危険日予測注意報四季は生理が来る体質である。男であるが生理が来て妊娠出来る男性はこの世界には多く、四季はその体質であった。今朝生理が来てしまい腹を抱えながらトイレから出て来た四季は、ベッドへと寝転がる。すると四季の恋人の彼が部屋に来た。
─────ドアを開け部屋に来た彼は
花魁坂京夜の場合
花魁坂京夜は四季の生理周期を把握している。生理男子の四季は、生理の時期になると腹を抱えベッドから動けなくなる程に重く、3日間はその様に過ごしている。
昨日の朝眠る四季の脇に体温計を入れ測ると、何時も寄り体温が高かった為に、生理予測カレンダーに記入すると直近明日からマークが付いていた。京夜の予測では明日から来るだろうと予想を付けた生理は、確かに今日の朝に四季が腹を痛そうに抱えトイレにへと入ったのに、京夜は予想が当たった事に事前に用意をしておいた粥を持ってくるのだ。
「う"ー腹痛てぇ…むり……もうやだー……」
何時もの高く明るい様子等無く、低いテンションでベッドへと入る四季の元に、京夜が扉を開け入りベッドボードに粥の入ったお椀を起き、生理中は余り食べられない四季の為に、少し大きめの器に入れた卵がゆを四季へと進める。
「ほら卵がゆ作ったよ。食べちゃいな〜その後薬飲んでね!」
四季へと粥の入った椀を渡そうとするが、首を振り嫌がる四季に京夜は困った様に笑う。生理期の四季はいつもこうなのだ。
「いやだ、食べたくない」
「食べるのー!仕方ないな食べさせるから口開けて」
京夜の言葉に口を開ける四季の元に、一口ずつゆっくりと入れていく京夜に、飲み込むとまた開きと親鳥が小鳥に餌をあげる感覚で食べていく四季に、京夜は笑みを浮かべ最後まで食べ切った四季が薬を飲んだ所まで見ると、彼の頭を撫で眠りを促す。
「寝ちゃいな。俺は此処で仕事してるから。なんかあったら言ってね」
「やだ傍にいて」
「もー寝るまで抱きしめていて良いからね」
四季の身体を抱きしめ背中を叩く京夜に、四季の瞼が落ちていく。異様に眠い生理期間は四季は眠ってばかりで京夜の顔が見れない為に悲しみに暮れている。段々と下がる瞼に四季は眠りの世界へと誘わられた。
京夜が四季の眠る姿を見遣ると身体を時離れる。抱きしめ様と藻掻く四季を可愛く思うも、四季の為に休みを取り、四季の傍にいるこの期間は京夜は幸せであった。
再び生理日予測カレンダーアプリを開き呟く。京夜の見る画面には危険日の文字が書かれた日付が乗っていた。
「もう直ぐ、もうすぐだよ四季くん」
そう呟く京夜のの瞳は執着を宿し、浮かべる笑みは妖しく仄暗い闇を携えていたのだ。
四季は生理が終わり暫くし、何かスマホを弄る京夜に風呂上がりで日課の京夜に髪を乾かされ、リビングで暇をする間にスマホを弄る京夜が、四季に笑顔で提案を持ち掛けてくる。
「四季くん今日ヤろうよ!」
「えーまあ別に良いけど最近してねぇし」
「良しなら決まりだね。少しチクッとするけど痛くないやつだから我慢してね」
「……え」
考える間もなく首に打たれた注射器に、四季は意識が遠のく。最後に見た京夜の顔が愉しげに弧が上がり、妖しく光る目が見えた所で意識を閉じた。
四季が目覚めると何故か身体が暑かった。京夜はベッドに座り注射器を弄りながら、四季の起きた様子に気づく。楽しげに四季を見る京夜に文句を付けようと身体に力を入れるが、力が入らない事に四季は驚いた。
「あ、聞いてきた筋弛緩剤」
「きんしかんざい…?」
「大変だったよ〜睡眠薬に筋弛緩剤と妊娠促成剤に媚薬を一気に混ぜて、四季くんが壊れない範囲ギリギリまで強くするの」
「……こんなことしてどうすんだよ」
「どうするって勿論子作りだよ♡」
「きょう先…前に子供要らないって……」
「あれは嘘。四季くんを安心させるためについやつだよ。本当は四季くんとの子供欲しいし、だけど君は応じても子供を作るセックスて負担だからこうするしか無かった」
四季の身体に跨り、楽しげに中身の入った注射器を弄る京夜を見て、愛しているが何処か恐ろしいスイッチが入ってしまった彼に四季は諦める。こうなった京夜は四季でも停められないのだ。
「じゃあ早速ヤろうか。いっただきま〜す」
それから四季は生で何度も中に注がれ、時折京夜が真剣な表情で呟く言葉に薄れた意識を持っていかれた。
『孕め…孕め…孕め…!』
そう祈る様に繰り返す京夜の執着は凄まじく、四季の思いは本当に子供が出来たら良いなと同時に、彼が本当に子供を愛せるのかと言う思いもあった。だって今日は四季を愛し四季に執着しているからだ。本当に愛せるのか心配であった。心の底から。
宮廷医は貴族の女を愛し娶った。幸せな家庭を目指し、彼女に尽くし軈て惚れて行く女を手放す事が無い様に、毎日得意な歌を歌い彼女の健康を気遣う。そして女の体を一番知り尽くしているのも彼であった。
それからまた暫くし、吐き気の催す日が増え、食事も喉が通らない日が増えた四季の様子に気づいた京夜に医者に連れてかれた。
「おめでとうございます。妊娠しています」
そう告げられ涙を流し京夜を抱きしめる四季に、京夜は四季の肩を持ち四季の様子を幸せそうに眺める。
瞬間無陀野から電話が来た京夜は外に出ると電話に出る。彼の何処か落ち着かない雰囲気に京夜は笑った。
「無事宿ったよ」
『……そうか』
「ダノッチもっと喜んでよ〜ダノッチも嬉しいでしょ!」
『お前が四季に執着する意味を知るからこそ、手放しには喜べないがおめでとう京夜』
「………なんの事かな」
『俺も真澄も知っている事だ。騙し討ちは出来ないと思え』
「……まぁ良いけど。四季君との子供が出来たわけだし、暫くは安泰かな」
『……お前が違う意味で暴走しない事を願う』
軈て通話が切れた事に京夜は溜息を付くと、スマホを仕舞う。無陀野が危惧する事等理解はしながらも、漸く四季を本当の意味で縛り付けるものが手に入った。
優しく子供が好きな四季はこれで既に逃げられない、京夜は四季の腹に宿る子供に感謝をし、彼の腹を撫でるのだった。
宮廷医は貴族の娘との元に子を宿し、軈て可愛がるその子供は娘と自身を繋ぐ架け橋になり、鎖で繋げる様な重い繋がりを彼女との間に結べた事に、愛しく子供を抱くのだ。
無陀野無人と淀川真澄だけがそれを知っている。
淀川真澄の場合
淀川真澄は四季の生理周期を把握している。
スマホアプリに入れていた生理日予測カレンダー予定から、四季の最近の様子を見て二日または三日居ないに来ると予想をした。
