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    現パロドレホ🦖🔮+レスラー百獣、大看板と飛び6️⃣砲 中編

    #ドレホ
    dreho

    全年齢・現パロドレホ *****
     
     〈大看板への挑戦権〉は通常の試合と異なる特別ルールで行われる。通常一対一で行われる試合だが、この試合に限っては大看板一人に対して挑戦者二人で執り行う。
    「それくらいハンデがないと試合にならないくらい実力があるんだよ」
     ページワンに紹介されたジャックが、照れ隠しに大きな体を縮こませた。
     そろそろ試合が始まる時間のため、ホーキンスたちは関係者席に移動し、ページワンからルールの解説を聞いていた。
    「ドレークとの試合も二対一で?」
    「いや? ドレークはそもそも〈大看板〉じゃないし、一対一対一でバトルロワイヤルになると思うぜ」
    「あんたそれ本気で言ってるのかい?」
     ページワンの頭上からブラックマリアが覗き込む。
    「今日の挑戦者が誰だか忘れたんじゃないだろうね?」
     ページワンが「あ〜……」と呻く。
    「ササキとフーズ・フーか……」
     名前を聞いたジャックも不安そうに唸る。
    「……なにか問題が?」
    「問題は……、ないとは思うが……」
     ホーキンスの問いに、ジャックが歯切れの悪い答えを返す。
     ササキもフーズ・フーも〈飛び六胞〉であり、ドレークのかつての同僚だった。
     "X"のポジションが独特だったこともあり、〈飛び六胞〉同士で試合を組んだこともなかったため、どちらが強いかどうかは不明である。
    「二人とも実力も人気があるし、変な気は起こさないと思うが……」
    「ライバル心強いとこあるからな〜」
     ジャックに続いて、ページワンも唸り声をあげる。
    「男の嫉妬は怖い、ってことよ」
     フフフと、ブラックマリアがホーキンスに向かって微笑んだ。
     
     *****
     
    『待たせたな野郎どもぉ〜‼︎』
     試合開始時刻、会場にMCを務めるクイーンの声が響く。
    『やせちまったらモテすぎるから♪あえてせないタイプの〜⁉︎』
    「「「"FUNK"」」」
     コールアンドレスポンスに会場が盛り上がる。
    『今日の試合は〈大看板への挑戦権〉の予定だったが、おまえら知ってのとおり、——なんてこった‼︎ 肝心のジャックがドジって怪我しちまった‼︎』
     関係者席のジャックへスポットライトが当たり、観客席から残念そうな声が上がる。
    『だが今日は‼︎ なんという奇跡か‼︎〈大看板〉にも負けないほどの男が現れた‼︎』
     クイーンが選手入場口を身振りで指し示す。
     スモークとスポットライトを浴びて、恐竜のマスクを被ったドレークが現れた。
    『謎の覆面レスラー"X"‼︎』
     観客から大きな歓声があがる。
     予想していたよりも大きな反応に、ホーキンスも驚きを隠せなかった。
     続いて現れたササキ、フーズ・フーにも大きな歓声があがる。
    『今夜は特別‼︎ 一夜限りのエキシビション‼︎
     ササキVSフーズ・フーVS帰ってきた男"X"‼︎ 三つ巴のバトルロワイヤルだ〜‼︎』
     観客から大歓声が上がった。
     
