↓元ネタツイート(という名の大前提と本文の概要)
①ハイとコノにそれぞれアタックされ始めたノイとチャ、「(嫌じゃないけど)俺じゃ不釣り合いだろ」と共通認識を持ち、好意を回避しようと色々画策するんだけどハイとコノが全然諦めないから、いっそ付き合ってる設定にするか?!で目の前でべろちゅーしてめちゃくちゃに怒られてしまいそのまま以下
②あまりの2人の諦めの悪さに血迷ったノイとチャ、べろちゅーまでして「俺たち付き合ってるんですみませんね!」の嘘でゴリ押ししようとしたのに秒速で嘘ってバレるし、「同性とキスできるなら僕とでもできるよね(できますよね)」でそれぞれべろちゅーされてそのままハイノイとコノチャ成立する(?)
③ハイとコノ的には本当に二人が付き合ってるなら身を引こうと思ったけれど(多分)、それぞれ自分からのアピールに揺れてるし好意も感じるのに、頑なに逃げようとするしオマケに目の前でべろちゅーなんてされたらね、そりゃハイもコノも「そっちがその気ならこっちにも考えがある」って強行突破しますよ
↓以下本文(書きたいとこだけ)
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「今まで黙っていましたが実は俺たち付き合っているんです。だからいい加減、諦めて頂けませんか」
ノイマンはハインラインとコノエを睨みつけるようにそう言い放つと、見せつけるようにゆっくりとチャンドラの顎を掬いあげた。
チャンドラは来るべき衝撃に備えて、動揺を悟られないように静かに瞳を閉じる。
ノイマンの吐息が顔の肌に触れたと分かった直後、己の唇がノイマンのそれに塞がれる。
身長差も相まり少しばかり覆い被さるような、上を向かされたそれに何故か羞恥を感じるも、これは自分たちを守るための策であることだと言い聞かせて己を律する。
チャンドラの身体が硬直してる―人前でキスすることを恥じらっている体(てい)で―のをいいことに、ノイマンはちゅ、ちゅ、と音を立てながらチャンドラの唇を啄み続ける。
己より薄いノイマンの生ぬるくも柔らかい、それでいてどこかさついている唇の感触に、チャンドラの内心は「コイツの唇の柔らかさなんて知りたくなかった!」と大暴れしているのだが、それでもなんとかノイマンの唇を受け入れ続ける。
「ッ……?!」
チャンドラは突然のぬるりとした感覚に肩を跳ね上げさせた。
ノイマンが唇を合わせるだけではなく、舌で唇を舐めるという突発的なアクションを起こしたからである。
―おいここまでするとか聞いてないって…!
ハインラインとコノエから死角になっている方の、チャンドラの腰に添えられているノイマンの腕を、チャンドラは抵抗しているように見えないように―極めて自然にキスを深くする恋人にやさしく寄り添っているように見えるように―努力しながら、なにしてんだお前、と全力で握りしめる。
が、痛かったのか、いやわざと痛いようにしたのだが、いいからじっとしていろと言わんばかりに腰に添えられた手に力を込められたことで、チャンドラは更にノイマンに密着する形になる。
バランスを崩しそうになったチャンドラが小さく零しかけた悲鳴は、チャンドラの唇が柔く開いた瞬間を見逃さなかったノイマンが舌を滑り込ませたことで音になることはなかった。
「っ、…、ん…ぅ…!」
―おい、唇合わせるだけだって言ったのお前だろ…?!
事前の打ち合わせではキスをするのを見せつけるだけだと、唇と唇と合わせるだけだと言っていたのにノイマンの猛攻は留まることを知らない。
歯列をなぞり、上顎を擽り、逃げ惑うチャンドラの舌を絡め取り、ノイマンは容赦なくチャンドラの咥内を蹂躙し続ける。
なんとかアイコンタクトを取ろうとハインラインとコノエの死角になっている側の片目を薄く開いても、同じく片目を開いたノイマンは黙ってろと言わんばかりに睨みつけてくるだけだ。
「は……んっ、ぅ……っ」
ノイマンとの意思疎通も息継ぎもろくに出来ないまま蹂躙され続けるチャンドラは酸欠により頭がぼやけ身体から力が抜ける感覚に堪らず両腕でしがみつくような格好になってしまった。
幸いなことに腰に添えられている手が力強くチャンドラを支えているので崩れ落ちることは無かったが、正直なところこれ以上続けられるとやばいとチャンドラはノイマンから離れようと肩を押し返すと、ノイマンももういいだろうとゆっくりと唇を解放した。
「ぷはっ…は、……ぅ……」
名残惜しげに繋がった銀色の糸がぷつりと切れる。
悔しいことに今すぐに一人で立てる自信がなかったチャンドラはノイマンにしがみつきながら肩で息をし、ノイマンもチャンドラの腰に手を添えたまま、二人に見せつけるように己の濡れた唇を親指でゆっくりと拭った。
「これでお分かり頂けましたよね。自分たちは真剣に交際しているのです。だからもうこれ以上、ッ?!」
「おあ?!」
俺たちに好意を向けるのは無意味だと、己の本心を欺きながらそう言葉にする胸の痛みに目を背けながら続けようとしたノイマンの言葉は、いつの間にか近くに迫っていたハインラインに力強く腕を引かれたことで遮られた。
