私だけを見てくれなきゃ嫌 「帰ってやろうかしら…」
そう言ってご主人様は強い目で人間の女たちに囲まれる五右衛門を強く睨みつけた。
『雷でも撃ちますか?ご主人様』
「心配には及ばないわ、Hari」
心配してくれてありがとう、と言ってご主人様は僕の頭を撫でると不敵な笑みを浮かべたまま渦中へと進んでいく。
そしてーー……、
「いや俺は……」
「いい身分じゃない、石川五右衛門」
「え、お嬢っ…!?って、うわっ!?」
鞭を華麗に扱い五右衛門の足に引っ掛け自分の方へと転ばせ、そして五右衛門の唇をご主人様は奪う。
「なっ……〜〜〜」
恋する少女のように五右衛門の顔は赤く染まる。まるで苺や鬼灯のようだ。
「ごめんなさい、この男は私のものなの。あなたたちにはあげれないわ、残念だけど他の男を当たってくれる?」
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