眠たげに朝いつも寄り遅く寝坊していたり、最近気分の調子が不安定な四季に徐々だと予測を付け、アプリの予定日と擦り合わせベッドの隣で眠る四季の隣に入る。真澄が仕事が終わる時には、既に眠っていた四季に寂しい思いに気を使わせただろう事を思うと舌打ちが思わず出るが、明日は馨に休みを申請する為に、二日間は四季の傍に居る事を決めている真澄は、四季を抱きしめ眠りに着いたのだ。
二日後朝重だるく体を起こしトイレへと入った四季が、ベッドへと音を立て再び眠った。真澄は溜息を吐き朝食に作ったうどんを出した。
「ほら早く食え。そして飲んじまえ」
真澄に渡されたうどんを起き上がり食べ始める四季を隣で見つめながら、最後まで食べ切った四季に薬を渡し眠たげにする四季に真澄は告げる。
「寝ちまえ。それなら少しは良くなんだろ」
「……やだ…ますみさんといられるのに寝たくない……」
「チッ、手ェ握っててやるから寝ろ。俺がここまでする事はねェって、テメェも知ってんだろ」
「へへっ…ありがとうますみさん……」
最早寝そうであり、呂律も回らない四季に真澄はベッドに座り手を握りると段々と眠りに付く四季を見つめる。完全に眠りに付いても暫く手を離さず、スマホの生理日予測カレンダーを開くと危険日と書かれた日付の欄を見遣る。
もう直ぐ、もう直ぐに四季がこの手に縛り付けるられる。今度こそ絶対に失敗しない様に京夜から貰った薬も使い、四季を真澄の手に縛り付ける事が出来るのは幸せな事である。
二対の蛇の様な瞳が執着を宿し四季を見つめた。
生理が終わら暫くし、真澄と共にベッドに入ると押し倒され行為を求められた。四季は素直じゃ無い彼に、久しぶりに甘える様に首に腕を絡める。
「久しぶりだねすんの」
「最近ご無沙汰だったからなァ。たまには可愛がってやんねぇと」
「真澄たいちょーとすんの少し楽しみ」
「少しじゃねぇだろうが。凄く楽しみの間違えだろう」
「へへへ…そうかも」
重なる唇に四季は溺れていく。それから覚えている事は微かだが、珍しくゴムもせずに中に出した真澄が、酷く四季の中に執着する様に出した事が印象的であった。
そしてもう一つ彼の行為で珍しい行動がある。
『……孕め』
一度だけ呟いたこの言葉を聞いた四季は終わった次の日に真澄が子供を作る気が合ったのだと驚くも、子煩悩になりそうだが本当に真澄が子供なんて作るのかと心配になった。だって真澄は酷く四季に執着しているから。蛇に戸愚呂を巻き、囲まれる小動物の様に四季は彼の両腕に抱きしめられ出られない。
後日吐き気が酷い四季は、偶然来ていた京夜の診察を受け真澄も呼び出され、受けた言葉は妊娠しているかもとの事だった。
「周期的には三週間くらいだと思うんだけど、まっすーやるねぇ!」
「うるせぇ京夜。黙れ」
「そう言いつつ照れ隠しな事は知ってるよ!」
揶揄う京夜に、真澄は悪態を返すが遅れて驚きが来た四季は真澄に抱きつき、真澄は掌で押し返す。
真澄は内心思う。そうか漸くか。漸く四季を縛れる鎖が手に入ったのかと思い至った。四季は子供が好きで責任感の強い者だ。なら子供が出来たら一生真澄と添い遂げる筈であり、最早誰のものになる事も無い。そう思うと真澄は愛しく四季の行為を享受する。
蛇は漸く手元に落ちてきた番に巻き付き強く抱きしめた。
花魁坂京夜だけが見抜いている。
無陀野無人の場合
無陀野無人は四季の生理周期を把握している。
四季に体温計を渡し面倒げに計った四季から受け取り、スマホの生理周期カレンダーに入れ、同時に四季の生理周期の為にのみ存在する手帳にも書き込んでいく。
四季の様子と毎回の予測から徐々だろうと踏んでいた無陀野は、教師の休みを三日申請し、その間四季に時間を使うと決めていた。恐らく次の日に来るだろうと予測し、気だるげな四季の隣で気遣い眠る無陀野は、次の日朝日が昇ると同時に目覚め、暫く四季の様子を眺ると同時に体温計を計る。
起きた四季が腹を抱え部屋を出た様子から、トイレから戻りベッドへと倒れた様子を見て、冷蔵庫に入れていた大量のゼリーを四季の隣へと一度に置くと、音に驚き軽く身体を起こした四季が横を見た事で無陀野は言葉を告げた。
「何が好きか分からないからな。好きなのを食べろ。桃とか好きだろう」
「ムダ先…ありがとう…桃好き食べる…
」
普段と違い明るさが消えた様子に、四季は少しずつゼリーを食べ、二個食べ終えた所で再び眠りに付く。
「ムダ先忙しいでしょ。仕事してて良いよ」
「俺はお前の傍へといる。この様な時くらい傍にいさせてくれないか」
「……その聞き方ずるい…じゃあ抱きしめて」
「良いだろう来い」
無陀野が布団に入り四季を抱きしめ、幸せそうに笑う四季は段々と意識が落ちていき眠りについた。無陀野はその様子を眺めながら暫く四季を見つめ、手帳を開くと丸を付けられている曜日に危険日と書かれた自身の文字に目を細める。
四季を自身の手元へと永遠と置いておくのに対し、子供を作る事は無陀野の目標の一つでもあった。四季を手元に置くには、子供は合理的で、そして四季は傍を離れられない。
普段の無表情を微かに崩し目を細めた無陀野の瞳には、暗い執着が宿るのだった。
暫くし生理が終わり四季は無陀野と相変わらず遠距離恋愛を続けていた際に、帰って来た無陀野と数日過ごせる初日になり幸せを感じていた。風呂を出た無陀野に先に上がった四季が、スマホを弄っていると、風呂を出た無陀野に手を引かれ行った先のベッドに押し倒される。
「四季今日は生でするぞ」
「え、ムダ先珍しくね?」
「子供を作る。お前と俺の子だ」
「え!?ムダ先子供欲しいと思ってたの!?」
「当たり前だ、俺をなんだと思っている」
無陀野の言葉に四季は首に腕を搦め言葉を呟いた。
「じゃあ頑張らないとな無人お父さん」
「……あぁ一緒に頑張ろう四季」
お前を縛り付ける子をと内心無陀野が思った事を四季は知らない。然し四季は何処か不安であった。無陀野が子供を愛せるのか、いや愛せはするだろうだが、無陀野は四季に酷く執着をしている。だからこそ四季を心底愛し、溺愛し執着するからこそ四季は不安であった。
無陀野は四季のその様な思い等知らずその後中に注ぎ続けた。
四季は無陀野が一度呟いた。執着を宿した瞳で、零した言葉が意外であり蕩けた意識の中で覚えている。
『………孕め』
そう、低く必死に何処か恐怖すら湧き上がる、殺気を滲ませた声で呟かれたそれは、四季で無ければ耐えられなかっただろう。
無陀野は四季に執着している。番を守る狼の様に永遠に傍にいようと、必死に警戒を続けながら。
