終煙怪奇譚:「こんこんこん」こん
ほんの遊び心だったんだ。
こん、こん
狐の窓。
そんなものがあるって聞いて、試しに指で窓を作って、何がのぞけるかなって。
こんこんこん
窓の向こうで見えてしまったものに目を背けて。
こんこんこんこん
それから〝音〟が聞こえる様になってしまって。
コン、コンコンコンコンコンコンコン
ゴンッ
鈍い音がすぐ傍で生まれ、冷たい室内に響いては溶け込む。
動きに合わせて揺れる空気が波を立てていき、己の頬を撫で過ぎていく。
強く目を閉じ、帳落ちる暗闇に自分を突き落す。
また自分は目を背けてしまった。
コン、
- 了 -
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● お題
境界(鳥居、川、門 他)
繰り返し
目
三題噺(ホラー)
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