     *****
     
     試合は三セット、制限時間内に誰かからダウンを取ると、取った選手に一点入り、三セットを終えて一番多く点を取った選手の勝ちとなる。
     ちなみにここでいう"ダウン"とは"戦闘不能状態"を示す。
    「……思ったよりも過激ですね」
    「さすがに他所とやる時は公式ルールに従ってるぞ」
     ホーキンスの呟きにジャックが慌てて補足する。
    『それでは第一試合ぃ〜……、開始‼︎』
     開始のゴングが鳴り響く。
     ほぼ同時にドレークがフーズ・フーへの頭へと飛び掛かる。
    『初っ端から"X"の速攻‼︎ 強烈な肘打ちがフーズ・フーの脳天へ直撃したぁ‼︎』
     しかし、フーズ・フーも簡単には倒れない。
     ふらついたのも束の間、すぐさま踏ん張り、ドレークの腹に蹴りを叩きこんだ。
     真上にふっ飛ぶドレークに攻撃を重ねようとフーが体勢を整えようとしたその時——
    「ホラホラよそ見してんじゃねぇぜ‼︎」
     ササキがガードが空いたフーの横へと突進をかました。
     重量のある音がぶつかる衝撃音を響かせ、フーはリングの端へと飛ばされてしまった。
     派手な一撃を決めたササキは、ニヤリと口元を歪ませ、再び突進を決めるべく構えて——、そのササキを思い切り踏みつけてドレークがフーの元へ大きく跳んでいく。
     跳躍の勢いそのまま、ササキの突進のダメージが残るフーの顔へ思い切り膝蹴りを入れた。
    『おっとフーズ・フー、これは流石に大ダメージ‼︎ 立つことも難しいか⁉︎』
     フーはどうにか立とうとしたが、フラフラと力が入らない様子で、そのまま崩れ落ちてしまった。
    『フーズ・フー、ダウン‼︎ 初得点は"X"が決めた〜‼︎』
     ワァッと観客席が沸いた。
     フーが一旦退場し、ドレークとササキが対峙する。
    「ドレークはやっぱりフー狙いだったか〜」
    「ササキとやるには重量が足りないものね」
    「この後ドレークは逃げ切りでありんしょ?」
    「まあそうだろうな。ブランクがあるし、ここで無理に二点取る必要もないしな」
     試合を見ながら関係者席の面々が思い思いに解説する。
    「急な代役だし、ドレークにもっとハンデやればいいのにな」
    「そうだな、武器くらい持たせてやってもよかったな」
    「ドレークって何使ってたっけ?」
    「メイスと斧でしょ?」
     ホーキンスは横で会話を聞きながら、その内容と目の前の試合の迫力に身を凍り付かせていた。
    (これは……想像していたよりも、ずっとずっと激しいな……⁉︎)
     その後、第一試合は関係者席の予想通り、ドレークがササキの猛追をかわしきり、一点先取で終了した。
     コーナーでインターバルに入る直前、ドレークと一瞬目があった。
     戦いで興奮していたギラギラ光る目が、ホーキンスと合った途端、向こうから慌てて逸らされてしまった。
    「………………ドレーク……」
     ホーキンスは代役の背中を押してしまったことを後悔し始めていた。
     
    『さぁ〜て、現在"X"が一点一人勝ち‼︎ このまま第二試合でも一点取って勝ち逃げなるか⁉︎
     それでは第二試合、開始ぃ〜‼︎』
     再び開始のゴングが響き、歓声が湧き起こる。
     しかし、ここで予想外の展開が起こる。
    『フーズ・フー、"X"の後ろへとまわり込んで動きを牽制する‼︎ そして、ササキは正面へとまわり——……、おっとこれはぁ⁉︎』
     ササキはドレークの胴を捕えると、そのまま床へ締め技へと持ち込んだ。
    「くっ……‼︎」
     どうにか隙を作り、ダウンから逃れるも、今度は待ち構えていたフーが攻撃を仕掛けてくる。
    『"X"これは苦しい‼︎ 実質二対一だ‼︎』
    「…………‼︎」
     解説の言葉に、ホーキンスは思わず両手を強く握り締める。力いっぱい握り込まれた指先は白くなったまま元の色に戻らない。
     嫌な予感が沸き上がり、じわじわと胸へと広がっていく。
     その後、ドレークは時間いっぱいまで追い込まれ、ジリジリと体力を削られていくしかなかった。
     動きがあったのは残り二分をきった頃。
     ドレークがまず二人から逃れるようにリングの端へと移動し、ほんのわずかな隙をつき、一瞬二人の包囲網から逃れた——かのように見えた。
     ドレークが逃げた、その先にササキが待ち構えていた。
     ササキが突進し、ドレークに足払いを掛ける。浮いた身体にすかさずタックルを仕掛け、床へと叩きつけた。
    「‼︎」
     叩きつけられた衝撃で凄まじい音が響く。
     背中から強かに打ったドレークは、何度も起きあがろうとするもとうとう起き上がることはできなかった。
    『ササキ、一点取得〜‼︎ 駆け引きの第二試合、ようやく得点が入った‼︎』
     観客席から大きな歓声があがるが、ホーキンスの耳に入ってこなかった。
    『残り時間あとわずか‼︎ ここでもう一点取りたいササキと、無得点から逃れたいフーの一騎打ちだ‼︎』
     解説の言葉がどこか遠くに聞こえる。
     ドレークは一人で動けないらしく、リングの外にいたセコンドが衣装の端をもってドレークを移動させていた。
     ——……大丈夫、ドレークの運勢は悪いものじゃなかった。大怪我や事故の暗示は出ていなかった。……大丈夫のはずだ。
     ホーキンスは占いの結果を信じていた。しかし、目の前で大事な人が動かなくなっているのを見て動揺しないほど、冷静な人間でもなかった。
    『フーズ・フーも一点獲得‼︎ これで三人同点となった‼︎ 第三試合は先に一点取ったやつの勝ち‼︎ 緊迫の最終試合を見逃すな〜‼︎』
     ホーキンスはリングの外へと運び出されたドレークをただただ目で追うしかできなかった。
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