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    七海紗綾

    @minana0730

    とっくの昔に成人済。
    何十年かぶりにお絵描きとか物書きしています。
    どちらも今でも勉強中。

    この世界に私を呼び戻した戻したツイステすごい。(何目線?)

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    七海紗綾

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    ※しりとりするエー監

    #twstプラス
    twstPlus
    #エー監
    aStudent
    ##ツイステ
    ##エー監

    みんなに見守られているエー監シリーズ04ハーツラビュルは厳格なルールがある。
    門限もそのひとつ。
    外泊許可だって、なかなかとることができない。
    そのかわり、なのか。
    エースは寝る前によく電話をかけてくる。

    「ハチミツ。」
    「つ?うーん…。つばき。」
    「キュウリ。」

    いつから始まったのか分からないけど。
    いろいろと雑談したその後。
    なんだか切りがたくなって…いつの間にかしりとりをするようになった。
    お互いに満足したり、どちらかが負けたりしたら、終わり。
    おやすみって挨拶して、通話を終える。
    ただそれだけの…なんでもない時間。
    ちなみに、エースはだいたい食べ物の名前でせめてくる。
    こんな時間なのに…お腹空いてるのかな?

    「り…り?…うーん、リス!」
    「……好き。」
    「…!」

    エースはこうやって、好きって、チャンスがあればすぐに言ってくる。
    未だに慣れないんだけど…それも悔しいから、私は平常心を装っている…つもり。
    今だって、急に心臓の音が聞こえるようになって。
    内心、エースにも聞こえているんじゃないかって、ドキドキしている。

    「…キツネ。」

    できるだけ、いつも通りに聞こえるように、ゆっくりと言う。
    いつもならここでエースから、つまんねぇのとか、小言が返ってくるのに。
    今日はいつまで経っても聞こえてこない。
    …なんだか様子が変だ。

    「ねぇ、ユウ。」
    「うん?」

    これがもし、しりとりの続きだったならば、私の負け。
    だけど…そんなこと忘れてしまうくらい自然と聞き返していた。
    エースが今までにないくらい、真剣な声だったから。
    ふぅーという小さなため息の後、エースは言葉を続ける。

    「帰らないでよ。」
    「え?」
    「もし元の世界に戻れる方法が分かったとしても、帰らないで。」

    私は異世界の人間だ。
    いつか帰るその日まで、という期限つきで。
    魔力もないのにこの学校に通って、雑用をしながらなんとか過ごしている。
    学園長が元の世界へ帰る方法を、日々探してくれている…はずだ。
    だから、刻一刻と、その時は近づいている。

    今まで元の世界に帰りたくて仕方なかった。
    魔法は使えないし、知らないことだらけだし、分からないこともいっぱいあって。
    毎日が恐怖ばかりで…こわくて泣いていた。

    でも、エースと恋人になってからは、そんなことを考える余裕なんてなくなった。
    エースがすごく大事にしてくれるから。毎日を楽しくしてくれるから。
    だんだんこわいことがなくなっていって、嬉しいことや楽しいことが増えて。
    エースと一緒にやりたいこととか、行ってみたいところとかがどんどん増えて。
    …エースのことで頭がいっぱいになった。
    それくらい、エースのことが大好きで…仕方がない。

    「ごめん、変なこと言った。忘れて」
    「エース。」

    しばらく何も言わなかった私に、エースが堪えきれずに言う。
    私の方こそ…ごめん。忘れるなんてできない。
    だって、嬉しかったから。

    「好き…。大好き。」

    ありがとう、というお礼よりも先に、エースへの気持ちが自然と出ていた。
    普段あまり言わないから…今、エースは照れているだろうか。
    それとも…微笑んでいるだろうか。
    あぁ、会いたいなぁ。

    「こんなに大好きな人を置いて帰るなんて…できないよ。」

    それに

    ―どこにもない。

    闇の鏡に言われたことを、今でも鮮明に覚えている。
    きっと…私は元の世界には帰れない。そんな気がしている。
    だから…

    「エースこそ…ずっと一緒にいてくれる?」

    一緒に泣いたり笑ったりして、時にはケンカもして。
    悲しいときも辛いときも、ずっと一緒に。

    「私、よそ見したりしないから。」

    いつかエースが花婿衣装を着て言っていた、あの言葉をなぞるように言うと。
    電話の向こうで、エースが息をのむ音が聞こえた。

    「あっ…ごめん。私こそ、変なこと言っちゃったね。今のは忘れて?」
    「……。」
    「もう、寝ようか。明日は朝練あるんでしょ?」
    「…。」
    「じゃあ、おやす」
    「ユウ。」

    急に恥ずかしくなって切ろうとした私の言葉をさえぎられる。
    たっぷり間を置いてから、エースは言った。

    「今の言葉。オレ、絶対忘れない。だから…ユウも忘れないで。」
    「…え?」
    「今日の勝負は、オレの負けでいいから。」

    エースは小さく、勝ったことなんてないけど、と言う。
    勝負?って…しりとりのこと?

    「エース、勝負って」
    「好きだよ。」
    「…っ!!」
    「…おやすみ。また明日。」
    「ちょ、エース!」

    私が呼びかけた時にはすでに、通話は切れていた。
    ずるい…これじゃあ…。

    エースのことで頭いっぱいになって…眠れないじゃない…。
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