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    mayomayo_2100

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    mayomayo_2100

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    思い立ったので過去作でも置いときます

    百鬼夜行【注意】
    なんか怖いよ!(語彙力)
    人物の簡単な紹介は最後にあるよ!
    モブ可哀想とか言うなよ!
    ぶとうシリーズの百鬼夜行の話だよ!











    「……や、やっぱり帰らない?」
    あたりは暗く、何も見えない。
    足音が響くほど静かな神社に、若い男女がいた。
    「ここで辞めるわけにもいかないし…行こう」
    どうやら、肝試しのような事をしているようだ。
    きっと軽い気持ちでここまでやってきてしまったのだろう。
    神社のウワサも広まったものだ。少し前までは廃れているこの神社には誰も来なかったのに。

    「………来ないでって言ってるのに。どーなっても知らないからね」
    その声の姿は誰にもわからない。
    鳥居の影に隠れていた、赤く揺らぐ双眸がチラリと彼らを覗く。
    月影に照らされながら、少女は……否、狐は静かに舌を出した。

    その青年らは神社を一周、ぐるりと回った後、そっと後ろを振り向いた。
    5分ほど前だろうか。彼女が何も話していない。でも、足音は聞こえている。怖くて声が出ないのだろう。
    「何もなさそうだし…もう帰るか…」
    青年が振り返ると、そこには笑いながら手を振る……………
    ー赤い、赤い、双眸の光る瞳が。
    「…はぁ?!!」
    思わず、持っていた懐中電灯を落としそうになる。
    背筋が凍る。
    声が出ない。
    さっきまでいた、彼女が、いない、どこにも、いな
    「…アレ?私みたいな小娘が怖いの?」
    「…ゃ……誰…、だ、」
    「私はここの神社の狐。ウワサを聞いてきたんでしょ?」
    こわい、本当にいたのか、狐は、ウワサは、本当で、こいつは
    頭が追いつかない。ひしひしと恐怖が自分を支配していく。侵食されていく感覚がわかった。
    「どうか!!どうか命だけはぁ…ッ!!!」
    必死に逃げようとしているのに、足が全く動かない。
    …図書館で読んだのと違う、なんで、こんな…
    「命乞い…?ちょっと、見苦しいなぁ」
    狐は手をひらひらさせ、ニコニコと笑ってみせる。
    「…っていうか、お前、あの百鬼の娘だ、ろうがッ!!!」
    百鬼家は代々、死と生の仕事をしているところだ。
    この世に怨霊が残らないよう、死体を処理する。
    この村ではその一家は身分が高く、名が知れていた。それに、娘が行方不明になったという話も聞いたことがあった。
    「百鬼の、娘が、こんな、狐だと知れたらお前、も、終わりだ、ぞ」
    身体の震えを必死に抑えながら言う。
    その声は震えて、恐怖が伝わってくる。
    「…私はキツネ様の怒りを買ったの。だから今はこうやって、幽霊してんの。あ、よかったらお父さんにそう伝えておいて欲しいなぁ。」
    青年は首を縦にガクガク振る。
    「伝える、から、命は、勘弁、し…」
    「……頼んでなんかいない。生きて帰られれば、って話なんだけど?」
    狐は舌を出すと九つの尻尾を大きく振り、そう言ってはまた笑ってみせた。
    …怖くてたまらない。
    「…?!…か、かの、じょ、は」
    口から溢れる言葉もままならない。
    思わず地面にへたり込む。立ち上がる力が出ない。腰が抜けた。
    「…もしかして気づいてなかったの?これまで」
    「……は」
    その時
    少し遠くから
    叫ぶ声が聞こえた。
    「…あぁ…ここに来たらああなるって知らないの?」
    声が出ない。身体も動かない。何もできない。
    ……死にたくない。
    「…仕方ないよねぇ。だってここは、来ちゃいけない場所だもんねぇ。」
    …死にたくない。
    しにたくない
    「……たく……ぃ」
    「……早く逃げたらどうなの?殺して欲しいわけじゃないでしょ?」
    狐は槍をクルクル回して、青年に突き付ける。
    「…ご、……なさ…ぃ」
    足が震え、たびたび転びながら青年は走って逃げていく。
    …逃げなきゃ
    …生きなきゃ
    頭はそのことしか考えられない。
    走ることしか、できない。
    「…近寄るなかれ、死者の場所。さもなくば、生きては帰れぬ。何故なら死者が集うところには、必ず怪異があるからである。まさにそれは、百鬼夜行のような。」
    「…ッ!」
    青年は転ぶ。
    立ち上がろうとするも、力が出ない。
    息が上がる。ここで、しにたく、ない
    …許しては、くださらないのか
    「…祟らるる祟らるる。近寄るなかれ、死者の場所。祟らるる祟らるる」
    誰もいないはずなのに
    ここには
    さっきから、声がする。
    怖い。怖い。誰もいないのに、なんで、声が、なんにんも、怖い、死にたくない、しにたくないしにたくない
    「…貴方も弱い人なのね。」
    狐が嗤ってる。
    何をするつもり、なんー
    少女…否、狐は青年の人差し指を摘んだ。
    その刹那。
    青年の指が切れた。
    「……ッ!!?」
    「ああ、心配しないで。ちょん切って殺すつもり無いから」
    狐は槍を振り落とすと、そこから炎が広がった。
    狐はその炎の中で、にぃと笑ってみせた。
    「…ぁ……ぁっぃ」
    青年は炎に包まれた。
    「さいなら〜」
    青年は焼かれていく。
    …流石にもう死んだだろう。
    狐はくるりと方向を変える。
    「………お前…また人を焼いたのか」
    神社の鳥居から人影。
    「…ん〜…?あ、図書館の使者じゃん!」
    狐はブンブン手を振る。
    「…そのあだ名は早急にやめて欲しいが。」
    えー、かっこいいのにー。とボソボソ言いながらその人影の方へとかけていく。
    「というかだね!ほんとに街の人にここにくるのはダメだって言ってるの?今日は2人も来たんだよ2人も!」
    「…何度も言っているだろう。ダメだと言っても行くバカはいる。そこはどうすることもできないと。」
    「全く、なんて街の人には説明してんのさ!」
    「……はぁ。北の鳥居の方には行くな。その前の扉で引き返せ。鳥居に入れば最後、百鬼夜行に合う。狐に殺される。と」
    う〜ん…と少女は考え込んでいる。
    対して人影……男はずっと本を読んでいる。
    「…4点。もっと、こう、北の鳥居には行くのでは無いぞ〜!鳥居に入れば最後……命はないからなぁ〜!!って」
    「んな事するわけないだろ」
    「怖さをアピールするの!今のじゃ全然響かないって」
    「…もう眠いんだ。帰っていいか」
    無理矢理会話を断ち切る。
    こうなるとめんどくさいという事を知っているからである。
    「…全く……」
    男の後に、狐は小走りでついて行く。
    「…何でついてくるんだ」
    「だって神社で寝るの好きじゃ無いんだもん…どうせ誰かが入れば分かるし。」
    歩きながら狐は、そばにいる幽霊と手遊びをし始める。
    それを横目に大きくため息をつく。
    「……面倒臭いな。勝手にしろ」
    「わ〜い!転ばないようにしっかり見張っててあげるよ!」




    その狐は尾が九つある。
    少女の姿をしている。
    彼女の仕事は、死者と生者を分つ事。
    知らないことは、知る必要もない。





    【注意書き】
    ・狐、と言われてるのは百鬼夜行ちゃんです。少女だよ。
    ・図書館の使者ことχ談だよ。
    ・後2人はモブだよ。
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