後日四季は吐き気が酷くなり、同僚の女性に心配され京夜を呼ぶ様に勧められた。無陀野に連絡し、京夜と共に来た無陀野が微かに焦りを滲ませ、治療室に入り診察を受ける四季に京夜が告げた。
「妊娠三週間だね!良かったね!ダノッチ!四季くん!」
「妊娠……」
「………あぁ」
「ダノッチはもっと喜びなよ〜望んでた事でしょ!」
「………煩い」
「もー素直じゃないんだから〜四季くんのパパに立候補しちゃうよ〜」
「そんなことさせるものか。四季は俺のだ」
「わっ怖いな〜殺気出さないでよ」
京夜と無陀野の慣れた遣り取りに四季は、後から追い付いてきた思考に無陀野に飛び上がる様に抱きついた。
「ありがとうムダ先!俺凄く嬉しい!!また俺に家族を作ってくれてありがとな!!」
「……あぁ共に良い家庭を作ろう」
お前を縛り付ける檻を、と無陀野は内心続ける。漸く宿った子供は、四季の腹に収まりその存在を主張する様に写真に映る様に、無陀野は安堵の溜息を吐くと、四季を縛り付ける楔に内心喜んだ。
無陀野の傍から逃げない様に、少しずつ手を回し画策し、そして宿った子供に無陀野は恍惚とした思いを浮かべる。四季の腹に宿った子は無陀野の悲願であり、一種のゴールで始まりであった。また万が一にも四季に逃げられない様に画策しなくてはならない。四季はそんな無責任な事はしないのだが。
狼の番喜び抱きつく姿に、雄の狼は幸せそうに目を細めると頭を撫でた。その瞳に執着を宿し。
花魁坂京夜だけが悟っている。
並木度馨の場合
並木度馨は四季の生理周期を把握している。
眠る四季の体温を計り、生理周期カレンダーアプリに付けていく。同時に馨のみが見れる置型カレンダーにも付け、照らし合わせ明日辺りから始まる予定日に色々な物の準備を始める。
身体を冷やさない様に腹巻や、温かい眠る時様の靴下等、生姜茶に温かい身体に良い御茶等、色々な物を確認し買い足した事も見ると、四季のベッドの隣に入り腹に手を回し眠りに付く。明日から馨は三日間休みを取り、忙しい副隊長の業務を全て終わらせ、終わらない分は家に持ち帰り休みを無理矢理にも取った。何か重要な事が起きても電話をしないで下さいと、真澄に言伝を残した時の真澄の驚いた雰囲気に、馨は笑みを浮かべると帰宅し四季の為に色々準備をし、漸くベッドへと入るのだ。明日からは四季の戦いでもあり馨の戦いでもある。そう思うと馨は段々と落ちていく意識に逆らう事無く眠りに付いた。
次の日馨がいつも通りの時間に起きると、暫くし身体を引き摺る様に起きてきた四季がトイレに入る様子を見て、丁度出来た粥を手に取り再びベッドへと向かった四季の元へと向かう。
頭から倒れる様にベッドへと倒れ込む四季を見て、馨は笑みを浮かべ安心させる様な優しげな声で四季へと問い掛けた。
「四季くん何か食べれるかな?薬飲むのには食べて欲しいんだけどな」
「………いらない」
「一口だけでも良いからね」
馨の言葉に身体をゆっくりと起こした四季が、口元に運ばれる粥を飲み込むとまた口を開ける。馨は何だかんだ素直な恋人に暫く四季の満足する迄運ぶと、首を横に振った様子を見て薬を渡し飲み込むのを見た所で倒れ込む四季を見て、四季の背を摩った。
「……馨さん傍にいてよ」
「四季くんが気が済むまでいるよ」
「やだずっといて」
普段寄り機嫌の悪い四季に、馨は「仰せのままに」と呟くと四季が眠るまで背を撫で続ける。軈て眠りに付いた四季を見て、その場を離れ洗い物等を済ませると再び部屋に戻り、書類整理を始める。時折四季の様子を見て安堵の息を吐くと、馨の手は次々に書類を片付け全てが片付け終わった所で手を止めた。
四季の生理日を把握していると言う事は、勿論危険日も把握している事である。馨は四季を孕ませたい、四季を傍に置く理由が欲しかった。
四季は人気者である。練馬の戦闘部隊に所属する彼は、男性にも女性にも好かれ、全てに愛される者は恋愛的に見る者も覆い。
四季を恋愛的に見る輩は全て馨が排除して来たが、限界と言うものもある。馨が太刀打ち出来ない者もいるのだ。
だからこそ馨は四季を子供で縛ろうと考えていた。勿論子供は愛せるし、子育てにも積極的に参加する。然し四季を取られるくらいなら、馨は彼が悲しむ事でもやって見せる自身があった。
甲斐甲斐しく世話を焼く執事は姫に牙を向き、軈て姫を下賜し手に入れ様と画策する。執事は水面下で動き、姫を確実に手に入れるのだ。
暫くし生理が終わりカレンダーを確認していた馨が何時もの笑顔で四季に告げてきた。
「四季くん今日しようか」
「珍しいね。明日休みじゃないのに馨さんがヤろうって言うの」
「休みは取ったからね。大丈夫だよ」
「準備万端良いぜするか!」
ベッドに入り押し倒される四季は馨のキスを受け入れ戯れる中で、蕩ける思考の中馨に驚く事を告げられた。
「今日は中に出すから」
「……え?」
「頑張ってね四季くん」
その後は四季は馨が満足する迄抱かれ続け、沢山に注がれた。四季は何故此処まで執着するのかは理由は分からないが、もし子供が出来た場合馨は愛せるのかと不安になる。いや愛せはする、世話にも積極的に参加し子煩悩な父親になるだろう。然し馨は四季に酷く執着している。だからこそ不安なのだ。漠然とした不安ではあるが、四季の本能の部分がそう告げている。だからこそ馨の生で出した事が引っかかっている。
執事は騎士になり姫を守った。世話をし守り軈て子が出来る様に尽くし、酷く姫を愛し続けた。その執着を見に潜ませながら、悟られる事は永遠と無く。幸せに暮らしたのだ。
四季は暫くし吐き気が続く日々が続いた。馨に背を摩られながら心配をされ、京夜を呼ばれ診察を受けると驚く事が言われた。
「妊娠してるね。おめでとう三週間目だよ」
「妊娠…馨さんとの子供…?」
「……本当ですか?」
「本当だよ。なんならエコー見る?」
京夜に渡された写真に、四季は漸く子供がいる想いを実感し幸せな思いが浮かび上がる。馨を抱きしめ身体に顔を埋めると、幸せそうに頭を撫でる馨が、外から真澄に呼び出され部屋を出た。
「……聞いてましたか?」
「あぁ、全部な」
「漸くやりましたね。苦労しましたよ」
「その顔四季に見せんじゃねぇぞ」
「いやだなぁ見せませんよ」
馨の酷く執着を宿した瞳で笑むのに、真澄は溜息を着きたくなった。漸く子供が出来たが、これからも画策し、油断等なく絶対に四季を手放さないだろう部下に真澄は息を吐くと、その場を後にし馨の元を後にする。
並木度馨は漸く四季を孕ませられた事に安堵した、漸く四季が逃げない理由を作れた事に一息付けたと同時に、未だ諦めないだろう輩に牽制をする事を誓う。誰にも四季は渡さない。四季は誰にも、馨の元に居るべきなのだ。馨は四季を逃がさない。
