手を繋いで帰ろう♪〜夕焼け小焼けで日が暮れて
♪〜山のお寺の鐘がなる
秋は、日毎に深まっている。
悪魔執事の主人は、担当執事を務めるミヤジに誘われて、屋敷の裏に広がる森の小路を散策していた。
乾いた空気に晒された下草や落ち葉が、足を動かすたびにかさかさと音を立てる。姿を隠した鳥たちや虫たちも、澄んだ声を響かせており、森の中はちょっとした音楽会のようだ。
「主様、疲れてはいないかい?」
先導するミヤジが問うが、屋敷を出てからまだ十分も立っていない。心配性の執事に、女は「やっと体が温まってきたところだ」と元気いっぱい答えた。
二人はゆっくりと森を進んでいく。予定では、湖畔まで行って、少し休憩をしてから屋敷に戻ることになっていた。
1805