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    ふつきのとー

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    ふつきのとー

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    息抜き作品。
    おーみやしぶにて。四人組の耳掻きのお話。

    ちょっと🔧🆕ぽい。

    「ア ブ ト くーん?」

     シュミレーションも宿題も片付けてまったりしていた待機室にて。
     片手に耳掻き、片手に綿棒を持ったシンが、iPadに何やら記録していたアブトへニヤニヤと近づいてきた。

    「…断る」
    「約束だったろ」
    「忘れた」
    「嘘だ!」
    「まあまあまあ、二人とも。いったいどうしたんです?」
    「聞いてくれよタイジュ。オレがE5に乗って間もない頃に」

     今後、どんな敵が現れるか分からない。敵や味方の発する音で突破口を開ける事態も充分考えられるし、何より指示が聞こえないと話にならない。だから耳のケアは怠るな。

    「とか最もらしいこと言ってよく耳掃除をやられたんだ」
    「……やられたんですか?」
    「ああ!」
    「……よく?」
    「ああ。タイジュもハナビもあるだろ?」
    「オレは音楽のためにはやってたけど……」
    「自分も山では動物たちの気配とかを察しなければならなかったんで定期的には……でも」

     でも、の続きをタイジュは飲み込む。
     困惑顔のハナビと目を合わせて同じことを思ってるなと察した。
     アブトからそんなことを言われたことも、やられたこともないぞ。と。

    「アブトだって運転士になったんだから、今度はオレがやってやる」
    「他人に大事な五感のひとつを弄られるなんてまっぴらだ」
    「自分はしたくせに!オレにもいつかさせてやるって前に」
    「あれは嘘だ」

     んぐぐぐっ!と悔しそうに唸ってから、妙に据わった目をしてどかりとアブトの隣にどかりと座る。
     膝をポンポンと叩いて

    「嘘を本当にしてやるから。ここに頭を乗せろ」

     アブトは何かを思案するように顎に手を当てる。
    どんな流れなんだと、ハナビとタイジュはただ見守るしかない。
     数秒後、決意したように顔を上げたアブトははっきりと言った。

    「くすぐったいから嫌だ」
    「自分は、散々、やった、くせに」
    「シン君、落ち着いてください」
    「どうどうどう…クールダウンしろよ。アブトの耳掃除って下手だったんか」
    「丁寧なんだけど耳たぶをこしょこしょされたり、息を吹き掛けられたり、くすぐったくて動くと『危ないから動くな』って命令してきたり…あと関係ない首筋とかもよく触ってきたり…とにかく耐えるのが大変なんだよ」
    「面白いように鳥肌が立つからついな」
    「つい、じゃない!」

     自分達は何を聞かされてるんでしょう
     わっかんねぇ
     アイコンタクトだけで意志疎通を果たしたE6E7コンビはこれ以上この二人に巻き込まれてはたまらないと立ち上がる。

    「タイジュ」
    「ほいよっ」
    「え、おい、なんだ……えっ」

     シンとは反対側よアブト横に座ったタイジュがアブトの肩を掴むとぐるりと45度回転させて背中を取り、後ろから羽交い締めにした。
     ハナビはアブトの足に股がる。

    「シン君、今です」
    「サンキュー!二人とも!」
    「おい!3人がかりだなんて卑怯だぞ、おい、やめろ、シン、うわぁぁっ」


     数分後


    「いやぁ、アブトってくすぐったがりだったんだなあ」
    「中々面白い絵面だったぜ」

     待機室のソファーで耳まで真っ赤にさせて撃沈してるアブトを尻目に3人は朗らかに笑い合う。
     共同の一仕事を終えた爽快感に包まれているようだ。
     じゃあこの辺で、と待機室を去ろうとしたシンの肩を気配もなく距離を縮めていつアブトが掴む。
    整備仕事で鍛えているためか、小学生の平均を軽く超える握力がギリギリと食い込んだ。

    「え、えーと?」
    「次は、お前の番だな?」
    「お、オレはちゃんと昨日掃除したからいいかな~…ははは…」
    「貴方の番です」
    「殺されるのオレ!?待って、ハナビとタイジュもやるんだよな? あれ?!」
    「二人ならとっくに出ていったぞ」
    「そんな!?」
    「お前の耳掃除は正直下手だったぞ。来い。俺がレクチャーしてやる」


      おわれ




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