夕方の高速道路 防音のための柵はまるで壁と呼んでも差し支えないほどの威圧感をまとって、道路の両側に高々とそびえている。
柵より上、目に映るのは等間隔に立ち並んだ照明灯ばかりだ。その銀色の、ほっそりとした柱たちが飛ぶような勢いで後ろに流れていくのを数え続けていく。暮れかけて淡いグラデーションを浮かべた空を背景に、見えるのはひたすらに壁と照明だけで、けれど俺にはそれも嬉しかった。何しろこっちはしがない男子高校生なのだ。普段の移動手段は徒歩が基本だし、学外をふらふらする時は電車に乗るけれど、それは特急でも何でもなくて、移動距離もささやかなものだった。
景色に気を取られるあまり、顔が窓ガラスに貼り付きそうになったところでふと思いとどまる。隣の座席――隣といっても車内が広すぎるせいで、反対側の窓際までには結構な距離がある――を振り向けば、クロードは穏やかな横顔をして窓の外に視線を送っていた。
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