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    gonbe103

    @gonbe103

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    gonbe103

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    供養④
    囚人ぎゆ♀×看守うず♀
    冒頭とラストだけ。
    エッチシーンを後回しにしてたらブームが過ぎた。
    刑務所と監獄がごちゃまぜになってる。

    「囚人番号103番、お前は懲罰房行きだ」
     ここは罪を犯した者を収監し、刑罰をもって罪を償わせる女子刑務所。主に暴行や殺人などの比較的重い罪を犯した者が収監されている。
     俺はクソみたいな理由で簡単に犯罪に手を染めたクズたちを見張り、時には懲罰を与える看守としてこの女子刑務所に勤めている。
     今日も1人、この刑務所の規則を破った不届き者を懲罰室へぶち込む。
    「…」
     ここでは個人の名前はない。与えられた番号で呼ばれるだけ。
     俺に番号を呼ばれた女は表情をピクリとも動かす事なく無言で立ち上がるとそのまま俺の後をついて来た。
     囚人番号103番。本名冨岡義勇。21歳。罪状殺人未遂。犯行の動機は交際相手の浮気相手を殺害するために包丁で滅多刺し。顔つきは地味なのに修羅場なんて言葉では収まりきらないド派手な事件を起こしてくれた。未遂とはいえ、明確な殺意を持った犯行であり、執行猶予や情状酌量の余地なんてありえないと実刑に処された。
     まったく、どうせ刺すなら浮気相手じゃなくて浮気した本人を刺せばよかったものを。そうすればまだ世間の同情を買えたかもしれないのに。だが、冨岡は逮捕されてから一度も恋人を責める事がなかった。相手の女が悪い。その一点張りで話にならない。
     犯罪者の考える事なんて正味あまり興味はないが、ここにいる以上問題を起こされては困る。特に冨岡みたいに精神が不安定な人間は何をやらかすか分からない。自殺、他害を阻止するために24時間見張り続けなければならない。
    「自慰行為は遵守違反だといつも言ってるだろ」
     ただでさえ目が離せないのに、冨岡は遵守違反行為の常習者。懲罰房に行きになった回数は両手の指の数を遥かに超える。
     懲罰房に入り、中から鍵をかけると俺は冨岡の肩に手をおいてもう何度目なのか数える事を放棄したセリフを吐く。
    「だって我慢できない」
     冨岡はさっきまでの無表情ぶりが嘘のようにふわりと柔らかく笑うと俺の胸元に抱きついて来た。
    「実弥とエッチできないからムラムラする」
    「それはお前だけじゃない。懲役が明けるまで我慢しろ」
    「ムリだ」
    「それが規則だ」
    「じゃあまた宇髄が相手してくれ」
     冨岡は臆する事なく抱きつく力を強め、平均より大き過ぎる胸をおれの身体に押し付けてくる。
    「最近してないから宇髄も我慢できないだろ?」
     冨岡は妖艶な笑みを浮かべるといきなり唇を重ねてきた。
    「んっ」
     唇が触れ合うと舌で歯列を割り、強引に己の舌を口内に差し込んできた。柔らかい舌が縦横無尽に動き回り、つい濡れた声を漏らしてしまう。
    「は…ぁっ」
    「気持ちいい?」
     冨岡は悪戯が成功した子供のように無邪気に笑いながらガチャガチャと看守服のベルトを外す。警棒や無線や鍵の束をブラ下げられるようになっているベルトは通常のベルトより外しにくい構造になっているのだが、冨岡は手慣れた手つきでベルトを外すとそのままスラックスのボタンとファスナーを外してしまう。
     締め付けのなくなったスラックスは装備品の重さと重力に従ってストンと床に落ちる。無線が不穏な音をたてて床に叩きつけられたが、そんな事を気にしている余裕はない。
    「宇髄のパンツ、びしゃびしゃだな」
     冨岡はツッ…とクロッチ部分を右手で人差し指で擦るとそれだけでヌチャ…っと濡れた音が響いた。
    「そんなに俺とエッチしたかった?」
     生地が透けるほど濡れそぼった下着に気をよくした冨岡は親指以外の4本の指を使って割れ目を擦り上げる。
    「あ…っ、やっ、ぁ…っ」
     グチュグチュと派手な音を立てて秘部を愛撫されると、腰が揺れて声が勝手に口から漏れてしまう。太腿を閉じて抵抗しようとするが、逆に手を挟み込んでしまった更に強く刺激を受ける結果になってしまう。

    (中略)

