていました……わたしも、いつかこんな日が来ると心のどこかで思っていました。それに……初めて、あのように感情をあらわにする姿を見て確信しました。あれは……我々の手に終えるものではありませんよ」
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