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    013MAIN

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    自分がイライラしてたのをマちゃんに押し付けた
    わたしがフェによしよししてほしかっただけ
    ほんとはジルにしてほしかったけどさ…フロさま書けないからね…

    温もりが欲しい日 やっちゃった…目の前のフェルディナンドが処理落ちしている。わたしが悪かったのは明白だけれど、放っておいてほしいと頼んだのに追及してきたフェルディナンドにだって悪いと思う。

     今日は朝から些細なことにいちいち引っかかる日だった。たぶん…ゲドゥルリーヒの訪れのせいだ。朝の健康診断では特に何も言われなかったから、身体に問題はないのだろう。要は少し情緒不安定なだけだ。こんな日は最低限の執務をこなしたら本を読む。それすら集中出来ないならお布団にくるまって寝るしかない。そう割り切ってわたしはどんどん執務をこなしていた。

     あと半刻ほどで4の鐘が鳴るという時に、1人の中級文官がギーべ領の税収報告にきた。文官は成人して間もないようで、後ろには補佐できるように上司が控えていた。普段から若手にも様々な経験をさせるようにと言っているのは他でもないわたしだし、税収報告は元々予定されていた。ただ、やはり不慣れな文官はこちらの質問に答えることは出来るのものの時間がかかった。だんだんとイライラが積もっていく。机に書類を投げつけたい衝動がやってきた時4の鐘が鳴った。報告は終わっていなかったが「アウブは昼食を優先なさってください」とフェルディナンドが言うので、報告の続きは後ほど受けることになった。

     口数少なく昼食を済ませ、わたしはフェルディナンドに少しの時間隠し部屋で休ませて欲しいと伝えた。本を読めるなら読みたかったが、今のささくれだった気持ちでは本も読めない気がする。ふとした拍子に周りの側近や文官に八つ当たりしてしまいそうな、そんな気持ちをなんとかおさめたかった。するとフェルディナンドが「私も話がある」と隠し部屋についてきた。

    「何を不満に思っているのか知らないが、顔に出過ぎだ。側近はともかく、執務室の文官が君の顔色を伺っているせいで手が遅くなっている。今日は早く休みたいと言っていたのに、それでは逆に執務が滞るぞ」

    隠し部屋に入った途端に聞こえたお小言にわたしの中で何かが切れた。でも何と言えばいいのかわからない。言葉が上手く出てこない。

    「…昼からはきちんと貴族らしく対応いたしますから、しばらく放っておいてください」
    「体調は?朝は特に問題ないと思ったが…」
    「だから!放っておいてくださいと言っているのです!」

     わたしはほとんど叫びながらこちらに伸ばしていたフェルディナンドの手を払った。フェルディナンドはしばしの間処理落ちした後深いため息をついた。

     手を払ったのは悪かったと思うけど、わたしだって好きでイライラしてるわけじゃないのに…溜息つきたいのはこっちなのに…思わず目に涙が浮かんでくる。もう嫌だよぅ、とりあえず1人にしてもらわなきゃ。

    「こちらに来なさい」

     だから1人にして欲しいって言ってるのに!そう思って顔を上げると、予想外に優しい顔をしたフェルディナンドが手を広げている。わたしが動かずにいると「はやく」と急かされる。フラフラとフェルディナンドの元へ向かうとぎゅーっと抱きしめられた。

    「まったく…何故1人になろうとする?それで治るものではないだろう」

     どうやらフェルディナンドはわたしの状態に気づいたらしい。ゲドゥルリーヒの訪れがあったことは既に知られていたが、それが原因でここまで情緒が乱れるのは珍しいし、理解してもらえると思っていなかった。

    「それにしても今回は特に酷いのではないか?残りの執務は私が引き受けてもいいが、1人で寝台にいるのも気が滅入って嫌だと以前言っていただろう。君はどうしたい」

     問いながら腰の辺りをさすってくれる。以前っていつだけ?そんなこと言ったことあったかな?なんだかフェルディナンドの温もりが気持ちよくて何も考えられなくなってきた。

    「今は少しこのままで。昼からは最低限の執務はきちんとやります。ですから…そのあとはフェルディナンドも一緒に休んで…」
    「休んで?」

     この先を言うのは、なんだかすごく我儘を言う子どものような気がする。でも、優しくさすってくれる手が、何でも言っていいと伝えてくれる。

    「…こうしてぎゅーしてお布団で一緒に寝てほしいです」

     一瞬、ほんの一瞬手が止まった。それだけなのにわたしの目から涙が溢れる。あぁ…本当に今日はどうしたんだろう。

    「いつも当たり前のようにぎゅーをねだってくるし、毎晩共寝しているのに何故言い淀む。それぐらいしてやるから泣くんじゃない」
    「なんで泣いてるのかわかりません!勝手に涙が出てくるんです!ぎゅーを頼むのもなんだか恥ずかしかったんです!なんでなんて知りません!もう嫌だぁ…」

     よくわからない思考回路のまま涙を流すわたしをフェルディナンドはずっと抱きしめていてくれる。だんだんと気持ちが落ち着いてきて涙が止まったら、今度はフェルディナンドに申し訳なくなってきた。

    「あの…もう大丈夫です。こんなことで泣いてしまってすみませんでした」

     抱きしめられていた腕から抜け出すと温もりが恋しくなったけれど、そろそろ執務室に戻らなければならない。フェルディナンドは泣いてしまったわたしの目を左手で覆い「ルングシュメールの癒しを」と呟いたあと「執務が終われば無理に笑わずともいいから、少しだけ頑張りなさい」と励ましてくれた。
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    MOURNING自分がイライラしてたのをマちゃんに押し付けた
    わたしがフェによしよししてほしかっただけ
    ほんとはジルにしてほしかったけどさ…フロさま書けないからね…
    温もりが欲しい日 やっちゃった…目の前のフェルディナンドが処理落ちしている。わたしが悪かったのは明白だけれど、放っておいてほしいと頼んだのに追及してきたフェルディナンドにだって悪いと思う。

     今日は朝から些細なことにいちいち引っかかる日だった。たぶん…ゲドゥルリーヒの訪れのせいだ。朝の健康診断では特に何も言われなかったから、身体に問題はないのだろう。要は少し情緒不安定なだけだ。こんな日は最低限の執務をこなしたら本を読む。それすら集中出来ないならお布団にくるまって寝るしかない。そう割り切ってわたしはどんどん執務をこなしていた。

     あと半刻ほどで4の鐘が鳴るという時に、1人の中級文官がギーべ領の税収報告にきた。文官は成人して間もないようで、後ろには補佐できるように上司が控えていた。普段から若手にも様々な経験をさせるようにと言っているのは他でもないわたしだし、税収報告は元々予定されていた。ただ、やはり不慣れな文官はこちらの質問に答えることは出来るのものの時間がかかった。だんだんとイライラが積もっていく。机に書類を投げつけたい衝動がやってきた時4の鐘が鳴った。報告は終わっていなかったが「アウブは昼食を優先なさってください」とフェルディナンドが言うので、報告の続きは後ほど受けることになった。
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