執事は軈て姫が子を宿し、生まれた子を手に抱きしめ安堵する。姫に似て愛しい子は、姫を繋ぎ止める楔へとなる事に喜びを感じ、それを悟られぬ様に涙を浮かべ笑みを浮かべるのだ。その細めた目に執着を灯し。
淀川真澄だけがそれを知っている。
朽森紫苑の場合
朽森紫苑は四季の生理周期を把握している。
朝方眠る四季を起こさぬ様に、ベッドボードの引出しから体温計を取り計る。二日から三日居ないに来るだろう生理に、怠惰な紫苑が唯一付ける、生理周期カレンダーアプリに体温を登録し、予定日と予想が合う事を確認し起き上がると、四季の元を離れ朝食の準備を始めた。
今日は四季が欲しいと言っていたモデルガンを買いに行かなくてはならない日だ。紫苑は朝食の用意を始める前に、大我へと渡す有給書類を書くと、備考欄に何があっても連絡するなと記入し、準備を始めるのだった。
二日後四季が腹を抱えトイレに入ったのを見届けた紫苑は、ソファからその様子を見届け簡易キッチンに立ち、火を掛けると味噌汁を温める。四季は生理の時は余り食べられない為に、味噌汁に白飯を入れた雑炊を毎回作っていた。
トイレから出てきた四季がベッドへ寝転ぶのを見届けた紫苑は、椀に薬と持つと四季の元へと歩み何時もの女へ接する様な甘い態度で告げた。
「紫苑さん特製雑炊だよ〜食べちゃいな〜四季くんよぉ」
無言で首を振る四季に、溜息を付いた紫苑を無視する四季の体を起こし、口元にスプーンを持っていくが無視する四季に口角を下げた表情で紫苑は呟く。
「良いから食え。薬入れんなら胃に物入れないと荒れるぞ」
「……紫苑さん優しいね。女の子にもこんなことしてたの」
「……女にはしてねぇよ。ガキの世話を慣れてるだけだ。ガキは直ぐ癇癪起こすからな」
「食べさせてよ」
口を大きく開ける四季に、紫苑は溜息をつき次々と口に米を入れて行く。軈て全てが食べ終わる四季が、ベッドへと倒れ込み腹を抱えるのに紫苑は咎める様に告げる。
「おい、薬も飲め」
「……やだ紫苑さん飲ませて」
「……はー分かりました。紫苑さんが飲ませちゃうね〜子供な四季くんはこれくらいしないと出来ないもんね〜」
何時もなら此処で食い付いてくる四季だが、その様な元気すら無い事は紫苑は把握済みで、四季の体を起こし自身の口に薬を入れ水を含み四季に薬を飲ませる。飲み込んだ様子を見て口を離した紫苑は、四季が背を剥き横になる様子を見て、椅子に腰を掛け本を開いた。
「何かあったら言え」
「……そばにいる?」
「……居るから早く寝ろ」
そう鬱陶しげに告げる紫苑だが愛はある事は知っている四季は安心して眠りに付く。段々と降りてくる瞼に、誰かが頭を撫でる感覚がした。
紫苑は四季の頭を撫でやると、四季が眠ったのを見て暫く撫でる。四季が起きてる時は余りしないこの行為に、自身の素直になれない天邪鬼さに嫌気がさすが。もう既に変えられない性質はどうにも出来ない。諦めている。
ふと生理周期カレンダーアプリを開くと、赤丸になっている日付には危険日と書かれており、紫苑はそれをそっと撫でると四季を見つめる。
漸く四季が紫苑のものになる。誰のものでもなく紫苑のものである。孕ませてしまえば全てはこっちのものであり、責任感の強く子供思いな四季は離れられなくなるだろう。四季に言い寄る輩を牽制し、脅し、四季を自身だけのものになる様に渇望した。必死に手を伸ばし手に入れたその少年は、誰の手垢も付かずに無垢で、紫苑には眩しい程の光に眩むその姿は、然し紫苑は手を伸ばした。太陽に焼かれる決意を決めた。
四季を孕ませれば全てが上手く行く、然し油断はしない。四季を付け狙う輩はこれからも存在する。だからこそ朽森紫苑は油断をせずに、これからも掃除を続ける。
暫くし紫苑と毎日致しているが、その日は何が違かった。いつもゴムをする紫苑だが、その日は生でしている事を気づいた四季は休憩時に彼に問うた。
「……なんで今日生なの?」
「特別な日だから」
「えー理由話してよ」
「……言わねぇ」
「言ってよけち!!」
「やーだ♡けちで結構。それより再開するぞ」
紫苑に再び押し倒される。四季は何となく予想が付いていた、紫苑が四季との子供を求めている事も、四季に酷く執着している事も全て予想はしていた。だからこそ色々な意味で不安であった、彼に父親が務まるのか、子煩悩にはなりそうだ、教師をやっていた為に勉強面も任せていい。然しそれ以外が全て不安であった。ギャンブル、女好き、酒好き、そして四季に酷く執着している。きっと子供の成長の方が早いだろう事を想像し、女の子だった時の不安を思い四季は場に流されるのだ。
その日四季は女の子が出てくる夢を見た。紫苑と四季と女の子と、草原の中で並んでピクニックをする夢であった。女の子が何かを問い掛けて来た所で四季の夢から覚めたのだ。
道化師は観客に恋をしステージを降り観客だけの唯一の道化へとなった。彼笑わせ、軈て子を身篭ったかれに寄り添い、執着を仮面に隠し嗤うのだ。
暫く経ち、吐き気が酷い頃に紫苑に心配されるも我慢をしていた四季に、紫苑が漸く京夜を呼んだ。
診察を受け、暫くすると京夜が笑みを浮かべ告げた言葉は驚きであったが、四季は何となく予想は付けていた。
「おめでとうなのかな?妊娠三週間目だよ」
「なのかなってなんすか京夜先輩。何が不安て言うんですかよ」
「全部だね」
「言われると思った」
「なら戒めて直すべきだと思うけど」
「無理です。俺がこれをやる理由知ってんでしょ」
「……女の子ならパパを嫌いになる時期が早いかもね」
「………傷つく事言わないで下さいよ」
紫苑と京夜の遣り取りに、四季は涙を浮かべ紫苑に抱きつき声を上げ涙を流す。それに対し頭をリズム良くポンポンと撫でる様子に、京夜は安心するとカルテに戻る。
紫苑は漸く宿る赤子に安心していた。これで四季は自分の元から逃げて行かない。いや四季は逃げ等しないが、不安の芽は出来るだけ取り除いておくのが正解だ。だからこそ紫苑は四季を必死に孕ませ、漸く実を結んだ。今此処に紫苑の願いは叶ったのだ。本当に漸く、執着の芽が今顔を出した。
道化師漸く実を結んだ現実に、彼を酷く祝福し二人だけのパーティを開いた。彼を笑わせ、道化を演じる彼は、漸く道化師から逃げない事を悟り手を伸ばすのだ。道化師が彼に近付く者を殺していた事を知らずに。その手が血に染る事等悟らずに、只々喜ぶのだ。
朽森紫苑だけが四季への執着を知っている。
印南幽の場合
