ドアを開ければ待っていましたと言わんばかりの蝉の声が耳の奥までキンキンと響いてくる。
まるでドライヤーの風を思いっきり近くで浴びているような嫌な風が同時に頬を撫でた。
カレンダー代わりに天気予報を見れば自然とため息が出る様な気温が列をなしている。
何故か昔から冬の日が暮れた時より夏の日差しを浴びている時の方が急に切ない気持ちに襲われる時がある。
カンカン照りの太陽を浴びながら、幼い頃はきっと休みが終わっていく寂しさだと思っていたが歳を重ねてもその感覚は変わってない。
この虚しさにも似た気持ちに拍車をかけたのは数日前に些細な行き違いから恋人と口喧嘩になってしまったからだろう。
平日はお互い大学とバイト、仕事に追われる日々なので自分だけが長期の休みとなると調子が更に狂っていく。
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