よあれい
「……」
列車が揺れる音。
周りには自分と同じくらいの子供がいる。
列車に灯りはない、暗闇の中でただ揺られ、どこに行くのかも定かではない。
オレはこわくなかった。
これが自分の使命だと、分かっていたからだろう。きっと。
「…ねぇ」
ただ車窓を眺めるオレに、話しかけたもの好きがいた。
「…何?」
その子はオレよりも小さくて、これから戦士になるには弱そうな女の子がいた。
オレの声にビビってるみたいだ。肩をびくっと震わせた。
「…あなたはなんでここにきたの」
ただの子供だと思っていたけれど、もう自分というモノをわかっているんだと感じた。
「…強くなりたいから」
ぶっきらぼうに、そう言った。
「わたしみたいに、捨てられてないんだね」
…
沈黙。
そーだな、と軽く突き返す。
その途端、そいつは急に泣き出した。
耳障りな声は出さず、そっと、涙がつたーっと流れていた。
「あ、えっと、その」
そんなつもりじゃなかった、と言いたかった。
「…あ、ごめん…なさい」
オレは、横にいることしか できなかった。
「…そろそろのはずなんだけど…」
椅子に座って、大人しく通信を待っていた。
大丈夫だよね、とぼやきながら、時計にチラチラ止めをやる。そしてまたそわそわするの繰り返しでー
「ー聞こえてるか」
ザーザーとノイズが走る。
けれど、声は鮮明に、たしかに聞こえた。
「うん、今日の報告は?」
トランシーバーの向こうの彼女が紙を取る音が聞こえた。話していいってこった。
「今日も無事生還。右足と左腕と顔に擦り傷。」
その辺の布でぐるぐる巻いた自身の体を見遣って、擦り傷とは言えないと思ったが、訂正するのがめんどくさい。無視。
「じゃあ今、いつもの部屋にいるんだね。明日も頑張ー」
「いや、お前の部屋の扉の前。」
がちゃり。
「………いつから」
ゆっくりとこっちを見る。
「まー最初からかなぁ」
けらけら笑っていたら、彼女がオレの頬を掴んだ。 や、正確には、触れた?
「帰るなら言ってくれないとご飯作れないんだけど」
そういいながら、こっちを睨んでくる。
怒ってるんだろうけど、手には強い力が入っておらず、いたいーやめてー、とも言えない。
「わりぃわりぃ、あまりにもー」
そこまで言いかけて、言葉が詰まる。
彼女は未だ睨んだままだ。
「…ッ……その…」
「…こ、滑稽だったから入るに入れなくってよお!」
……また、やってしまった。
そういうつもりではなかったんだよね!と察してくれるわけでもなく。
「…そ…、…だよ…ね…うん……ごめん…」
消え入るような声でそう呟いて、こちらに背を向けられる。
「あーーー!?い、いやあの、違くて…ち、ちょっと、か、……か、かわいいなって、思ったり…しただけでさ…」
しどろもどろに声を掛ける。
「…分かってる………それはうそだよね…間に受けたりなんてしないよ……」
「あ"〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」
察して欲しいのはそこじゃねぇ!!!