背中のなかの流れ星梅のつぼみが膨らんだ。ほのかな甘酸っぱさが、ドラルクキャッスルマークⅡ の路地裏を賑わせる。見頃を迎えるあたりには、寒さもやわらぐことだろう。
「まぁ閉め切っているから、甘酸っぱさもなにもないけどね」
寒風にかおる梅花より、安全地帯のこたつで映画鑑賞をするに限る。2月の路地裏に私が耐えられるはずあるまい。
さてさて、今日はどのクソ映画にしようかな。
鑑賞にたえない映画を吟味していると、ロナルド君があらわれた。
風呂上がりの湯気たちのぼるバスタオル一枚。
眉をはね上げアイコンタクト。ヘイロナ公!原始人のマネかい?
「パンツ忘れた」
「ああ、そう。」
乗る気はないらしい。残念。
すこし前みたいに、私が起きていても、リビングでクソ映画を観たり、ゲームで遊んでいても、驚き飛び上がることはなくなった。
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