印南幽は四季の生理周期を把握している。
印南は四季の体温を計り生理周期カレンダーアプリを開くき、四季の生理日が近い事を印南は理解した。予定日として明日から始まるだろう生理日予想に当たりを付ける。普段印南は体温を計れない事が多いが、四季と暮らす自宅に帰れる時や四季の様子から理解をしていた。
その為普段は四季に会えない生活を送っているが、四季の生理が酷い三日間休みを取り猫咲に全てを任せ、重要な任務でも連絡しないでくれと伝え、印南は四季と暮らす家へと帰って来たのだ。
四季が何時来ても良い様に準備をして行く。帰宅時に買ったココアや、お粥のレトルトやゼリー類を用意して行く。寝具や衣類も確認し、ブランケットや体を温める物をある事を確認し漸く眠る四季のベッドに入ると、四季の体を抱き締め心臓の音を聞き眠りに付くのだった。
翌日四季が腹を抑えながらトイレに入るのを見送った印南は、キッチンに行くとゼリーを取り四季が戻りベッドに寝転がり腹を抱える所を見て、笑みを浮かべゼリーと薬を持ち血を吐きながら元気に問う。
「四季君ゼリー持ってきたのだが食べて欲しい。薬飲むのにも少しでも君の体に負担が無いようにしたいんだ」
「………無理」
「食べさせるのでも駄目かい?」
「……なら良い」
体を起こし気怠げに座る四季に、ゼリーを口に運ぶ印南は小鳥に餌を遣る様な感覚になりながらも薬を飲まし、最後迄食べきった四季を褒めやり、布団に倒れる四季に寄り添う様にベッドへと座った。
「腹は痛くないか…僕に出来る事があるなら何でも言って欲しい…」
「頭撫でて欲しい」
「可愛い願いだな…良いとも気が済むまで撫で続けよう」
四季の頭を撫でていく印南に、四季が目を段々と細めていき瞬く回数が増え軈て眠りに付く様子を見ても、印南は暫く頭を撫で続けた。
愛しい子供の恋人を、印南は愛し愛で、そして四季を胸の底から愛していた。愛しく愛しく、大事な印南の宝物。だからこそ四季を印南は傍に繋ぎたい。
生理周期カレンダーアプリを開き、印が付けられてる所を見る。危険日と書いてある日付を見て笑みを浮かべる印南は、四季を孕ませる事に必死だった。四季と共に子供を作り、四季を印南に縛り付ける。勿論印南は子供は好きだ、四季との子供なら愛せ時折子供に五月蝿がれる父親になる自身が合った。然しそれとこれとは違うのだ。
四季を孕ませ子供を宿すと、四季は子供に責任を持たなくてはと印南の傍から離れる事は無い。四季に言い寄る輩は多く、普段傍に居られない印南は彼の周りに言い寄る輩を排除出来ない。幾ら印南のだと主張しようと、手篭めにしようとする輩は多く印南は四季に離れられない様に必死で合った。だからこそ四季を孕ませるのだ。四季を傍に置く為に。
四季を孕ませて印南の傍に起き、幸せな家庭を創る様は幸せであろう。四季を手放さない為にも、印南は四季の腹に絶対に子を宿すのだ。
暫くし四季は生理が終わり、今日は印南が帰る日であり四季と重ねる様に休みを取っていた。何やらスマホを見ている印南が、画面を閉じると四季の方を向き親指を立てグッドのポーズを決めると四季に問う。
「四季君今日交合おう」
「……別に良いけど。なんならシたかったし」
「中々帰れなくてすまない…君に寂しい思いをさせているのは謝ろう」
「別にほら早くベッドに行こう」
四季に手を引かれベッドに行き、印南に押し倒された四季は吐血しながら印南に告げられた言葉に驚いた。印南は何時もと変わらず至って真面目そうにその言葉を告げる。
「四季君子供を宿してくれないか?」
「……印南さん子供欲しかったの?」
「あぁ…君との子供なら大歓迎だ。君と幸せな家庭を築きたい」
「……良いよ…印南さんとの子供なら俺も欲しい」
「……私もだ」
四季が印南の唇にキスしたのを合図に交わり合う。それから四季は蕩けた頭で印象的であったのは、異様に印南が真剣な顔で必死だったである。彼は何も言わないが絶対に孕ませると気迫を纏い、四季の中に注いだ。
印南が父親と言うのは色々と不安はある。彼の明るい性格に子供が振りまされないか、生活感が無い彼の様子に、そして四季に執着する彼が子供を愛せるか。印南は子供を愛せるそれは確定している事だが、印南は四季を一番に取る。子供か四季かと言われたら彼は真っ先に四季を選ぶだろう。然し四季もそう言われると幸せであり、そして心配である。四季の心配を他所に印南は、レトルトの料理を四季に出すのだった。本当に心配である。
魔道士は一人の女を愛した。森に籠り一人魔法を研究していた彼は、女に求愛し軈て女と結ばれ必死に女に尽くす。逃がさない様にと、女を手元に置いておくのに、そして女と永久に添い遂げる不死の薬を作るのだ。
四季は最近吐き気が酷く、周りの子供がいる女性に心配され医者を勧められた。印南も帰宅した際は心配し、印南が京夜を呼び四季の診察を行う。そして四季は驚く言葉を告げられた。
「妊娠三週目だね。おめでとう二人とも」
四季は驚くと共に印南に抱き着き涙を流す、印南は四季を抱き締め京夜を見つめると、肩を竦める京夜から視線を逸らし、ドアから顔を出した猫咲に呼ばれる迄そうしていたのだ。
「お前等々やったんだってな」
「……なんの事かな」
「しらばっくれんじゃねぇよ。全部聞いてたわ」
「……良くやったと褒めるべき所だろうそこは」
「ハッ、男を孕ませるのに良くやったねェ。お前にそんな事言わねぇよ。分かってんだろ意味」
「…………」
「まあ精々他の男に取られねぇ様に足掻くんだな」
「……元よりそのつもりだよ」
猫咲がその場を去る事に印南は、漸く宿った四季との子供に感謝を思い、四季を縛る理由が出来た事に嬉しく思う。四季はこれで印南の傍に永遠に居る、子供が好きな四季との家庭はとても楽しく、そして四季を愛する印南が彼と共に永久に過ごせる事に印南は幸せな気持ちになる。
然し此処がゴールでは無い。未だ四季に言い寄る輩は潰さなくてはならない。印南の技の様に指でプチりと押し潰す様に排除するのだ。
魔道士は女と子を宿し軈て幸せな家庭を築く。子煩悩だが空回りする魔道士に、女は幸せそうに笑い暮らす家庭は一見幸せそうで、そして魔道士は女が永遠に自身から離れない確信を得て幸せそうに笑うのだ。
猫咲波久礼だけがそれを知っている。
皇后崎迅の場合
皇后崎迅は四季の生理周期を把握していた。
四季が眠る様子を眺め、体温計を確認すると生理周期カレンダーアプリと手帳に記入する。アプリと手帳の計算を照らし合わせても、一日または二日後には来るだろう生理に、四季の頬を突き悪態を付くのだ。
