「囚人番号103番、お前は懲罰房行きだ」
ここは罪を犯した者を収監し、刑罰をもって罪を償わせる女子刑務所。主に暴行や殺人などの比較的重い罪を犯した者が収監されている。
俺はクソみたいな理由で簡単に犯罪に手を染めたクズたちを見張り、時には懲罰を与える看守としてこの女子刑務所に勤めている。
今日も1人、この刑務所の規則を破った不届き者を懲罰室へぶち込む。
「…」
ここでは個人の名前はない。与えられた番号で呼ばれるだけ。
俺に番号を呼ばれた女は表情をピクリとも動かす事なく無言で立ち上がるとそのまま俺の後をついて来た。
囚人番号103番。本名冨岡義勇。21歳。罪状殺人未遂。犯行の動機は交際相手の浮気相手を殺害するために包丁で滅多刺し。顔つきは地味なのに修羅場なんて言葉では収まりきらないド派手な事件を起こしてくれた。未遂とはいえ、明確な殺意を持った犯行であり、執行猶予や情状酌量の余地なんてありえないと実刑に処された。
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