今はそれでいい俺は叔父さんを失ってから家族という存在がなくなった。
でもピエールや恭二と出会ってから変わったんだ
この2人がいてくれて、確かな絆はある。
嬉しいんだ
でも、いつか…血のつながった家族ができるのか
それをいつでも待っている。
今年齢は31歳だけど、この年になって運命の出会いをした少女がいた。
それは緒方智絵里ちゃん。最初は臆病な子だと思った
でも段々とひかれあって…今に至る。
普段はおどおど大人しいけど、いざという時は俺よりも強く、引っ張ってくれる。
ステージの上で輝く姿も大好きであった。
彼女の事は、女性として好きかもしれない
最初はもちろん、妹のような存在だと思っていたけど、今は違う
女、として好き
その智絵里ちゃんと家族になりたいと思った
無理なら無理と諦める覚悟もできていた
でも、俺は…
「みのりさん?」
考え事をしていた、俺に誰かが話しかける
智絵里ちゃん本人だ
ちょうど会いたかった
「やぁ、ごめん。考え事をしていた」
俺は申し訳なさそうに返すと、智絵里ちゃんは『気にしないでください』と言った
「何を考えていたんですか?」
「ん…家族が欲しいなって」
「家族…」
智絵里ちゃんも一時期家庭環境が良くなかった
今はだいぶ良くなっているけど
でも智絵里ちゃんの両親が共働きでそのおかげで寂しがり屋さんに
そうプロデューサーに聞いた。
「叔父さんいないって話、この前したと思うけど…今は恭二やピエール、君がいてくれる。でも…まだまだ少し不安が残っていてね」
「…」
「ダメだね、俺…」
こんな気弱な姿を見せて、俺は情けないと思った。
でも智絵里ちゃんは俺の手と自分の手を重ねた
「みのりさん、ひとりじゃないですよ」
「…」
「みんながいてくれます。ピエールくんや恭二さん…プロデューサーさん…私にもみんながいてくれますし。だから、大丈夫だと思います」
「…そうだね」
智絵里ちゃんは強い、俺より
俺は彼女を抱きしめた
「み、みのりさんっ!」
「ごめん…でも、俺…嬉しくってさ…これからも智絵里ちゃんがよければ一緒に居てほしい…」
好きだ、大好きなんだ
この思いは止められない
智絵里ちゃんはお兄さんのような存在だと思っていても良いし、でも俺は止められない
「…智絵里ちゃん、俺の事好き?」
「好きです…」
小声で返してくれた
「でも、男の人として好きなのかはまだ…迷いがありまして」
「それでいいよ。智絵里ちゃんの本当の気持ち待っている」
「はい…」
今はそれでいいんだ
待っているから、彼女の事…
その時が来るまで
おわり