愛しの兎をいただきます羅刹学園の廊下を歩いていた四季は、目の周りから印南と紫苑が歩いて来るのが見え満面の笑みで駆け寄った。血を口元から流し軽く手を上げる狼の印南と、笑みを携えながら煙草を咥え手を上げる虎の紫苑に、兎の四季は垂れた耳を後ろに倒し尻尾を左右に勢い良く振りながら、満面の笑みで嬉しげに駆け寄る。その姿が二人は可愛く食べたいと思いながら、自身の恋人が愛しいと思いながら駆け寄る四季を見ていた。
「幽さん!紫苑さん!」
「久しぶりだな少年。その元気さがGood…ガハッ」
「四季ィ久々だなぁ〜今日も可愛くて紫苑さん嬉しい〜」
四季が目の前まで走り来て、頭を撫でる紫苑と肩に手を置く印南に四季は耳を後ろに倒し、幸せそうな笑みを浮かべ笑う姿に、二人はこの少年を絶対に失いたくは無いなと思い食べ尽くしたいと思いで見ていたのだ。
紫苑と印南な時折耳を動かし、印南は四季の腰ふりふりと動かす短い尻尾が愛しく、紫苑は四季の足首に尻尾を絡める。分かりやすい愛情に四季は嬉しくなり胸の中が温かく満たされる様な感覚になった。四季は満面に笑い学校であった事を沢山話し始めるのだ。
そんな四季を見て、時折学友に触れられた話題が出る度燃え上がる様な嫉妬心と渇望に、二人が懐く思いは深くどろりとした闇が煮込まれる様な、昏い感情で埋めつくされている。四季を絶対に失いたくない、抱いて自身を刻み喰らい尽くしたい、そんな思いを抱き隠していた。二人は四季と恋人になるまで、この少年を落とし奪い合うのに躍起になった彼等は、四季が何方も好きになったと言った時に互いに一瞬目配せをし、考えている事は一緒な友と共有する事にしたのだ。
楽しげに学園であった事を話す少年に、相槌を打ち時々会話に入る紫苑と印南は、主に印南が血を履きながら褒め紫苑がそれに時々触れながら、四季の話題を上手く時折からかいを交えながら話す。揶揄う度に四季は怒るが、それすら可愛いと思う二人はからかうのが辞められず、主に紫苑が揶揄うのに対し印南は褒めると言う、飴と鞭の使い方が上手い為に四季も二人といて楽しくて幸せなのだ。
いつの間にか人気の無い廊下に移動していた事に気づいた四季は、小窓から光が微かに入るだけの暗い廊下に背を押し付けられ、彼等から片手ずつ壁ドンをされ覆いかぶさる様な体制に冷や汗が流れ出す。
「少年、私達がただ話して帰るだけと思ったのかい?」
「折角来たんだからヤラなきゃダメっしょ。俺も此奴も2日休みだから、先輩からはお前の休みもぎ取ったしまあこんな所だけど摘み食いぐらいは許されるよね」
狼と虎に睨まれた四季は、目を細め牙を見せ笑う二人に耳をペタンと垂れ怯え尻尾がぴるぴると横に動く。二人の目付きが獲物を捕食する前の肉食獣の表情で、草食動物の四季は食べられてしまうと怯えながら手に壁を付き下がる。
「そんな怖がんなよ。ただキスするだけだろぉ?」
「少年別に怖い事はしない。ただ味見するだけだ」
「………本当に?」
「あぁ………」
四季は二人の言葉に警戒は解かずに気を弛め、肉食獣の目の前にのこのこと現れた草食獣に今にも喉元に噛み付こうとする二人は、目配せし紫苑から四季の口元に噛み付いた。
触れるだけのキスを振らせ、口を自然と開けた四季はそうなる様に紫苑と印南は躾た事に独占欲を懐く。舌を捩じ込み咥内を遊ぶ様に舌を掻き回す紫苑は、歯列をねっとりと擦り上顎を擦ると四季から甘い声が出る事に気分を良くする。
