まばゆいあさ後の夏生君を、好きになったのはいつだったか?なぜ、君だったのだろうか?
帰り道、そんなことを考えていた。
君はぶつくさ私に反論していたけれど、その顔を見てずっと考えていた。
いつの間にか、というのが正しいのだと思う。いつの間にか世界の何よりも好きに、なんて今どきフィクションでもないのではないだろうか。思わず笑うと、君は反論を一蹴されたと感じたのか、不満の声を漏らしていた。
そう、好きだと自覚したのも私の言葉を聞いてくれなかったからではなかっただろうか。
子供の頃も、告白されたときも、君が寂しい顔をした時も感じなかったものを、彼が死ぬと言った時、初めて感じたんだ。
ふざけるなと、それは私のものだと、心の中で叫んだ。
君は私のなのに、私が一番好きなのに、君のことを一番に好きじゃない君が君を殺すなんて。
嗚呼、そういうことなのかと納得する自分もいた。
ほら、君がいつも笑顔で褒める私はこんなにも醜い。
滅んだ世界で、最後に抱きしめてもらった。私の本当の願いを、彼は叶えてはくれなかった。
それでいい、そうでなくては困るのだ。
君が私を肯定すれば、私の心は君を喰らいつくすだろうから。
どうかそのままでいて。
満天の星空より、朝露に濡れた花より、澄んだこの空気よりも、
暖かい世界に愛されて笑う君がすきなんだ。
私の歩みを妨げる君がすきだよ。
簡単に、死なせてはやらないよ。