戯言「マルゼンスキー、君は相変わらず場を盛り上げるのが上手いな」
「あら、突然どうしたの?」
「いや、この間の感謝祭ステージの映像を見返してね」
「あなたまであたしに夢中になっちゃった?」
「ああ。……そして、羨ましいとも思ったよ。私にないものを持っている君を。私はどうにも、堅いと思われているようでな」
「ふぅん……そう言ってもらえるのは嬉しいけど、違うでしょ?」
「と言うと?」
「あなたが羨ましい、なんて思うはずが無いもの。欲しいと思ったら、羨む間もなく手に入れるでしょう、欲張りな皇帝さんは」
「……ほう、随分と悪者の様に言ってくれるな」
「いやん、怒らせちゃったかしら?」
「まさか。……けれど、前言撤回しよう。確かに君の言う通りだ。私は君の魅力さえ欲しがっている。良ければ、ご教授頂けるかい?」
「嫌よ、絶対」
「……理由を聞いても?」
「そうね……『あなたにはあなたの良さがあるから、そのままでいい』って、お姉さんとしては言うんだけど」
「本音は違うと」
「ルドルフに嫉妬してもらえるなんて、そんな光栄なことないじゃない?簡単にあげるつもりないわよ。あたし、あなたに追いかけてもらいたいの。……その悔しそうな顔でね?」
「そうか。……なら」
「君を、私の元に置いていればいい。私が出来ないことを、君がしてくれればそれでいいだろう?」
「あなたの元に……つまり、あたしがルドルフの言うことを聞かなきゃいけないってこと?」
「ああ、勿論」
「……はぁ。あなた、あたし以外にそう言う態度取っちゃダメよ?困ってるならもっと素直にお願いしてくれなきゃ」
「ふふっ、心配しなくても、君以外にこう傲慢な態度を見せるつもりはないよ」
「もうっ……それもどうかと思うけどね」