「次のデートプランは、僕が考えるからな!」
ボスがそう宣言したのは、前回会った時のこと……目元を赤く染めながら、木漏れ日に溶けだすような柔らかな緑が挑むように私を見据えていた。
気を逆立てた子猫のような愛らしさながらも、恋仲の相手に向ける視線ではないと思いつつ、自分は確か「楽しみにしています」と答えたのだったか。
モクマさんのところにコソコソと連絡を取っていたことは当然知っている。ふたりが話した内容を知ろうと思えば、ハッカー殿の手を借りるまでもなく容易く出来ただろうけど、久しぶりの心躍る時間を、ネタばらしが済んだ状態で過ごすのも野暮というものだ。
あまりかしこまった恰好じゃなくていいから……そう告げられたけれど、あまりにラフな格好は性に合わない。やや砕けたジャケットスタイルで空港に降り立った私に、迎えに来ていた彼が大きく手を振る。
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