     情事後特有の気怠さを感じながら次の勤務者との交代のために看守室へ戻る。
     部屋に入ると俺と同じく勤務を終えた看守たちが制服を着崩してダラダラと駄弁りながら呑気に珈琲を飲んでいる。
    「お疲れさま。今日もまたあの子問題起こしたんだって?」
     制服の上着を脱いで珈琲でも入れようかと思案していると、看守の1人が話しかけてきた。刑務所という特殊な環境で勤めているせいなのか、看守同士は比較的に仲間意識が強い。こうやって勤務後にその1日あった事をお互いに報告しあうのはもはや日課となっていた。
    「今日は何をやらかしたの? この間は他の部屋の囚人に掴みかかって懲罰室行きになったばかりでしょ?」
    「その前は脱獄しようとしてしばらく拘束衣を着せられてたわよ」
    「ほんと、顔は大人しそうなのに色々問題が多い子ね」
     俺よりも年配な看守たちはまるで子供のイタズラに呆れてるかの如く軽い口調で冨岡の問題行動について話している。
     他の囚人に掴みかかったのは恋人の事を馬鹿にされたから、脱獄しようとしたのは彼氏に会えない寂しさから。やっている事は許される事ではないが、どれもこれも恋人の事を想う愛故に。
    「今日も大した事ではないですよ。生意気な口を叩くので一度念入りに叱っただけです」
     これ以上あいつの話が広がる前にこの話に終止符を打っておかなければ。これ以上深掘りされればいずれ俺へも疑いの目を向けられる。囚人と情を交わしてると知れ渡れば俺も冨岡も無事ではいられない。
     こんな事で職を失うなんてまっぴらごめんだ、と自分に言い聞かせるが、心のどこかで冨岡と引き離される事を拒んでいる自分がいる。
     ダメだと分かっているのに、冨岡に触れられると心も体も乱される。罪を償えば冨岡はここから居なくなる。1日も早く更生させる事が俺の仕事なのに永遠にここへ閉じ込めておきたいと願ってしまう。
    「そういえば、また来てたわよあの白髪頭」
     さっさと話題を変えたいと思っていたのに、今度は別の意味であまり耳にしたくない話題が先輩看守の口から飛び出し、思わず珈琲カップに伸ばした手が止まってしまう。
    「あぁ、103番の恋人でしょ? ほぼ毎日来てるらしいわよ」
    「面会も出来ないのに毎日来るなんて健気ね〜」
    「自分の浮気が原因だから負い目でも感じてるんじゃない?」
    「あ、それなんだけど、実は浮気してなかったみたいよ」
    「なになに?! どういうこと?! 勘違いだったとか?!」
     看守という立場を忘れたかのように囚人のプライベートな話題に花を咲かせている先輩たちに、思わず奥歯を噛み締める。
     聞きたくない、冨岡の恋人は自分の欲求のために冨岡をサンドバッグのように殴り、性欲処理の道具かのように冨岡を犯す男なんだ。冨岡がどれだけ一途に想い続けても報われる事はない。
    ───と思いたかったのに。
    「浮気じゃなくて彼氏のストーカーだったらしいわよ。今彼氏が訴えてる最中だってワイドショーで言ってたわ」
    「えぇ?! そうなの?!」
    「おまけに彼氏は103番の減刑の嘆願書を集めてるみたいよ」
    「愛ね〜! 愛だわ〜! 最低な男が一転して素敵な彼氏様になったわ〜!」
     素敵な彼氏が冨岡を殴るもんか。冨岡は馬鹿だから自分の恋人が最低な人間だって気付いていないんだ。どいつもこいつも人の良さそうな外面に騙されてるだけなんだ。
     愛があれば冨岡を殴るもんか。愛があれば相手を傷つけたりするもんか。俺なら殴ったりしない。どれだけ利用されようと、欲求の解消相手としか見られていなくても俺は冨岡の事を───
     ああ、そうか。そういう事か。
    『俺はなにがあっても実弥だけを愛してる。死ぬまでずっと愛してる』
     冨岡の言葉が頭の中に響き渡る。
     冨岡がどれだけ相手の男を愛そうと、相手が同じだけ愛を返さなければ冨岡の一方通行でしかない。冨岡の独りよがりなんだ。一人で突っ走ってるだけなんだ。
     そうでなければ俺の想いはどこへ向かえばいいんだ。こんなにも胸が苦しいのに。娑婆になんて戻らずずっとそばに置いておきたいのに。
     本当は分かっている。馬鹿なのは冨岡じゃない。
     本当に馬鹿なのは報われない想いを隠し続ける俺自身だって───

    END
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