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    conomi_i

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    conomi_i

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    アシュビリとサインとバースデー
    ありがちなやつです❗
    🍭誕までに書こうと思ってたのにだめでした😆

    先着一名様「アッシュパイセン、サインちょうだい!」
    「はぁ?なんだよ急に」
    突如部屋に入ってきたかと思えば、第一声がそれだった。一体なんの企みが、とも思ったが、知り合いに頼まれて、とか一種の小銭稼ぎだとか、そういった類のものではないことなどすぐにわかった。狡猾なビリーはたまにこういった不可解な行動をとることがある。その手に握られたのは素朴なデザインの手帳だった。
    「まぁなんでもいいけどよ、どうせならもっとマシなもん持ってこいよ」
    「これでいいの!あ、めいっぱい大きく書いてネ」
    そう言ってビリーはぱらぱらと手帳をめくり、怪訝そうな表情を浮かべるアッシュにずいと新品の手帳を差し出した。開かれたページの日付は7月30日。アッシュに心当たりがあるのかちらりとビリーの方を伺えば、にこにこと満足げに笑うだけでしらを切り通すつもりのようだ。そうかよ、と鼻で笑う。どこか勝ち誇ったような笑みは些か腹立だしくも、悪い気はしなかった。開かれた手帳をビリーの手から奪い取るようにし、そのページに望み通りサインをしてやると突き返すような粗雑な態度でビリーに手渡す。そんながさつな対応も慣れっこなのか、はたまた本心などとうに見透かしているのか定かではないが、気にも留めずにサンキュー、などと軽くお礼を述べたビリーはすぐにそこに視線を落とし、ボールペンの跡を指でなぞりじっと見つめれば顔を僅かに紅潮させ手帳を胸に当てる。
    「んふふ、これで他の予定が入れられなくなっちゃったネ」
    弾むような声色にうっとりと三日月状に細められた瞳。この世の幸せをぎゅうと煮詰めたような、甘く蕩けるような表情を浮かべ、恋する乙女を想起させるかわいらしい言動のなかに確かに色濃く存在するビリーの独占欲が、同時にアッシュのもつ同じ欲求を煽るようにもみえた。突如ビリー、と名前を呼ばれ急いでアッシュに視線を向けると、ぐいと強く腕を捕まれ姿勢を崩したビリーは間抜けな声をあげ、呆気なくベッドに押し倒された。
    「ちょ、ちょっと!アッシュパイセン急にどうしたの」
    スプリングを軋ませ覆いかぶさるようにビリーを見下ろすアッシュの右手にはサインペンが握られていた。いまだ状況の整理がつかず疑問符を浮かべるビリーを尻目に許可もなくビリーの部屋着をたくしあげ、生白い薄い腹が眼前に晒される。ここまでくればたとえどんなに察しが悪くともこの先何が待っているかだなんて想像に容易いであろう。

    「……アッシュパイセンって、意外とこういうの好きだよネ」
    「うるせぇ、ほっとけ」

    ビリーは思わず減らず口を叩いてみせた。
    頬の赤らみと、早る鼓動を無かったことにできたら、少しは格好がついたのだけれど。


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    conomi_i

    MAIKINGアシュビリとサインとバースデー
    ありがちなやつです❗
    🍭誕までに書こうと思ってたのにだめでした😆
    先着一名様「アッシュパイセン、サインちょうだい!」
    「はぁ?なんだよ急に」
    突如部屋に入ってきたかと思えば、第一声がそれだった。一体なんの企みが、とも思ったが、知り合いに頼まれて、とか一種の小銭稼ぎだとか、そういった類のものではないことなどすぐにわかった。狡猾なビリーはたまにこういった不可解な行動をとることがある。その手に握られたのは素朴なデザインの手帳だった。
    「まぁなんでもいいけどよ、どうせならもっとマシなもん持ってこいよ」
    「これでいいの!あ、めいっぱい大きく書いてネ」
    そう言ってビリーはぱらぱらと手帳をめくり、怪訝そうな表情を浮かべるアッシュにずいと新品の手帳を差し出した。開かれたページの日付は7月30日。アッシュに心当たりがあるのかちらりとビリーの方を伺えば、にこにこと満足げに笑うだけでしらを切り通すつもりのようだ。そうかよ、と鼻で笑う。どこか勝ち誇ったような笑みは些か腹立だしくも、悪い気はしなかった。開かれた手帳をビリーの手から奪い取るようにし、そのページに望み通りサインをしてやると突き返すような粗雑な態度でビリーに手渡す。そんながさつな対応も慣れっこなのか、はたまた本心などとうに見透かしているのか定かではないが、気にも留めずにサンキュー、などと軽くお礼を述べたビリーはすぐにそこに視線を落とし、ボールペンの跡を指でなぞりじっと見つめれば顔を僅かに紅潮させ手帳を胸に当てる。
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