結局なにが書きたかったんやわし……???「…おいコック、10秒手ぇかせ」
いきなりゾロがそんなこと言ってきた。二年前にもそんなこと言ってきたな…なんて思いながらゆっくりとゾロの目の前に手をやる。
「だ、妥当な時間だな…?」
何がしたいんだ、と問いかけるも
「つ、ついでに目も瞑れ」
と遮られて魂胆がまるで見えない
「んだよ、注文の多いマリモちゃんめ」
悪態をつきながらも大人しく言われたとおりにする。
剣だこが目立つその大きくて皮が厚いその手が俺の手を掬い、自分の胸の近くまでもっていく。何かが指を通る感覚がして、思わず目を開けたら顔が真っ赤になっている男と目が合う。その琥珀色に映るおれの顔はそれに勝る勢いで赤くなっていた。
「え、?これって……ぞろ?」
見慣れた薬指に光り輝く銀色のダブルリング。
「おれは近い将来必ず大剣豪になる。その時もこれからも飯を作ってくれ」
「お、おう……当たり前、だろっ」
そんな真っ直ぐな視線を向けられて惚れ直さない奴いねえだろ…
「あとこれ、」
渡されたのはリングと同じ銀のチェーン。
「これならいつでも付けれるだろ…」
おれはリングを指から抜き取りチェーンに通す。綺麗だな、これをゾロがくれたのか…と思うと、自然と笑みがこぼれる。付けてやる、と言われたので甘えることにした。
「やっぱ似合うなお前」
口角を上げる笑みじゃなくてほんとにクシャっと笑った顔。
「…なんかおれら新婚さんみたいじゃね……?」
「おれはそのつもりだったんだが、お前はその気じゃねぇのか」
今度は口角をあげてニヤリと笑っておれの気持ちをもてあそんでやがる。
「ロロノアの苗字貰ってくれるよな?」
「……捨てたらぜってぇ許さねぇからな」
ああ、とどちらからともなく手を絡め口づける。