「……ふっ…んっ…はぁ…」
奥に潜む舌を誘い出し、舌を出した所で絡めぐじゅぐじゅと水音をたて絡めていく。四季の弱い所を的確に責められ絡み合う舌は苦く、紫苑の先程迄吸っていた煙草の味が広がってゆく。紫苑とのキスは毎回煙草の味がして苦く、最初は苦手だったがその味が嫌いではなくなった四季は、もっとこの味を味わいたいと自分から舌を絡めていく。
その姿に一瞬目を見開いた紫苑は直ぐに戻り、四季の甘い咥内を堪能する。喫煙者にとって煙草を吸わない者の咥内は甘く、今まで女とのキスもあまり甘く感じなかった紫苑は、四季とキスする様になりその甘ったるいキスに驚き彼が更に好きになり虜になったのだ。
絡み合う舌が生き物の様に絡み合い、四季の腰が砕けそうになった所で紫苑は唇を話す。銀の水糸が舌に引き合いやがてプツンと切れた。何か言いたげな印南に蕩けた四季を取られ、紫苑は反省心も無く無表情で見つめる。
「長いだろう」
「別に普通じゃん」
「流石にやりすぎだ」
「へいへーい。腰砕けなかったのだけ良く思えよ」
口を開き快楽に震える四季に、印南が尻尾を足に絡めながら四季の上に被さる。空いている口に舌を入れ咥内を探る様に絡める彼の舌は血の味がして、四季はその味を求める様に舌を出した事で印南がその舌を捉える様に絡め出す。
激しく絡め合う舌に、戦闘狂なだけありキスも激しい彼は絡める舌が的確に四季の弱い所を強く責めていき、激しく絡め合う舌は血の味が広がり、四季は最初は嫌だったが今では甘く感じるこの味を求める様に更に絡める。
印南の血が逆流し、四季の咥内に溜まるものをコクンと飲み込みそうする様に躾た彼を愛しく思いながら激しく舌を絡め、四季の耳を触りビクリと震え腰が砕けた彼の間に足を入れ支えてゆく。
絡め合う舌は激しく混じり合い四季の喘ぎ声も廊下に響く程には大きくなり、誰も来ない人払いした廊下に四季だけが誰か来たらと思うのを察し印南は彼を可愛く思い更に愛おしさが増した。
「っ…んっ…はっ…ぁ♡」
ぐじゅりぐじゅと絡み合う舌は激しく混じり合い、廊下に響く水音に限界が近い四季を察し後を引かれる様に舌を離す印南と四季の間に引く銀の水糸がプツリと切れた。
腰が砕け地面に落ちそうになる四季の腰を印南が掴み地面に強打するのを防ぐ。
「あっぶね。間一髪だったわ」
「少しやりすぎたかもしれない。加減を出来なかったのは反省点だな」
「そう言って毎回お前加減しないだろ」
「…………そんな事は無い。お前もだろう」
「ハッ、違いねぇな」
印南が四季を横抱きし、姫抱きの様な体制に抱え歩き出すと蕩けた表情でそれにすら気づかない四季を自分達のゲストルームに運ぶのに向う足は速い。紫苑と印南が互いに悪態を付きながら、途中から四季の可愛い所の話になり四季はそれを薄らと意識の中で聴きながら、深く考えられない頭では愛されている事だけは理解した。
紫苑と印南が四季を見つめる目は甘く、執着を深く宿した瞳で笑む姿に四季は彼等の視線に気付かずに、くたりと腕の中で休み呆然としている。
可愛い可愛い愛しの兎、真っ直ぐな君を食べ肉を噛み千切り骨まで砕き最後まで食べるのは自身だから、その瞳を絶対に他に向けるな。いや向けさせる訳が無い。なんせ愛しの兎は自分達だけの番なのだから。
四季を見つめそう思う二人の口元からは牙が覗き、今か今かと食らいつきなるのを耐えメインディッシュはベッドまで残しておくのだった。