嫁騒動0.5 紅葉が山々を鮮やかに染め上げた秋が過ぎ、明け方の冷えた空気に冬の到来を感じ始めた頃、とある屋敷では一人の体格の良い美丈夫が三人の妻のうちの一人の膝に頭を乗せて寝転がっていた。
銀色の肩より少し下まである長い髪の間から覗く赤みを帯びた紫の目は虚に閉められた障子の腰板を見つめていて、着流しの下の鍛え上げられて常に血管の浮いている筋肉質の身体は力なく畳の上に投げ出され、時折、須磨と言う名の妻の太腿の間に顔を埋めては長い溜息を吐いていた。
「天元様、まだお○ん○んが痛むのですか?」
須磨が心配そうに天元と呼ばれた男に話しかけた。
「…ああ。」
「あー!もう許せません、許せません!天元様を不能にして!あの蛇男!もう!どうしてやろうかしら!私達がホントどれほど迷惑してるか…!」
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