倒錯と失策
手を繋がせるつもりなんて、なかった。
ただ子供の戯れみたいな好きが、まさか本気にされるなんて思ってなくて。
家に上げるつもりなんて、なかった。
時間が流れて、景色が変わっていくように。あなたの気持ちだって、もうとっくに変わっていたと思っていたの。
だけど全部、全部。あたしが目を背けて、逃げ続けていただけで。自分の考えが間違っていたと理解するのには、1秒にも満たない僅かな時間で十分だった。
深い紫の瞳は、じっとあたしを見つめたまま。組まれた指はベッドに抑えられて、到底逃げる隙など与えられていない。けれど、その先の行為を許す最後の言葉だけが、あたしに委ねられている。
――これ以上、許してはいけない。このまま彼女の好きにさせたら、もう戻れない。取り返しのつかないことになると、分かっている。
2217