やわらかな光が落ちている。借りたホテルの一室の、間接照明がKの裸体をぼんやり照らしている。
「あなたは何もしなくていいんですよ」
脱がせた黒衣と自身のスーツをハンガーに掛け、富永がベッドに戻ると潤んだ瞳とかち合った。青く透きとおる夜の色。奥底に星の輝くきれいな目。いつもはもっと硬質な印象を受ける瞳も今は酔いが回ってとろけていて、富永の姿を映してゆるく瞬く。
「なに、も……?」
ふわふわと夢見るような甘い声。そっと口づけると素直に開く唇に、そのまま舌を差し入れた。どんな酒よりも強く痺れる、熱くとろけきったKの咥内は性感を刺激して、貪るほどに溺れていく。
富永は己のなかにまだこんな情欲があったのか、と驚くような呆れるようなそんな心地で猛る中心を自覚した。口づけながらぐっと腰を押しつける。熱と熱が触れ合って、組み敷く男の喉が甘く鳴る。
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