「ドーベル」
「はい、なんですか?」
事後の気怠さを纏ったままベッドの上で抱き合う。
「お前のご両親への挨拶だが、いつ頃が良いと思う?」
「うーん……やっぱり早い方がいいですよね」
「そうだな……」
「じゃあ明日とかどうですか?お休みだし」
「それは構わないのだが、急に大丈夫なのか?」
「はい。母さんに話したら、『絶対に連れてきて』って言われましたし」
「そういうことなら問題なさそうだ。では明日にしよう」
「楽しみですね」
「ああ、とても緊張するよ」
「ふふ、今からそんなこと言ってたら身が持ちませんよ」
「お前のせいだろう」
「えっ、なんでですか!?」
「あんなにも可愛らしく求められてしまったら、誰だって抑えられなくなる」
「かっ、可愛くなんてありません!それに、あれは仕方なくやっただけです!」
「ほう?」「本当です!」
「まぁ良いさ」
「とにかく、私はお前の虜だということだよ」
そう言うと、先輩は優しく微笑んだ。
ああ、この人はどうしてこんなにも優しい顔をできるのだろう。きっと他の人にはわからない。自分だけが知っていればいい。そんな風に思うほど、心の底から溢れてくるような笑顔。
「せんぱい……」
「ん?どうした?」
「大好きです」
「私も愛しているよ、ドーベル」
唇が重なる。
少しだけ塩辛い味がして、幸せで胸がいっぱいになった