痛みが走るほどの引き寄せにノイマンは足を踏ん張ることも出来ずに、気がつけば両腕ごと抑え込められるようにハインラインに抱き締められていた。
ノイマンは咄嗟に抜け出そうと目の前の胸を押し返そうとするが、どこにそんな筋力があるんだと言わんばかりの力強い抱擁にビクともしない。
「ハインライン大尉?! 離せ! おい!」
「こ、コノエ艦長?!」
ハインラインに抱き留められたノイマンと同様に、チャンドラはコノエの腕に囚われていた。
こちらは十センチ以上の身長差と体格差が相まってノイマン以上に脱出は困難で、それでもなんとか逃れようとしていたのだが。
「君たち」
チャンドラの声を遮るように発せられたコノエの威圧感と冷徹さを感じる声に、ノイマンもチャンドラもピタリと動きを止めた。
ここで抗ってはいけないと、下手に動こうものなら殺されるのではないかと本能的な危機感に体が硬直した。
「我々を揶揄うのも大概にしてもらおうか」
「…か、揶揄ってなど」
「君たちがなにを思って先の行動を起こしたのかは後でじっくり教えてもらうとするが、此方としては意中の相手が別の男と口付けを交わしているのを見せつけられて黙っていられるほど寛容では無いのだよ」
「だ、だから、我々は交際をしているから貴方たちの想いには応えられないと、」
「アーノルド」
「だから名前を呼ぶことを許した覚えはないと何度言え、んっ?!」
コノエの冷徹な声にもになんとか噛み付いていたノイマンだったが、耳元で囁かれた己の名前に対して何度目かもわからない応答を反射的にしてしまった。
その一瞬の隙を見逃さなかったハインラインはノイマンの唇を奪った。
暴れようとするノイマンを更に強い抱擁で防ぎ込みながら、ハインラインは先程ノイマンがチャンドラに施したものより激しい口づけを容赦なく行う。
呼吸も許さないほどのそれは的確にノイマンの弱点を暴き、固執に攻め立て、遂にはノイマンの体からは力が抜け膝から崩れ落ちてしまった。
ハインラインの足元にしゃがみこむ形になってしまったノイマンは肩で息をする。
「ほう。貴方は恋人では無い相手からの口付けでもこうも簡単に屈してしまうと?」
「そ、それは、アンタが急に……っ!」
「やれやれ。少なからず私からの好意を喜ばしく感じていたように見えていたのですが、まだまだ足りないようですね。そうとあればもっとよく教えて差し上げます。今度からは言葉だけではなく行動でも」
「ハァ?! あ、ちょっ、ンッ~?!」
膝を折ったハインラインはノイマンの顎を掬いあげると容赦のない濃厚な口付けを再開する。
目の前で繰り広げられる衝撃的な光景―先程自分たちもやっていたのだが―と激しい水音が響く空間にチャンドラは思わず顔を赤らめるが、さて、と至近距離からか聞こえた声に一瞬でサーっと血の気が引いた感覚を覚えた。
その発生源は言わずもがな、己の肩を逃さないとしっかりの握り抑えこんでいるコノエのもので。
ギギギ、とまるでブリキの玩具を彷彿とさせる動きでコノエを見上げたチャンドラは、先程の冷徹さを消し去った、しかし今度はまた別の威圧感があるにこりとした微笑みに、ひえ、と小さな悲鳴がこぼした。
「こ、コノエ、艦長…?」
「なにかな、チャンドラ中尉」
「お手を、離していただけると、幸い、なんですけれども」
「この状況下でもなお逃げの姿勢をとる姿は可愛らしいと思うが、先程私が言った言葉を忘れたのかな」
―意中の相手が別の男と口付けを交わしているのを見せつけられて黙っていられるほど寛容では無いのだと
にこりと、しかし間違いなく怒っている雰囲気を隠さず顔を近づけてくるコノエに、チャンドラは堪らずぎゅっと目を閉じ、己の顎を掬いあげる手に身を委ねることしか出来なかった。
―せめて命だけは…!
…というチャンドラの淡い願いは、翌日艦長室のベッドから一歩も動けないようにさせ、甲斐甲斐しく楽しげに世話を焼くコノエによってなんとか叶えられたのであった。
ちなみにノイマンも急遽非番になったことは、後日ノイマンの口から直接聞いた。
「なんでこんなことになったんだろうな…」
「わからん…」
「収まるところに収まったと考えれば宜しいのでは?」
「ちょっとハインライン大尉は黙っててください。というかいつから居たんですか」
「アルバート、嬉しそうな顔が隠せてないよ」
「なんでコノエ艦長もいるんですか…」
おわれ
あとがきという名の簡略箇所の説明
・ノイ+チャのベロチュー、ノイも触れるだけで済ませる予定だったけど、触れるだけじゃハイとコノに対しての見せつけの手応えがなかった、もっとやった方がハイとコノに信憑性を持たせられるかと思ったため
・チャは↑のことなんて知らないのでガチ抵抗。でもシンプルな強さはノイのほうが上なのでねじ伏せられてる。
・ハイとコノは見せつけべろちゅーに唖然としてたけど、だんだん「君たち僕たちからの好意に嬉しそうにしてたのにそこまでして僕らを遠ざけたいのかい??^^(怒)」みたいな感じでおこになった
・最後のハイはノイが雑に扱うのはある程度懐に入れた者のみということを知っているから雑に扱われてちょっとうれしくなってる(Mではない)