お題「手紙」「拝啓 江戸川コナン様
この手紙は君がアメリカに発つと聞いて慌てて書いているものなので時候の挨拶は省略させてもらう。わかりにくい所に隠したつもりだけど、これを読んでいると言うことは発見されてしまったようだね。悔しいがさすがだ。きっと見つけるだろうと信じてた。手紙に使う漢字も君なら読めてしまうだろうからこのまま続きを書きます。
正直、組織の壊滅にコナン君の力をこんなに借りる事になるなんて思ってもみなかった。出会った頃から君の明晰な頭脳には一目置いていたつもりだったけど実際はそれ以上だったよ。君には本当に驚かされてばかりだったね。この件に関しては随分と大変な目に遭わせてしまった。
アメリカに住んでおられるご両親には随分と心配を掛けてしまったことだろう。本来なら直接お会いして、一言お詫びをしたい所なんだが後処理がまだいっぱいあるんだ。
息子さんにこんなに力を貸してもらったのに非礼を許してほしい。ご両親にくれぐれもよろしく伝えてくれないか。落ち着いたら改めてお詫びのご挨拶に伺うつもりだと。
毛利先生が解決した事になっている事件の数々を今振り返っている。どれもついこの間の出来事のようだ。二人で犯行の手口を暴いて見せるのは語弊があるかもしれないがワクワクした。楽しかったんだ。
もう君と事件を追いかけられない事が少し寂しい。でもその何百倍も君がご両親の元で平穏に暮らしてくれる事の方が嬉しいんだ。
江戸川コナン君、どうか長生きしてほしい。年上の僕が言うのはおかしいと重々承知しているが、僕からの最後のお願いだ。きっと向こうに行っても事件の匂いを嗅ぎつけてウロウロとするだろう。でもどうか無茶な事はしないでくれ。何があっても生きてほしい。君は本来守られるべき存在なんだよ。
随分ととりとめのない話ばかりになってしまったがここでペンを置きます。
じゃあね、江戸川コナン君。
さようなら、元気で。
安室 透」