この軌跡に感謝を!※特にCPはないつもり
「穹、何を見ているんだ?」
「あ、丹恒。ごめん、勝手に入っちゃって」
「いや、構わないが……写真?」
「うん。俺と皆が出会ってからの写真。なのがアルバムにしてくれたんだ」
俺は俗に言う特殊な生い立ち(?)を辿ってきた。
宇宙ステーションヘルタでカフカに星核を埋め込まれた。記憶もない。丹恒やなのに出会わなければ、姫子に誘われなければ星穹列車に乗ることも無かった。多分、監視下の元で宇宙ステーションで働いていたかもしれない。
ペラ…っとページをめくる。ヤリーロVIでの写真が貼られていた。
ずっとずっと昔から雪に覆われた星、ヤリーロVI。ジェパードやサンポ、ブローニャ、ゼーレ、フック、セーバル、クラーラ、ルカ、トパーズ……色んな人に出会えた。そりゃあ最初はサンポには騙されるわ、シルバーメインに捕まりそうになるわ、で大変だったし、ブローニャとカカリアの行く末を見てきた身としては楽しい思い出ばかりではない。
(なんなら俺、身体に穴空いたし)
ただ、記憶のないカラッポの俺にはどれも新鮮で尊くて……ただ、忘れたくないなって思った。
何ページか進めると、仙舟・羅浮での写真が綴られたページになった。
仙舟・羅浮では美味しいものが沢山だった。食べ歩きしながら買い物したり、漫談を聴いたり、あ、金人港の建て直しとか配信者やったりとかもしたっけ。そういえばユーレイ(厳密には違う?)に取り憑かれたりもしたっけ。
ただ、やっぱり楽しかったことばかりじゃなくて……
隣にいる丹恒と刃ちゃんの過去を知った。
龍尊の生まれ変わり(という認識でいる)の丹恒の本来の姿、飲月君。最初は驚いたけど丹恒は丹恒だって言ったら、泣きそうな顔で笑ってた。
刃ちゃんは魔陰の身に蝕まれてるということも知った。不死と呪いに蝕まれてる生きている刃ちゃん。いつか、せめて呪いだけでも無くなればいいのに……
「ねぇ、丹恒」
「なんだ?」
「俺さ、楽しいことも悲しいことも……全部忘れたくない」
「うん」
「もし宇宙ステーションに残ってたままだったら、きっとこの軌跡は無かった」
「だからさ、今までの軌跡に感謝を、きっかけをくれたみんなにありがとうって言いたい」
今は今でピノコニーの、深い所にあるナニかに触れようとしている。それはゾッとするような怖いモノかもしれないし、今までのように最後に笑うことなんて出来ないかもしれない。
それでも、
俺はきっと、「ありがとう」って言うことをやめないと思う。
まだまだ俺のナナシビトとしての旅は続くんだと思う。終わりがどこでいつになるかなんても分からない。だけど大丈夫。みんながいるから。
「丹恒、ありがとう」
「……ああ」
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崩壊スターレイル リリース1周年おめでとうございます!
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