一緒にお風呂に入りたいラギ監シリーズ 01「あー、今日もダメかー。」
ソファに身を沈めて、ひとりつぶやく。
何がダメだって?
ユウくんと一緒に風呂に入ることッスよ。
オレとユウくんはNRCを卒業してから一緒に住み始めて、しばらく経つ。
もうそれなりに体を重ねているのに、なぜか一緒に風呂に入ることは断られる。
恥ずかしいから、と言うけど…いや、もっと恥ずかしいことしてるのに。
何がいけないんッスかねぇ~。
「はぁ…。仕事しよ。」
ユウくんが出てくるまで、少し時間があるから。
オレは持ち帰ってきた仕事を片付けようと机に向かった。
「ラギー先輩。お風呂上がりました。」
「ん、おかえり、ユウく…」
「…?どうかしました??」
ちょうど仕事も一段落したところで、ユウくんが風呂から上がってきて。
その姿を見て、オレは息をのんだ。
いつもならちゃんと髪を乾かしてくるのに、今日はまだほんのり濡れていて。
それが…妙に色っぽい。
「ユウくん。ちゃんと髪乾かしてこないと、風邪ひくッスよ。」
「えっ?!あ…ほ、本当だ。まだ濡れてる…。」
オレが指摘すると、ユウくんは慌てて自分の髪を触って確認する。
オレはソファから立ち上がって、何やらブツブツと言ってるユウくんに近づいて、マジカルペンをひと振りする。
そういえば、今日のユウくんはどこかそわそわしてたッスねぇ…。
こんな日はおそらく。
「シシシッ。そんなに急いでたんスか?それとも…何か考えごと?」
頭を撫でてから、乾いたことを確認するように髪をとかす。
さらさらと指通りのいい感触を楽しんでから頬を撫でれば、ただでさえ風呂上がりで火照って赤くなったユウくんの顔が、さらに赤くなる。
ちょっとだけ潤んだ瞳が何か言いたそうにこちらをしばらく見つめ、それからすっとそらされた。
かわいい…けど、これは図星ッスね。
「あの…これは…えっと…その…。」
「んー?なになにー?」
さぁ、今日は一体何を考え込んでいたのか。
ユウくんってば、悩みごとを抱え込むクセがあるから。
そりゃあもう、大きな悩みごとから小さな悩みごとまで。
なかなか素直には言ってくれないんで、ちょっと聞き出さねぇと。
「わわっ、ラギー先輩っ、近い近い!」
「近づかなきゃ聞こえないッスねぇ~。」
「う、ウソだ…!耳!いいクセにっ…。」
「ほーら。早く言わないと。」
ちゅっ。
あたふたとしているユウくんにキスをする。
ユウくんはびっくりして目をぱちくりさせ、次の瞬間、顔からぽっと火をふいたように真っ赤になった。
「ら、ラギー先輩っ!」
「シシシッ。素直じゃない悪い子にはおしおきッスよ。あー、オレにとってはご褒美ッスけど。」
恥ずかしいのを隠すためか、ポコポコとオレを叩くユウくんの手を捕まえて引き寄せて。
そのかわいらしい耳にそっとささやく。
「急いで風呂入ってくるから。待ってて。」
再び顔を真っ赤にしたユウくんの頭をぽんぽんと撫でる。
オレが風呂に向かおうとすると、ユウくんが焦ったように声をかけてきた。
「ラギー先輩!し、仕事!まだあるんじゃ…」
「もう終わったッスよ。」
だから。
「ちゃぁんといい子で待ってるんスよ。」
オレはもう一度キスをして、今度こそ風呂に向かった。
すとんっとユウくんが座り込む音とため息は聞こえないフリしてあげた。
あー、いつになったら一緒に風呂に入ってくれるんだろ。
まぁ、あの様子なら…。
あとひと押しってとこッスかね。