休みは撮っている為に、四季が隊長を務め自身が副隊長を勤める職場を全て信頼出来る部下に任せ、二日間の休みを取った。緊急時でも無い限り電話はするなと告げ、四季が貯めた仕事の分も全て終わらせ今に至る。皇后崎は四季の世話をするのに準備万端であった。
薬や消化の良い物を用意し、ゼリー飲料やフルーツゼリー等も用意し、腹巻に万が一の時の冷えピタシールも用意する。全てを確認すると四季が眠るベッドの隣へと入り、抱き締め眠るのだった。
次の日四季が腹を抱え這う這うトイレへと入る様子を見た皇后崎は、出てきた四季がソファに倒れ込んだ様子を見てブランケットを掛け言葉を告げる。
「おいばか四季。ここで寝るな」
「……無理ベッド行けない」
「はぁ、とりあえずうどんを作ったから食え」
「…皇后崎生理来ると優しいから好き」
「そこはいつも好きじゃないのか」
「へへっ…いつも好きだぜ」
ゆっくりと起き上がる四季が食事を始め、全て食べ終わる頃に皇后崎は薬の中身を出し水をコップに組むと四季へと渡す。四季はそれを飲み干すと再びソファへと横になった。
「…少し寝る」
「……好きなだけ寝てろ」
「お前本当に優しいな…ねぇ傍にいて」
「……離れるわけねぇだろ」
「素直じゃねー奴!おやすみ!」
床へと座りソファを背もたれに四季の様子を見ると、耳を赤くする四季の髪を掬い弄り始めると軈て心地良かったのか寝息が聞こえて来る。穏やかな寝息が聞こえて来た所で、安堵の息を吐いた皇后崎は暇潰しに本を開いた。
頁を捲る音が響く静寂の中で皇后崎は思う。四季の生理日を予測していると言う事は、危険日も知っている事になる。皇后崎は四季の腹に子供を宿したい。スマホを開き生理日予測カレンダーを開き、危険日の日付を確かめる。何処か穏やかな顔でそれを見つめた皇后崎は、次の瞬間目を細め虎視眈々と狙う肉食獣の様な瞳で四季を見つめた。
皇后崎は四季を愛している。愛しているからこそ繋がりが欲しい。四季を縛りそして、四季と自身の血が交わった繋がりが証が欲しかった。皇后崎には既に家族は居ない、愛と言う物を幼い頃に無くし一人になった皇后崎は、四季と恋人になり軈て家族になり、そして更に四季との家族の証である理由が欲しかった。理屈では語れないそれは、皇后崎の願いであるのかも知れない。四季にそれを求めるのは悪いと思いながらも、然し託さずには居られなかった。
皇后崎は四季との繋がりが欲しい。切れない家族と言う繋がりが欲しいのだ。
暫くし四季の生理が終わり、皇后崎がスマホを弄り何かを見るのを四季が覗き込もうとするが、直ぐに閉じられてしまう。四季は文句を付けながらも、確かに人のスマホを勝手に見るのは良くないと思い然し皇后崎への悪態は止めなかった。
「けち!皇后崎のけち野郎!!」
「文句のレパートリー無いのかよ。四季今日はヤルぞ」
「え、確かに最近してなかったけど皇后崎から誘うのは珍しいじゃん」
「良いからベッド行くぞ」
皇后崎に投げ飛ばす様に押し倒され、服を脱がされていく四季は慌て途中で止める。皇后崎は普段付けているマスクを勢い良く取ると、四季に宣言する様に言ったのだ。
「お前を孕ませる。此処に四季と俺の子供を宿す。これは決定事項だ」
「ばか皇后崎……」
「……何とでも言え」
その日は酷く四季は抱かれ、中に注がれ続けた愛の証に心地良さに溺れて行った。皇后崎は四季との繋がりが欲しい事には気づいていた。四季を気遣い普段は言わないが、彼が四季との間に子供を作り、血の繋がった家族を欲していた事には気付いていたのだ。
四季は皇后崎なら良い父親になるだろう事を思っている。幸せな家庭を築けるだろう事を知っている。だから心配は要らないのだ。
賢者は町娘を好きになり、軈て恋に落ちる。反対を押し切り、幸せに暮らす二人に軈て賢者は彼女との繋がりが欲しくなり、その思いは爆発する事になりゆくのだ。
暫くし吐き気が酷い四季を、皇后崎が気遣い京夜を呼ぶと無陀野も付いてきた事に四季は驚き目を見開く。診察結果を聞き妊娠していた事に四季は皇后崎に勢い良く抱きついた。
「妊娠三週目だね。おめでとう二人共」
「やったー!!!迅!!妊娠だって!!お前との子供だぞ!!」
「うるさい体に触るから騒ぐな」
「素直じゃねーの。けど俺は嬉しいよ」
「……ふん…嬉しくないとは言ってないだろ」
皇后崎の言葉に四季は更に抱き締め幸せそうに笑う。無陀野が皇后崎の方を向き静かに言葉を告げていく。皇后崎はそれを無言で聞いていた。
「おめでとう、四季皇后崎。そして皇后崎お前は父親になるんだ。その感情は持たない方が良い」
「……何のことだよ」
「……俺にはバレ無いと思ったか。京夜も知っている事だ。隠せるとは思わない方が良い」
「……ふん」
「何とは言わないが、早く捨てろと言ってもお前には無理なのだろうな」
「…分かってる事は言うな」
皇后崎は四季を連れ医務室を出る。廊下を歩く四季が幸せそうに話す言葉を聞き、皇后崎は四季への執着を実感していた。子供を宿したと聞いた時、真っ先に良かったと思いが浮かんだ。繋がりが出来た、そして四季と共に歩める権利を得たと思ったのだ。男や女問わず好かれる四季が皇后崎は心配であった。誰に何時取られるか分からず、その思いは募りに募り、そして今回爆発した。子供を作る切っ掛けの一つになったそれは、皇后崎を動かすには十分な理由だったのだ。
四季が喜ぶ姿も見て皇后崎も嬉しく思い手を握る。幸せそうに笑う四季に、自身も幸せだと思うのだ。
賢者は町娘との間に子を設け幸せに暮らす。女との繋がりを得た賢者は、彼女と共に幸せに生涯を暮らし、軈て共に衰えて往くのだ。
皇后崎迅だけがその想いを深く知っている。
彼等全員の場合
ふとスマホの生理管理日アプリを同時に覗いた馨と紫苑は、顔を顰め呟いた。
「……近いね」
「……誰が休み取れる」
「京夜さんは二日目と三日目は無理で、無陀野さんは二日目なら行けるよ。真澄隊長三日目なら多分行けるね」
「猫に印南はアイツらセットだけど、猫に一日目、印南に二日目で良いんじゃね。馨お前はどうなの」
「俺は二日目は空いてる。当日と三日目は無理」
「俺は三日目なら行ける。二日目は良くて半休だな。当日は任務だから無理」
「皇后崎は全日空いて無かったかな」
「ゲッ、彼奴四季の来る予定に合わせて全日休み取ったな」
「……彼も副隊長なのに部下の扱いが荒いよね」
「……はぁ、四季の為なら仕方ないでしょ」
溜息を付きカレンダーを眺める二人は、今後の休みと四季の世話の予定を合わせる。生理が重い四季は、三日目まで基本何も出来なく苦しみ、彼等が世話をするしか無くなるのだ。
