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    センリ°F

    メディア欄整理のためのプラス用格納庫。ぷらいべったー以外のサブのシリーズものを置いています。

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    センリ°F

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    現パロ🃏💋🐯宅の居候猫こと🌸
    *某ぬいぐるみが出ます

    -🃏相手プラスだけど逆ハー気味
    -🐯は🃏💋宅の同居人
    -🃏がある日🌸を拾ってきた
    -恋人というよりもほぼペット扱い
    -ゆるいシリーズ

    ##同居人シリーズ

    ニャンコの話愛くるしい瞳…いや、サングラスしてるしな。茶色いふわふわの毛並み…いや、なんか毛もピンクだよな。かわいい首輪…いや、そもそもコート羽織ってるし。
    ロシナンテは“それ”をどう形容していいかわからず、ついでに煙草がどんどん短くなるのにも気づかず、換気扇の下に立ち尽くしていた。
    「かわいい…!」
    「いや、可愛くはねェだろ、ソレは」
    「フッフッフ…ロー、おまえ分かってねェな」
    兄上の手のひらが猫の額へ乗る。“それ”を頭の上で掲げるように抱っこした彼女は、瞳をキラキラさせてはしゃいでいた。その横で思い切りしかめ面をしているローに、今日は同意だ。
    「ドフニャ!あなたドフニャっていうのね!」
    「いや、おまえ勝手に付けたろ、名前」
    「フッフッフ…ちなみに商品名は“カリスマシリーズ vol.1 悪のカリスマ猫”だ」
    紛いなりにもイチ企業のトップに酷似したネコのぬいぐるみに『悪のカリスマ』と名付けるのはどうかと思う。
    ちなみに、正確に言えば商品化は立ち消えとなった。理由は社内にサンプルを回した時点で、何らかの根回しにより在庫が根絶やしになったためだ。ロシナンテの推理によればおそらく、頬にクリームパンをくっつけている男と、常に「若ァ!」と鳴くパンクヘアーの男と、優秀な美人秘書のせいだ。絶対そうだ。
    そんなことはつゆ知らず、兄にそっくりのぬいぐるみを抱いてはしゃぐ猫は、お気に入りのアイスを買ってもらったときよりも喜んでいる。ローのツッコミがちっとも耳に入らないのはいつものこととして、兄に撫でられても、珍しくそっちを見ようとしない。
    柔らかな髪を撫でる兄の手つきも、まなざしも優しい。自分を模したぬいぐるみを気に入られて悪い気はしないのだろう。ロシナンテは兄の、存外純真な部分を発見して驚いていた。
    「ドフニャ〜!これからずっと一緒だよ!」
    むぎゅ。スリ。にゃっふっふっ…。
    そんな鳴き声が空耳で聴こえそうなほど、猫の胸の中でムギュムギュ抱き潰されるネコは、食えない笑みを浮かべていた。何とは言わないが柔らかそうだ、あの中は。ちなみにロシナンテは不可抗力で知っている。
    対して、それをジト目で見つめるローの表情は暗い。アレは「またろくでもねえことが起きるな」と面倒がっている顔だ。なんだよ、ヘンなネコのぬいぐるみが一匹増えただけじゃねェか。
    むぎゅむぎゅ。スリスリ。にゃふっ。
    チョコレートピンクの毛並みを愛おしそうに撫でた彼女は、なめらかな額をじっと見つめて、そっと唇を落とした。音のない、柔らかなキス。ネコにくれてやるにはいささか甘い。
    「ずっと、いっしょだよ」
    茶色のまつ毛が下りる。瞳を閉じたまま、三角の耳へそっと囁いた彼女の口元が、ふわふわと緩んでいるので、釣られてこちらも笑顔になる。
    よかったなあ、猫ちゃん。親戚のオジサンよろしくロシナンテは満足そうに頷いていたのだが、大きな手のひらがにゅっと伸びてきて、ピンクのソレを掴んだ。
    「…さすがに妬けるな。そうだろ?ロー」
    「俺に言うな」
    兄の口角は上がってはいるが、口元は緩んでいない。しかし、むんずと掴んだネコを手荒に扱うことはしない。
    お気に入りを腕の中から取り上げられた猫は、あ、あ、と手を伸ばす。その手がワザと届かないような位置でぬいぐるみを持っている兄に、ロシナンテはああと合点がいった。
    滑らかな髪を撫でる兄の手つきも、まなざしも優しかった。自分を模したぬいぐるみを気に入られて悪い気はしないのだろうが、それとこれとは別だ。ロシナンテは兄の、存外子供じみた部分を思い出した。
    ローの声色にドフラミンゴは食えない笑みを深くして、ネコを自分の頬へ近づける。
    「俺よりもコイツがいいのか?」
    スリスリ。にゃふっ…。
    キツい。ロシナンテは珍しく兄にドン引きした。いい歳したオッサンがぬいぐるみを自分の顔と同じ画角に入れるなよ。いくら顔がよくても、やっていいことと悪いことがあるぞ。
    しかし、兄の目の前の純粋な生き物には効果てきめんだったらしく、ちょっと眉を下げた兄の顔に、う、と珍しく怯んでいた。なるほど、照れ屋じゃないけどああいうのは効くのか。可愛いじゃん。
    対して、たじろぐ猫を横目で見つめるローの目線は冷ややかで。アレはドフラミンゴの罠だ。そうでなくてもただの茶番だ。誰がこんなオッサンの白々しい演技を見せられて喜ぶ?
    2人の反応はそれぞれだが、猫はとにかく固まっていた。ドフニャは可愛い。でもドフィさんも可愛い。どちらか一方なんて選べない。
    「う……う……」
    みるみるうちにくしゃくしゃになる顔。泣きだしはしないだろうが、明らかに「どうすればいいか分からない」と書いてあるので、ドフラミンゴはいよいよ面白くなって口の端を釣り上げた。
    「フフフフッ!少しオアソビが過ぎたな!冗談だ」
    長い腕が猫を抱き上げる。泣く子をあやすように肩口へそっと押し付けて、背中をぽんぽんと叩く仕草は、やけに所帯染みていた。
    「ん…ドフニャ……」
    ぬいぐるみを手渡されて、猫はもういちどふわふわの毛並みへ頬を寄せたが、胸に抱き寄せたあとは、主人の首筋へそっと鼻先をくっつけた。
    少しつめたいそれを押し付けられて、ドフラミンゴはまた笑う。
    「今日はソイツと3人で寝るか」
    「ウン…」
    穏やかな兄の声に、ロシナンテは胸の奥がジワと暖まるような、くしゅりとむず痒いような気になって、随分と短くなった煙草をふかした。紫煙が迷いなく換気扇へ吸い込まれてゆく。
    「ずっと、一緒がいいの」
    静かな声は、ドフラミンゴの耳へそっと届いて、胸を満たす。
    ああ、と曖昧な返事をして、男はチョコレートピンクの毛並みごと、猫の頭をもういちど肩口へ押し付けた。その口元は小さく緩んでいたが、誰にも見られずにふわりと解けて消えた。
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