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    ぎ ん じ

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    カージョセ
    ※転生

    愚人美味礼讃本能の恐怖が今はないのに前世の刷り込みで時折ふと近づくとビクリとするジョセフはまるで被食者のカーストに諦めのついた鼠のようなザマ、..."昔"の彼なら嫌がらせれば頭を振りかぶって前歯をぶつけ皮膚を引きちぎろうとするように口達者に噛みついただろう。ただ目の奥に体の軸には怯えが見え、しかし足を踏ん張るだけに留まる。揶揄うと膨れっ面になる、しかしそれは抵抗じゃない、他の存在を知り受け入れ甘んじてくれたのだ、甘んじられたのだ、そんな生温い愛を追い詰め...追い詰められても、歯向かう理由など"今"はないのだと、
    「なンだよ、カーズかよ」共存。これが望んだ世界ではないのだからそれは当たり前でしかないことを、種族間の対立は二度と成立しないのだから未来永劫もう繰り返すことができないのを、手のひらに突き刺さる爪先に辿る血こそ、運命(さだめ)と、カーズは彼の家でにこにこ笑いかける祖父を見知っているのだ。
    指は実に"健康的"な色合いをして更にフィルターをかける鮮やかな赤が内包する構造、傷口に滲んだ血は遠い"昔"につまんでみた人間の味を総合している。
    本当は共存ですらない。同じように跋扈する存在。環境と肌色の色調変化、カーズとジョセフはいつでも海抜の上で生物カーストを共有し、交じ合わせたくない目線はその立場に置いて傲慢と呼ばわれるものだ。
    もはや個体差の特徴としか言えないぐらいの犬歯でジョセフに噛みついた首筋にはきっとなんのアザもないのを、確信している。餌のはずだった男もただの人間として時折衝突しているだけだ。
    ただ、カーズは、あの仮面の作り方を忘れてなどいない、なにもかも忘れてなどいないからこそ、ジョセフの肉の味に興味の湧かない本能を思い知る。それでも食い千切り飲み込み、「ワニ肉ってうめェのかな」ヒトの飽くなき興味がカーズを導く。今度もさぞ「やはり旨かろうな」きっと違った旨味が堪能できるはずなのだ。だから記憶とは違う味覚をそれなりに楽しめている。存分に覚えよう人間の食を、知れば知るほど、ジョセフの味が遠のいて、ああ不味ければいい、「やはり不味かった」「おい、どっちだよ!ていうか食ったことあんのかよ?」吐き捨てたその言葉に歪む顔は見知った恐怖であるはずだ。
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