最早決まらない曜日に、強硬手段として彼等は無理矢理予定を合わせると言う行為に出た。馨が組んだ予定日を復唱する。
「無陀野さん達先輩組が当日で、俺達後輩組が二日目、これは仕方なのい事だけど皇后崎が三日目で組もう」
「アイツには当日と二日は俺らの動けない分の穴埋め要因として使えば良いだろ」
「四季くん独り占め出来るんだから安いもんだよね」
馨と紫苑は組んだ予定に、今日は珍しく全員が揃う為に、楽しみに喜んでいた四季が寝た際に伝え様と決めるのだった。
夜になり四季も生理前の眠気で眠り、最早自覚済みであろう彼等に曜日を伝える事に決めた馨は、壁掛け用の普段は伝言用で使う、小さいホワイトボードに書いた四季に合わせた予定表を見せる。彼等は無言で其れを見て納得した様な顔をしていた。
「馨なんで俺が此奴らと一緒なんだよ」
「え?まっすー嫌なの?四季くんと居られるのに?」
「真澄お前が嫌なら四季は俺達だけで世話をしよう」
「チッ、飲めば良いんだろう飲めば」
舌打ちをする真澄に溜息を付く無陀野に、文句を言おうとするが場の流れの為に留まる。猫咲が何かを言いたげに含みのある言葉で言うのに対し、印南が血を吐きながら静かに告げる。
「俺は文句無いですけどね」
「僕も問題は無い」
「じゃあ決まりだね」
「……おい猫言いたい事はハッキリ言え」
「ひゃい!!」
猫咲は飛び上がると恐る恐る文句を言い出す。その事は主に印南の事で合った。
「俺と馨と紫苑は分かりますけど、此奴いりますか!?絶対何も出来ないですよね!?」
「……そんな事は無い。レトルトは得意だ」
「レトルトだけだろお前が得意なのは。使えねぇんだから何もすんなよ」
「そんな事無いよ猫使えないのは多分無いよ」
「じゃあお前は何か此奴が役に立った時の事言えんのかよ」
「………紫苑」
「俺に振らないで」
「まさかの同期の扱いに私は悲しみが強いがそれもまた試練だ」
「試練じゃねぇよカス」
彼等が騒ぎ出したのに皇后崎は一人予定日を眺める。四季の予定を独占出来る事に幸せを感じながら、彼等では出来ないだろう事に一人決意を決めていた。喩え前日二日間が鬼の様な激務でも、四季を独占する為なら耐えられたのだ。
一日目
四季がお腹を抱えトイレから出たのに、無陀野と京夜と真澄はソファに座りその様子を眺める。あの様子では、四季はまたベッドに戻り眠るだろう事を予想し、早めに痛み止めを飲ませなくてはならないと真澄が作った食事を持った京夜と、薬と水を手に持つ無陀野が歩き出した事に真澄も着いていくのだ。
「おい四季ィ…飯食え」
「何か食べないと胃に悪い。真澄が粥を作った」
「そうそう何かお腹に入れて薬飲んでから寝よっか!」
四季はその言葉に流石に大人達三人から言われ、重い体を起こすと少しずつ粥を口に運んで行く。四季が普段の大きく食べる行為と違い、少しずつでも口に運ぶのに安心した無陀野に真澄と京夜は、軈て全て食べ終えた四季を見て代わる代わる頭を撫でる。
「良く食べていたな」
「食ったなら寝ちまえ」
「四季くん沢山食べたね〜!まっすーの粥は美味しかった?」
「……美味かった」
「そっかー瞼も降りて来てるし、眠いなら寝ちゃえば?」
「……やだ…皆と一緒にいる」
「腹痛てぇんだろ。寝ちまった方が楽だぞ」
「………やだって」
「四季体に響くのは良くない。辛いなら寝てしまった方が体の為になるだろう」
「……だって寝たらムダ先や真澄隊長にチャラ先と会えないじゃん」
突然の四季の愛しい発言に、彼等は四季の発言に内心可愛いなと胸を打たれるも平静を装い言葉を告げる。
「皆四季くんが心配なんだよ。君の体は君だけのものじゃ無いんだからさ」
四季はそれはどういう事だと言おうと口を開くが、京夜の手が目元に遮られ段々と重くなる瞼に軈て意識が眠りの世界へと誘われてゆくのだ。
大人達は四季が眠る様子を見て、真澄が京夜に文句を告げる。
「おい、京夜ァ。お前何口滑らしそうになってんだ」
「いた!いたいまっすー!いやね少しなら良いかなって〜いたた!やめてまっすー!」
「今のは京夜が悪い。援護するつもりなど毛頭無い」
京夜を叩く真澄に悪態を付く無陀野が京夜を責め立てる。そう彼等は四季に知られてはいけない極秘事項が合った。それは彼等の後輩も合わせ、無陀野の生徒である皇后崎も含めた事、四季を孕ませる事だ。普段四季を抱く時は二人以上か全員で抱く中で、四季を孕ませない為にゴムをしているのだが、一時期だけゴムをしない時期がある。四季の危険日の時だ。
四季を孕ませたい彼等は、必死に四季を抱き全員で胎に注ぐが、未だ四季は孕む予兆は無い。だからこそ、彼等は今回の危険日も四季を孕ませ様と強いる事を四季は知らない。
眠る四季を何処か妖しく細めた執着を宿した瞳で見つめる彼等は、四季を自身の元に繋ぎ止める事に必死なのである。
二日目
馨は鍋で消化の良いうどんを煮ている中、紫苑や印南に猫咲がリビングで様々に活動する中で、四季が腹を抱え体を引きずる様に起きて来た事を見て各々準備を始める。
紫苑がソファの場所を開け、ブランケットを取りに行き、馨が鍋から器に移した物を運び、猫咲が薬を用意し、印南がクッションをソファの両端に起き何方側でも寝られる様にした。
四季が蕩けた瞳で眠たげに歩きソファに座り、馨が目の前に煮麺を出す。
「四季くんの好きな味にしたから食べて欲しいな」
「四季ィ早く薬飲んで食べちまった方が後から紫苑さん達と遊べんぞ〜」
「四季君もゲームしたいでしょ?今は食べて眠った方が良いかな」
「四季君…君の体が心配であり、起きたら一緒にトランプでもやろう」
馨に紫苑に猫咲に印南が話す言葉に、四季は朝から寂しく落ちている気持ちが吹き飛び、涙を滲ませ食事を始める。スープまで飲み干したのを見届けた彼等は、うつらとし始め眠たげに船を漕ぐ四季に紫苑が四季を横に倒し、印南がブランケットを掛けた。猫咲が頭を撫で四季の身体を労り眠りを促す。
「四季ィ寝ちゃいな」
「…………」
「もう瞼落ちそうだよね。抗わない方が良いよ」
「………ゃ」
「ほら我儘行ってねぇで寝ろよばか」
「………まだ寝なぃ」
「少年眠った方が体に良いから眠りにつこう」
「………ぃゃ」
四季の瞳に猫咲の掌が覆いかぶさり軈て眠りに誘われる四季へ、紫苑が問う様に呟く。
「早く治して元気な体にしろ。お前の体は俺らのものなんだから」
紫苑の言葉が微かに聞こえた四季は、然し意味も分からずに眠りに付いたのだ。
