音「今日はここまで」
含光君の言葉が蘭室に響き渡ると同時。
スパーー―ン!
蘭室の扉が勢いよく開かれた。
何事かと各世家の子弟たちが扉を一斉に振り向いた。
「魏嬰?」
藍湛は扉の前にいる魏嬰の行いに眉を顰めた。
大きな音を立てないという規則破りを犯したために顰めたわけではない。
普段奔放な行動を起こす魏嬰だが、彼なりに雲深不知処での弁え方を心得ている。
そんな彼が、蘭室の授業が終わったと同時に乱暴に戸を開け、いつもの明るい表情を俯け隠しきって、ふらりふらりと藍湛のもとへ歩んでいた。
「魏嬰?」
返事の返さない魏嬰に藍湛は胞の裾を払って立ち上がると、それに気づいたように魏嬰は歩みを止めて倒れこんだ。
わぁとなる子弟たちの声を制し、藍湛は魏嬰を受け止めると、その胸に魏嬰は何かを囁いた。その言葉に少し小首をかしげる藍湛。
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