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    CitrusCat0602

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    CitrusCat0602

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    これは厄災ルートのプロチコ(三つ目にカノさんもいる)の何とも言えないさくさく読める文

    1
     ふと目が覚める。外はまだ暗く、起きるには早い時間だ。だが何となく目が冴えてしまって、懐で眠る伴侶に目を向ける。稀に小型犬ほどの大きさの竜体で懐に潜り込んでいるのだが、今日は人の姿のまま眠る気分だったらしい。ぴとりと自分の胸に頬を当てて穏やかな寝顔を見せている彼女を眺める。

    「……ぐっすりやなぁ」

     自分が彼女の腹の中にいた頃、彼女は周りで少しでも物音がしようものなら即座に飛び起きるほど全てを警戒していた。それが今は、自分に引っ付いて安心しきった寝顔を見せている。それが何とも愛おしくて、プロキオンはそうっと彼女を抱きしめた。
     ん、と僅かに少女は声を漏らす。しかし起きるわけでもなく、ぐりぐりと彼の胸に顔を擦りつけた。

    2
     ぺろん。頬を舐められてぎくりとプロキオンは身体を硬くした。チコーニャは寝ぼけているのか、目を閉じてうとうとと船を漕いでいる。

    「……チコちゃん?」

     恐る恐る声をかけると、チコーニャははっ……と目を開き、そしてまたぺてぺてとプロキオンのことを舐め始めた。彼女の奇行は今に始まったことではないが、流石に舐められるのは擽ったい。彼女のやりたいようにやらせたい気持ちはあるものの、妙な気持ちになる前にやめさせておこうと未だに熱心に自分を舐めているチコーニャの頬を軽く摘んだ。

    「チコちゃん起きて……や、眠かったら寝てもええんやけども、ちょっと舐めるのやめーや」

     今竜の姿でもないんやで、と続けるも、チコーニャはぴろりと舌を出したままきょとんと自分を見るだけである。何がいけないのかわかっていないのか、単にまだ寝惚けているのかどちらなのかいまいちよくわからない。プロキオンはとりあえずチコーニャの舌をつついてしまわせた。

    3
     チコーニャの竜の姿は柴犬に似ている。もちんもちんとまあるい犬のような生き物が腹を出しながら寝ているのを、仕事の話をしていたプロキオンとカノープスは並んで見ていた。チコーニャは暫く俗に言うヘソ天の状態で転がっていたが、やがてむくりと起き上がり、ぺてぺてと自分の羽を舐めて羽繕いをし始める。

    「……父さん」
    「なんや?」
    「チコーニャ最近、猫みたいになってきてるように思うんだ……」
    「……確かに……」

     冬には暖かい場所、夏には冷たい場所を選んで転がっていたり、何も無い場所をじっと見つめていたり、クッションを前足で捏ねていたり……見た目は犬なのに、考えてみれば行動は猫のそれだ。じっと自分を見つめている二人の視線に気がついてか、チコーニャは羽繕いをやめるとじっと二人を見て、またころんと腹を見せて横になった。撫でろと要求しているらしい。じっと二人を見て尻尾を振った。

    「野生を失っている……」
    「ルピちゃんの方がまだ野生やんなぁ」

     などと言いつつも、チコーニャのふかふかのお腹をプロキオンは撫でてやる。かいかいと後脚が撫でられるのと同時に動くのを眺めながら、カノープスはふとそもそもチコーニャは竜だったな……と思った。
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