Naked lover袖を抜いて首元までニットを脱ぐと細っそりした体が現れる。浮き彫りになった肋骨を指先で一つ一つと触れていく。
「そんな顔せんで。撮影終わったらちゃんと食べるから」
映画で演じる役のためヴァンは極限まで体重を落としていた。お腹空いた、ジャンクフード食べたいと言いながら求められるところまで体を作り込んだ。もともとほとんどなかった脂肪だけでなく、筋肉までも。アイドルとしての仕事はオーバーサイズ風の衣装でごまかしても男性らしい厚みのなくなった胸囲も折れるんじゃないかと心配になる腕の細さも目の当たりにすると急に不安になる。
「腹一杯食わせるからな」
そんな顔がよく分からなくてヴァンの胸に顔を埋めて力を入れすぎないようにその腰を抱きしめた。
「あたりまえやん。いっぱい食べるし。筋肉も戻さなあかんからな。トレーニング付き合って」
「ん。前以上に筋肉付けさせてやる」
「えーほどほどで」
顔を上げないでいるとヴァンの手が頭を撫でた。そしてちゅっとキスを落とす。
「気になるならうえ着たままにしよか?」
「いい。脱げ」
ヴァンの顔を見返して、首元に残るニットを頭から抜き取った。背中に腕を回して、すっぽり収まるそれを力いっぱい抱きしめるとヴァンも負けじと抱き返した。二人でぎゅーぎゅー抱きしめ合ってベットをコロコロ転がった。
ぐぅぅー思わぬ音に二人で目を丸めてからブハっと笑った。
「お腹なってしもた」
「腹ペコだもんな」