四季が眠りに付いた様子を見て、馨が紫苑の頭を叩いた。
「いて!何すんだよてめぇ」
「俺の方こそ何言ってんだって聞きたいんだけど」
「何って……別に良いだろう少しくらい。別にバレねぇよ」
「今のはねぇわー秘密もなんもねぇだろ。何処からバレっか分からねぇんだから」
「………京夜先輩も口滑らして怒られたらしいじゃん」
「……お前までやる必要は無いのだろう紫苑」
彼等から只管言われ、猫咲や馨から叩かれて行く紫苑は最早守る行為すら面倒になったのか、其の儘彼等を放置し始めた。気が済めば辞めるだろう事だから好きなだけ紫苑は犠牲になる事にしたのだ。
「けれどもう少しか…また初めからにならないと良いな」
「……前回は不発だったからな、本当にいつなるのやら」
「四季の腹にガキが宿んのが、今回ダメなら次は暫く後だろ」
「少年の腹に命が誕生するのは…やはり容易な事では無いのか」
彼等の四季を孕ませたいと執着する表情は、全員と恋人になり数年中々一人目の子供が宿らない事に、彼等は焦りを感じ始めていた。四季の腹に子が宿ら無い事には、本当に四季を縛り付ける事は出来ない。だからこそ四季を必死になって抱き、危険日には中に大量に注ぐも宿らない子供に焦りを感じ初めて居るのだ。
「もうずっと生でやんないと無理なんじゃないの」
「そんな四季君の身体に負担をかける事出来るわけ無いだろう」
「此奴も体質的なもんなんだろうけど、どうするべきかね」
「地道にやるしか出来ないだろう…四季君の体にも障る」
「…だけど」
「あーあー此処で言い合ってても仕方ねぇだろう。男四人で何やってんだか湿っぽいのは苦手なんだわ俺」
紫苑の言葉に各々が無言になり、様々に活動を再開する。四季の腹に子が誕生するのは何時かと彼等は思いながら、四季が起きるのを待つのだった。
三日目
皇后崎は全ての激務を終わらせ、四季の世話をする為に四季が起きる二時間前には起きていた。料理の用意を済ませ、部屋の片付けをしていると起きて来た二日前寄り少しは調子が良さそうな四季が、リビングのソファへと座る。
「皇后崎ご飯」
「うるせぇ黙って待ってろばか四季」
「なんだよ!」
噛み付く元気は出て来たのだが、この後ソファに倒れ込んだ四季を見て皇后崎は、朝食のご飯に味噌汁に鮭を出すと、自身の物も前に起き食べ始めた。
四季はその様子を見て少しずつ手を付け、ゆっくりと食べて行き全てを食べ終えるとソファの背へとズルズルと倒れ込むのに、皇后崎は何時もと変わらぬ表情で文句を付ける。
「おい四季。此処で寝るな」
「良いじゃん寝ても、どうせ俺とお前しか居ねぇんだし」
「はぁ…ソファ倒すから待ってろ」
ソファベッドにもなるソファを倒し、予め用意していた、上掛けを二人で被ると向き合い語り始める。
「皇后崎と寝るの久しぶり」
「……最近あの人達に取られてるからな」
「…へへっ…やっぱなんか安心する」
「……ばか四季早く寝ろ」
「……ばかっていったな…ばかっていうほうがばかなんだよ…」
覚束無い呂律で言葉を返す四季に、皇后崎は四季の背に手を回し抱き締めると目を瞑り出す。四季はその様子を見て、自身も目を瞑ると闇に誘われる意識の中で考えていく。京夜の言葉、紫苑の言葉、彼等の四季に隠している事を考えるが纏まらない答えに、意識が途切れそうな所で皇后崎が呟いた。
「ばか四季…早く元気になれ。腹を大切にしろ」
四季は腹と言葉に強く疑問を持つ、腹なら生理の事だけだろうかと思うが、それだけでは無い気もする思いに段々と遠くなる意識で最後まで考えるのだった。
皇后崎は四季が眠りに付いたのを見て、四季の子供が早く欲しいと願う。四季を繋ぎ止める理由が必要であった。誰かの子供が出来たら四季を傍に置ける、自身達だけの四季になる。然し四季は皆に優しく勇気付け、人を救い誰かの為に動く人なのだ。本質から誰のものにもならない四季を好く者は多く、そこには恋愛感情を宿した者は多い。桃太郎の隊長格である猛者にも好かれる四季は、皇后崎達には手に負えない範囲までに、四季を好く人々が多く、彼は誰のものにもならなかった。
例え恋人である自身達のものでも無い、誰のものでも無いのだ。
だからこそ四季を傍に置ける理由が欲しいのだ。繋がりが欲しい自身達だけの四季だと言いたい。皇后崎達は何処までも自分本意なのだ。
然しそれで良いと思う。彼と付き合れるぐらいの者は大小自分本意で無ければやって行けないのだ。
皇后崎は目の前に眠る四季の髪を撫でる。
「ばか四季」
そして目を瞑り自分も眠りに付くのだった。
「寝てら」
「寝てるね」
「寝てるなァ」
四季と皇后崎が眠る様子を見詰める、四季が心配で帰って来た大人達は、全員ソファの周りで彼等を囲み見詰める。矢張り大人になってもまだ幼い彼等は子供なのだ。まだ二十代の彼等は、未成熟で隊長になろうと、彼等から見れば子供である。
幸せそうに眠る二人を見て、大人達は安堵した様に頷くと電気を消しその場を後にし自身達の部屋へと戻るのであった。
生理から暫くし、四季は彼等に押し倒されていた。笑みを浮かべ四季を囲む彼等は楽しそうで、四季の服を脱がし頬を撫でている。それから四季を見出し胎を暴く彼等が、途中から生でしている事に気づいた四季は、漸くこの間のピースの答えが嵌ったので合った。
彼等は四季を孕ませたいのだ。子供を作り、四季を縛り付けたい。だからこそ定期的に四季を孕ませ様と中に注ぎ、必死になり四季を抱くのだ。
四季は嬉しくなった。彼等のものに完全になれるなら、四季は幸せな事であり彼等も幸せだと確信が出来る。四季は彼等に孕まされたい。だからこそ必死に手を伸ばす。
『俺を…孕ませて……』
そう手を伸ばした四季に驚いた様に目を見開いた彼等は、瞬間獣の様に目を細め執着を宿すと、更に四季に噛み付くのだった。
そして四季は無事彼等のものになったのだ。
暫くし吐き気が酷く、代わる代わる彼等にも心配され、京夜が何処か悩む様に四季を病院に連れて行った。全員で何とか収まった診察室に、医者が気圧される気配はするも、医者である京夜が全て説明し、四季に所々話を聞いた医者がエコーを取り四季に笑顔で告げた。
「おめでとうございます!妊娠三週目です」
その言葉に四季は口元に手を当て涙を流すと、彼等に頭を撫でられ構われ、医者に怒られる迄それは続いたのだ。
四季は彼等のものになれた。必死に孕ませ様と、四季を手に入れる事に必死な彼等は、今や四季の身体中を鎖で絡め取り、愛と言う鎖で縛り付けるのだ。
四季彼等のものになれた。永遠の彼等の花嫁へと。